先日の休みに、嘉麻市にある織田廣喜美術館へ、
メカニックデザイナー・大河原邦男 展 “メカデザインFOR1/1”を見に行った。
メカニックデザイナー・大河原邦男。
ガンダムが好きな人ならば、知らない人は居ないであろう、
あの、ガンダム、ザク、ドム、ズゴック、ゲルググ、ジオングなど、
アニメ、機動戦士ガンダムに登場するメカ、“モビルスーツ”をデザインし、
世に送り出した神様である。
原作者の富野由悠季、キャラクターデザインの安彦良和、
そしてこのメカニックデザインの大河原邦男を三人を合わせ、ガンダム創作の御三家だ。
また、“メカニックデザイナー”という肩書きを初めて日本で付与され、
それを専門職とした最初の人でもある。
ガンダム以前にも、大ヒットしたアニメ、科学忍者隊ガッチャマンを皮切りに、
ヤッターマンをはじめとする、タイムボカンシリーズのビックリドッキリメカ達や、
バンプレストの人気シミュレーションゲーム、“スーパーロボット大戦”シリーズでおなじみの、
超電磁マシーン・ボルテスV,無敵鋼人ダイターン3,無敵超人ザンボット3 など、
ガンダム以降も、戦闘メカ・ザブングル,装甲騎兵ボトムズ,蒼き流星SPTレイズナー,
装甲騎兵ドラグナー,勇者エクスカイザー,からくり剣豪伝ムサシロード,
勇者特急マイトガイン,疾風アイアンリーガー,勇者王ガオガイガーなど、
大河原氏がメカニックデザイナーとして参加した作品を挙げればキリがない。
コロニー落とし。
“メカデザインFOR1/1”画集より。
今回の展覧会“メカデザインFOR1/1”は、意外にも大河原氏 初めての個展らしく、
それが自分の近所、こんな福岡の片田舎にやってくるものだから、
これはガノタの自分への何かの思し召しに違いない!
見に行かないといけない! と、心躍らせて見に行った。
いや、例え福岡市内や北九州市での開催であっても、たぶん見に行っただろうが。
道の駅うすい、嘉麻市役所のほど近く、のどのかな場所にある織田廣喜美術館。
同市出身の洋画家・織田廣喜氏の名を冠している美術館。
フランスで活躍していた織田氏の絵画をイメージしてデザインされたのか、なかなかモダンな建物。
だが真っ正面に近接して墓地と納骨堂・・・。
入口。
幕で覆われていて、一瞬、閉館しているのかと思った。
入館してチケットを購入し、さっそく展覧会場へ進む。
いきなり出迎えてくれるのは、ヤッターワンの1/1スケールの、口と鈴?
壁にそれがデーンと展示されてある。
意外とちっちゃいんだな・・・と思った。
・・・が、次に出迎えてくれたのは、1/1スケールの、ザクのヒートホーク!
巨大なそれが、床にめり込まれていた。
全長8mにもなるらしい。
ミーシャが大型トレーラーに隠していたのもうなずける大きさ。
刃の部分が赤く熱している。
モビルスーツの装甲を溶断してしまう破壊力。
こんなのにやられたらひとたまりもない。
ヒートホークを見て、一気にテンションが上がる。
そして年代別に飾られた作品をじっくりと見て歩く。
ガンダムの、プラモやゲーム、セルビデオにDVD、
色々な物品で目にしたかっこいいイラストの数々、あの原画が目の前に!
迫撃!トリプルドム。
確か、“劇場版ガンダムⅡ哀戦士編”公開時に描かれたイラスト。
ガンダムは、よりミリタリー色を出すために、大河原氏の独断で、
アニメの設定とは異なる渋いカラーリングで描かれている。
“メカデザインFOR1/1”画集より。
「人々は自らの行為に恐怖した・・」のナレーションでおなじみの、“コロニー落とし”、
ホワイトベースをバックに、ガンダム,ガンキャノン,ガンタンクが並ぶ姿、
ライフルを構えるガンダムのバックに、不気味にモノアイを光らせる、ランバ・ラルのグフ、
真っ二つにされた盾とビームサーベルを構え、三機のドムを迎え撃とうとするガンダム、
シャアの赤いズゴックを先頭に、ゴッグやドム、グフが荒々しく迫ってくる光景、
ア・バオア・クーで、炸裂するジオングの本体をバックに、頭と左腕を失ったガンダムが、
真上のジオングの頭部に向かって、ビームライフルを放つ、“ラストシューティング”!
