David T. Walker - Press On [Official Video]
この曲をタイトルとしたアルバムは、私の愛聴するアルバムのひとつである。実に過不足無く、ギターの音色の色気がすごい。思わずズボンを脱ぎたくなる音色である。
ギターという楽器には、ジャンゴ・ラインハルトの超絶的技巧のような技を競うものもあるのだが、他方で楽器の出す音色と、音楽の中での過不足無い音を求めるという方向もある。実は、そうした方向にも技の裏打ちが必要となる。
ジャズ・ギタリストのジョー・パスは、その技前をYouTubeで披露し、初めて見た人ならば腰を抜かすほどの超絶技巧を見せ付ける。その技そ見せた後、おもむろに「ギターはこう弾きましょう」という学習ビデオが流れているのである。
ジャンゴ・ラインハルトの米国でのテレビ出演時の動画をYouTubeで見て、オレはひっくり返った。これもまた超絶技巧であり、このジャンゴの技前を前提としたロマの音楽などは、フランス発でYouTubeで流れている。
凄さはわかっても、オレなんかの腕では、とても超絶技巧などというわけには行かない。もちろん、このDavid T. Walkerの技も、できることというよりやりたいことを十分に行なうだけの過不足ない力量を持っていて、超絶技巧も使えるはずだという裏付けを見せながらの、あのつまり「思わずズボンを脱ぎたくなる」という音色なのだ。
2月19日に、このDavid T. Walkerとラリー・カールトンのジョイントライブが札幌市民ホールである。入場料は7000円である。ボブ・ディランのライブも札幌で4月にあるようだが、こちらは立ち見席12000円、座席は22000円という高額である。箱が小さいからなのだろうが、バックバンドなんぞも、どうやら不用意に沢山いそうだ。ロビー・ロバートソンあたりがギターで参加しているのならば、それでもまぁ納得価格になるのだろう。
このライブが行なわれる札幌市民ホールは、以前は市民会館ホールとしてあったのが、市民会館が老朽化のため取り壊され、同じ場所に建て直されたものだ。元のホールで見たのは、来日したブルースブラザーズバンドである。あの時は、サム&デイヴのホールド・オンのイントロがオリジナルのスティーヴ・クロッパーの演奏で始まった時に鳥肌が立ったのを思い出す。それが旧ホールに行った最期である。
新ホールにはすでに行っている。これは音楽とは無関係な、小出裕章さんの講演会でだ。それなりの広さと、それなりの音響設備があるのはわかっているから、実は今からワクワクしている。
ラリー・カールトンにしてもデヴィッド・T.にしても、もう60歳を超えた年齢である。若い、あるいは若作りのロックとはふた味違う演奏だろうと思うのだ。
このライブのおかげで、多分食費を幾分切り詰めるという事になる。なぜなら来月は目の手術以降、どうやら眼科医で検診・検眼した後、眼鏡を新調しなければならないからだ。やっぱり安売り眼鏡で我慢するか、思案のしどころである。
本当に若い頃、Stuffというバンドがあって、来日した事がある。東京の後楽園ホールで東京公演は4日あった。オレは皆勤賞だったのであるが、そのコンサートのチケット代だけで、その月の食費を使い果たした事がある。未だに、どうやって生き延びて、今ここにいるのかわからない。記憶に無いのだ。家賃でも未払いだったのだろうか?