よろず戯言

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終わった人

2018-07-17 22:20:07 | 映画

先日の休みに映画を観に行った。

舘ひろし主演のドラマ、“終わった人”だ。

原作は内舘牧子氏の同タイトルの小説。

キャッチコピーは、“定年を迎えた男のまだまだ終われない人生の奮闘記!!!”

 

 

舘ひろしといえば、石原軍団に所属し、

大型バイクを乗り回し、西部警察シリーズや、あぶない刑事シリーズなどで、

渡哲也や柴田恭兵らとブイブイ言わせていたハードボイルド系の俳優。

とあるバラエティ番組に舘ひろしが出演していて、その際この映画の予告編が流れた。

定年を迎えて やることがなくなり、家族から邪魔者扱いされて行き場を失うという、

実に哀愁ただよう、おじさん役を、あの舘ひろしが演じていた。

これは・・・面白そうだ!

そう思い、鑑賞に臨んだ。

 

 

 

東大法学部卒業、そのまま大手銀行に就職し、

支店長になり、最優秀支店の賞まで得て、将来の取締役が確実視されていた。

だが、同期とのライバル争いに敗れ、出世コースからそれ、

気付けば系列子会社の常務という閑職に就かされ、

銀行に戻ることのないまま、定年を迎えてしまった男、田代壮介(舘ひろし)。

 

退職した翌日から、壮介の終わった人生がはじまる。

いつもの時間に起床するも、出社する必要もない。

パジャマ姿でボーっとしていると、妻の千草(黒木瞳)がバタバタと出勤していく。

リビングで退屈でくだらない朝の情報番組を観る。

昼には早いけれど、やることがなくて、妻が用意してくれていた昼食を食べる。

暇過ぎて、妻を職場まで迎えに行くも、迷惑がられてしまう。

 

やることがなくて公園へ散歩。

暇な老人たちがたむろしている。

彼らと同じにはなりたくないと、場所を移動するも、

図書館,スポーツジム、行く先々に老人たちが・・・。

 

ある日、散歩途中で高校時代の親友とばったり出会う。

高校時代、ラグビー部で一緒だった二宮(笹野高史)。

定年を迎え、やることなくぶらぶらしている自分と異なり、

二宮は会社を辞めて、夢に向かって突き進んでいた。

活きいきとしていた二宮に触発されるも、

自分にはやりたいこともなければ、なにがやれるのかも解らない。

 

退職してからは、千草に冷たくあしらわれて相手にしてもらえない。

娘の道子(臼田あさ美)に「恋でもしたら?」と冗談げに言われ、

千草の従兄の俊彦(田口トモロヲ)には、カルチャースクールに行くことを勧められる。

壮介は文芸が好きで、自分の郷里出身の詩人、石川啄木が好きだった。

もう一度文学を学ぶため、壮介は大学院に進むことを決意し、

俊彦が勧めてくれたカルチャースクールで勉強することに。

 

 

そのカルチャースクールの受付をしていたのは、久里(広末涼子)。

以前、古本屋で出会っていて、壮介と同じく岩手出身で石川啄木が好きということで意気投合。

30近く歳の差があるにも関わらず、道子に「恋でもしてみたら?」と言われたのを真に受けて、

壮介は脈アリと確信し、何かと久里に近づき口説こうとする。

 

スポーツジムにも通いはじめ、そこで若きIT社長、鈴木(今井翼)と出会う。

鈴木は高齢者を対象とした新規事業立ち上げのマーケティングのため、

老人が通っているスポーツジムに通っていた。

東大法学部卒、大手銀行に勤務――。

そんな壮介の経歴を知った鈴木は、壮介に近づき、顧問として会社に来てくれないかと頼む。

若い職員しかいない自社に、壮介のような経験豊富な人材が必要だと強く訴えてくる。

 

やることがなく、家庭で居場所を失くしていた壮介。

夢に向かって未だチャレンジを続けていた旧友。

若い子への恋心と下心。

そして自分を必要としてくれている若きIT社長。

自分はやっぱり仕事をしたいんだ、仕事をしていなきゃだめだ。

決心して新たな人生を踏み出そうとする壮介。

まだまだ終われないと奮起するものの――。

 

 

 

まあまあ面白かったかな。

期待するほど、主人公がみじめではなかった。

もとよりエリートで退職金もがっぽり有りそうだったし、

そんなひとが、終わった人になったとしても、そんなに哀愁がないというか。

もっと町工場みたいなとこで、定年まで家族のために汗水たらして一生懸命働いたお父さんが、

退職後に家族から邪険にされてしまうような、そんなんじゃないと感情移入できない。

 

ただ、演じているのが舘ひろしっていうのが大きい。

老眼鏡がずれて、ため息つきながら腰かけているだけで笑いが出る。

ボテッとだらしなく出ていたおなか、役作りのために太ったのか?と思ったけれど、

後半きちんと痩せていたように見えたので、あれは詰め物で再現したな。

あの二枚目俳優が、情けなくて滑稽な演技の連続で、それだけでも観る価値アリ。

 

千草役の黒木瞳さんも良かった。

壮介を邪険にしながらも、妻として陰で支えようとする健気な姿が垣間見える。

そんな演技がすごく伝わってきた。

数年前の大河ドラマ、軍師官兵衛で、

竹中直人演じる秀吉の妻、寧々を演じたときも、そんなだったなあ。

でも実際、夫が勝手にあんなことしでかしちゃうと、直ちに離婚しちゃうっしょ?

 

久里役の、広末涼子。

昨年観たミックス。のときは、まだ若々しく見えたけれど、

だいぶ年相応になってきたなあという感じ。

それでも全然 若々しくって、自分と5歳しか違わないなんて思えない。

今回は主人公を惑わせる、ちょい悪女的な役。

本人に悪気がなくても、こういう女の子居るよなあ。

 

後半に登場する、同級生らの俳優さんらが良かった。

早い段階で笹野さんが登場するが、舘ひろしと同級生役って・・・。

なんて思っていたら、実年齢2つしか違わなかった。

他にもベンガルさんや、渡辺哲さんも登場。

それぞれ、舘ひろしと同級生役って・・・と、思ったけれど、

渡辺哲さんは実年齢一緒で、ベンガルさんに至っては、舘ひろしよりも年下だった!

そう考えると、うちのアル中親父も舘ひろしよりも年下で・・・。

舘ひろしどんだけ若く見えるのかと。

 

スタッフロールを見ていたら、原作者の内舘牧子氏も作中に登場していたようで、

え!どこに出てたの?と思ったが、どうやらスポーツジムのシーンだったらしい。

ランニングする壮介に、黄色い声援を浴びせるバアさん達のなかに混ざっていたのかな?

あの特徴的なお姿を見逃してしまうとは。

 

まあまあ面白い作品だった。

スケールが大きすぎて、庶民にはちょっと しっくりとこなかったかな。

定年してやることがないという、同じ境遇のひとが観ても、あまり共感できないかもしれない。

数年前に観た似たような映画、アン・ハサウェイと、ロバート・デ・ニーロの、

マイ・インターンの方が、まだ共感できたかも。

往年の舘ひろしファンにはオススメ、ぜひ観てほしい。

ファンサービスとしか思えない、グラサンシーンもあるぞ!

 

 



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