これらの原画が一同に並んでいる・・・。
劇場版ガンダム、DVDメモリアルボックスのパッケージ。
これらの原画が一同に!
ファーストガンダム以外にも、大河原氏がメカニックデザインで参加した、
Zガンダム,ガンダムF91,第08MS小隊,Gガンダム,ガンダムSEEDなんかも展示されていた。
個人的に、デナン・ゾン,ベルガ・ダラス等、クロスボーン・バンガード軍のMS含め、
ガンダムF91に登場するMSのデザインも大好きなので、
ラフ画だけでなく、もっと展示して欲しかったところ。
ガンダムF91のガンプラ上級シリーズ、MG(マスターグレード)では、
大河原氏ではなく、カトキハジメ氏がリデザインしたものがキット化されて、すごいがっかりした。
あのF91の流れるような美しいラインを、角張った陳腐なデザインにしやがってよ!
もちろんガンダム以外の作品も、多数展示されており、
タイムボカンシリーズや、ボトムズなどは、ボリュームがあった。
他のロボットものの作品は、アニメで観たことはないけれど、
スーパーロボット大戦で知っているものも数多くあり、
作品に思い入れがなくても、楽しむことができた。
CGではない、絵の具やポスターカラーで描かれた、
無骨で無機質で、でもどこか愛嬌のある、“メカ”達が、生き生きと描かれている。
物理的・現実的に、それが実在して稼働することに整合性がなくとも、
それが立体化されれば、生き物のように動いてしまいそうな、そんなデザインばかりなのだ。
大河原氏の語録にある、「現実に、形にしようと思えばできるメカデザインしか、しない。」
これが、個展のタイトル、“メカデザインFOR1/1”の真意なのだろう。
下段イラストの、中央のシャア専用ズゴック、
実は大河原氏が大きなミスを冒してしまっている。
通常3本のツメが、4本描かれてしまっている。
デザインした本人が、こんな大ミスを冒しているが、
バンダイはガンプラの上級シリーズ、マスターグレード(MG)にて、
シャア専用ズゴックを発売する際、このイラストミスを“新解釈”として、
ツメを3本のバージョン、4本のバージョンとそれぞれのパーツを用意し、
好きな方を選択できるようにして発売した。
途中、自分よりも少し年上と おぼしきおっさんが、
二人の子どもを連れてやって来た。
子どもそっちのけで、一人興奮する父親。
「ほら、これ! ダイターン、みっつに変形してから・・・」
「これは、あれやね! ドラグナーのメタルアーマーっち言って・・・」
子ども達に熱心に説明するも、
「ふーん。」「すごいねー。」「つよいん?」
と、あまり興味のない返答。
それでも構わず、説明していく父親。
「これはジャブローの戦いのときやね!」
「違う、それはオデッサじゃ!」・・と、心のなかで思わずつぶやく。
さらに70過ぎとおぼしき車イスに乗った白髪の老婆、
そしてそれを押す、50前後の娘さんとおぼしき女性の二人組。
「かっけー!※1 見てんこれ、かっけー!」
「これはわたし知らんばい、観たことないねえ。」
「これはあれたい、**の前に放送されよったやん!」
すげえなおい!
こんな高齢のアニヲタ母娘も居るんだな!!
この母娘とおぼしき二人組は、かなり熱心にひとつひとつ作品を観ていた。
購入したクリアファイルセット。
ガンダムとザクだけでよかった・・・。
そして、自分と同年代の夫婦や若いカップルも。
たいていの場合、男の方が誘ってきているようで、
出口で興味なさげであまり楽しめなかった雰囲気の女性へ、
「付き合わしてゴメンね!」と、男の方が謝っているのも ありがちな光景。
・・・かと思えば、「このギャンのペン立て、チョー欲しいんだけど!」
と、大声で言っている若い女性の姿もあったり。
そうそう、展覧会場のラストには、アニメ作品の枠にとらわれずに、
大河原氏が趣味でやっている、金属加工品のオリジナル作品が展示されていた。
仕事場の一角に、工作機器を備えていて、そこで色んなものを制作しているらしい。
そのクォリティはとても高く、ガンダムの原作者、富野由悠季氏に、
「金物工場のおやじさんではないかと疑うようなことをやっている・・・」と言わしめるほど。
オリジナルのメカ作品に、ザクをモチーフにしたベルトのバックル、
ギャンの頭部や、ホワイトベースのメガ粒子砲主砲をモチーフにしたペン立て、
なかにはよく意味の解らない、ガラクタのようなものも・・・。
購入したポストカードセット。
ガンダムのだけでよかったのに・・・。
ポストカードの切手貼付欄には、大河原氏本人がデザインされている!
個展としてはじゅうぶんな展示数なのだが、
なんとなく物足りなく感じたのは、大河原氏の手がけた作品があまりに多いからだろう。
展覧会を見終え、記念にと、この個展のために、大河原氏が新たに書き下ろした、
ガンダムとザク、それとヤッターワンと、スコープドックがプリントされたクリアファイルのセットと、
(セット販売だったから仕方がないが、本当はガンダムとザクしか要らなかった・・・。)
ガンダム含め、他の作品のものとセットになった、ポストカードを買った。
(セット販売だったから仕方がないが、本当はガンダムのものしか要らなかった・・・。)
大河原ワールドを堪能し、美術館を出ようとしたら、
「♪イェスマイスゥィー、イエースマイスゥイーティェ・・・」
どこからともなく、井上大輔の“めぐりあい”が聞こえてきた!
劇場版 機動戦士ガンダムⅢ めぐりあい宇宙編 のラストにかかる挿入歌で、
ガンダムの歌で自分がもっとも好きな曲である。
うぉー! どっから流れて来てやがんだ!!
どうも作品展示室から逸れた、資料展示室で、ガンダム作品が上映されていた模様。
だが、すでに展覧会場を退場した後で、
「ありがとうございました~。」ときれいなおネエちゃんスタッフに挨拶された直後で・・・。
いや、DVD持ってんだから、いつでも観られるし聴けるじゃないか!
この日、ついでに嘉麻市内の図書館に展示されているという、
段ボール・ガンダムを見るため、市内二カ所の図書館を巡った。
この段ボール・ガンダム、昨年の震災の被害に遭った宮城県の高校で、
文化祭のために生徒が制作したものだったが、震災の影響で保管することができなくなり、
福岡出身の同校の教諭が、出身地の久留米市内の公共施設で引き取ってもらい保管していたもの。
今回の大河原邦男展開催に際して、嘉麻市がそのうちの2体を借りて、
市内の図書館に展示しているとのこと。
まずは、山田図書館、駐車場に車を停めて、図書館入口へ向かうと、
さっそく見えてきた、どっしりとたたずむ段ボール製のドムの姿。
ガイアのドムか!?
バタシャムのリックドムか!?
遠目の撮影だからいいよね?知らずに撮りましたすいません。
デジカメ片手に、さっそく中へ入る。
すると・・・ドムの正面に、写真撮影禁止の貼り紙。
え!?いけんの?
しょうがない・・・心のカメラに焼き付けて、山田図書館を後にする。
次いで訪れたのは、碓井図書館。
大河原邦男展をやっていた織田廣喜美術館のすぐ隣だ。
図書館へ入ると、受付のすぐ横に、でーんとたたずむ段ボールのガンダムEz-8。
で、その前に撮影OKの貼り紙。
え? こっちはええのん?おいおい、デジカメ車ん中に置いてきちまったよ!
取りに戻るのも面倒で、携帯電話のカメラで撮れば良かったろうが、
静かな図書館でそれもなんだか躊躇して・・・。
こっちの碓井図書館では、スタッフが自作してディスプレイしたであろう、
ガンダム作品年表と、やはりスタッフが持ち込んだであろう、
プラモデルやフィギュアなどの展示コーナーが設けられていた。
これ所有しているスタッフ、腐女子なんだろうか、種ガンダム※2ばっかじゃん・・・。
そんなこんなで、ガンダムを堪能した一日だった。
今、嘉麻市が、ガンダムで熱い!
・・・。
そうえいば、大河原邦男氏の名字の読み、
この日までずっと「おおがわら」だと思っていた。
「おおかわら」と、濁らないのが正解らしい・・・。
茨城県が「いばらぎ」じゃなく、「いばらき」だったのを知ったときと
同じくらい恥ずかしく思った・・・。
山田図書館に貼られていた、「へび注意!!」のポスター。
物騒だな・・・マムシじゃないよね?
</object>
YouTube: めぐりあい
めぐりあい/井上大輔
劇場版 機動戦士ガンダムⅢめぐりあい宇宙(そら)編 主題歌。
これを聴くと、ラストのア・バオア・クーの激戦と、
ドラマチックなシーンの数々が頭に浮かび、思わず涙ぐんでしまう。
一緒にカラオケに行く、ガンダムを知らない若い子たちが、
これの歌詞を覚えてしまうほど、自分がしょっちゅう歌う曲でもある。
数年前にデーモン閣下がこの曲をカバーしたときはびっくらこいた。
※1・・・かっけー:「かっこいい」という意味。
※2・・・種ガンダム:「機動戦士ガンダムSEED」のこと。
最近記事の更新が早いですね~
ザク豆腐の記事を見つけて「コメントせねば」と思っていたら、
おおかみこどもの記事に変わって・・再び「コメントせねば」と思っていたら、
大河原邦男氏の記事・・
で・・どの記事にも喰い付いている自分が居ます!!
大河原邦男氏の功績は、ガンダムのデザインより、やはりザクですよね!
ガンダムはまだ従来の巨大ロボット系のデザインを感じますが、
ザクは完全に兵器ですからね~。
ザクのデザインの成功が、リアルロボットアニメの成功にも繋がったと。
あと、私はズコックも好きだったりしますが・・
あれは圧倒的な強さと、シャアズコックの立ち上がりシーンの影響かな?
モビルスーツのデザインも、新シリーズが始まる度に情けなくなりますね。
ニコニコ動画が見れるなら必見
http://www.nicovideo.jp/watch/sm8134115
ZガンダムのOP・EDですが、2期OPの作画なんて今のハイビジョン時代
でも通じる程の密度です。それに比べ今の。。。。
ちなみに、私は「安彦良和画集」なる物を持っています。
確かガンダムブームの頃に購入した古い物です。
それ以外にもサンライズ関連、ガンダム関連書籍はいまだに持ってますね。
ただ「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」何巻目からか買ってなかった!
では~♪
コメントありがとうございます。
コメントしそびれた記事への、後からのコメントも全然構いませんよ。
自分も他の方のブログへ、よく複数の記事へ連続でコメントしています・・・。
ザクのデザインに関しては、大河原氏本人も語っていますね。
「どうせ敵役でやられ役・・子供達に注目もされないのならば、
いっそ主役メカ(ガンダム)を食うくらいの格好いいデザインにした。」と。
ジオンのメカ達が無骨でかっこよく感じるのは、そんな思いでデザインされたからでしょうね。
自分はVガンダム以降は、「08小隊」しか観ていませんので、
最近のMSデザインは、よく解らないです。
「MSイグルー」、「ティターンズの旗の基に」、「ガンダムUC(ユニコーン)」とか、
UCモノも、いくつかありますが、もうなんだか許容できなくて観ていません。
全てを受け容れられるているガノタ(土田みたいな人)は、
逆に少ないんじゃないかな~って思っています。
安彦氏はやっぱり人物画ですね。
シャア,セイラ,ランバ・ラル,マチルダ,ララァ,アムロ・・・
あの油絵のような独特のタッチで描かれるリアルな表情がたまりません。