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書道 直庵(筆耕所)

再生の旅 第六話<千枚田・湯の峯温泉>

七月二十三日午後二時三十分
道の駅熊野きのくにを発して有井より国道三百十一号線に入れり
この道 細くして山中をくねくねと曲がりつつ延びてをれば
対向車あれば交互に道を譲りつつの走行なり
新田隧道を抜ければ空一面に雲あるも 神明神滝隧道を抜ければ青空の見へるもをかし 風伝隧道を抜けて県道四十号線に入ればさらに道細くなりぬ
坂道をくねくねと登り行けば
午後三時十分
左手に視界の大きく広がりゐたるに車を停めたり
見渡せば・・・
をを 何たる美しさなる哉
言葉もなく ただただ 見入りぬ
是 丸山千枚田なり

丸山千枚田は是 我が國最大の棚田ときけり
量り難き労力を注ぎきて幾百年なる哉
そのかみは二千四百枚が造成されたるとふも
その存在すら危ぶまるる状況に陥れば
平成六年 紀和町は条例を制定したるとふ
千枚田の保護に一層努力せんことを宣言するや
田のオーナー制度を実施するとなん努めれば
その数千三百枚余まで復田が図られたるとふ
いとすばらくして力強きこと限りなし
また
一枚の田といへど減らすを許さじ
とふ強き決意を合ひ言葉として
平成十一年には丸山千枚田を守る会を結成すれば
我が國各地より会員の申し出あるときくもうれし

脈々とかけてこられし労力の神々しさを見る千枚田 丹人

もと来た細き坂道を下りて
再び国道三百十一号線を走り行けば
奈良県十津川村に入りたり
予が武路愚の友なる酒徒善人殿の住まひたる県なれば
心温まるおもひなり
国道百六十九号線に入れば和歌山県なり
道幅広がりて肩の力もやはらかとなりぬ
宮井大橋を越へれば熊野川に沿ひて国道百六十九号線を西へと向かふ
熊野川のゆるやかにして瑠璃色の流れを右に見下ろしつつ走れば
午後四時十分
湯の峯温泉に到着す
宿は湯の名を冠したる「湯の峯荘」なり



湯の峯温泉は是
湯の谷川の天然の岩のくぼみより
九十二度なる重曹硫化水素泉が噴出したるとふ
白濁した湯の色が日に七変化すといわれる霊験あらたかなる温泉なりて
常州に縁深き小栗判官の蘇生の地なると知れば
嗚呼
予のこの旅の主題なる「再生」に重なるものあれば
心の奥底に熱きものの湧き起こり行くを感ず
いとあらまほしきことなり

宿に荷を移して給はりたる熱き茶にて一服すれば
午後四時三十分
温泉の中心に位置する共同浴場へと
歩をすすめたり



七百五十円にて入浴券を購入すれば
まずは
名高きつぼ湯(画像左)に入らん
先客あるに待つこと三十分
岩が間に三人が入れば一杯となれる狭きつぼ湯に
身を浸したる
をを
よき湯なり

ひきつづきて
共同浴場の薬湯(画像右)に入りぬ
薬湯とは是 高温の源泉を適温に冷ましたる湯ときける
この湯もまた その匂ひとともに薬効の身に沁みいくとなんおもへる

宿に戻るは午後六時となりぬ
飲むことかなふ湯なれば
温泉にてつくりたる料理を堪能しつつ
むまき酒を飲めば
湯の峯の夜は静かに更けにけり

画像一:丸山千枚田 2007.7.23 撮影
画像二:熊野本宮観光協会ホームページより
画像三:s_sile氏武露倶「日帰り温泉の旅」より

            
↑現在50位前後なり↑現在茨城3位なり
毎日一打頂戴すれば有難きかな 宜敷願上奉候

コメント一覧

あかひと
山桜姫
おはやふにござる
姫も驚きたる哉
この棚田 いと雄大にして
緑美しきこと比類なし
峠より見下ろせば

「一望両眼千枚田」

なり
いと神々し
ペルーなる棚塩田
予は初耳なる
媛の見識に改めて敬服したる
いと素晴らし
山桜
棚田
大きな棚田ですね~! 
このように大規模なものがあるとは知りませんでした。 
ペルーの真っ白な棚塩田も神秘的ですが、荒涼とした感じ、
日本の棚田は緑が豊かでホッとします。
あかひと
善人氏
さなり
三重 奈良 和歌山の
県境なる地を通りたるも

地図にて確認すれば
なんともまは
ぐにゅりぐにゅりと
県境の交叉したるをみれば
不思議なるおもひにとらはれゐたる

三重より
まず
和歌山は熊野川町の飛び地に
そして
奈良県十津川村に
してまた
和歌山県熊野川町に
と通過したることを知る

氏の話をきけば
十津川村を
ゆるりと尋ねてみたきおもひ高まるもをかし
酒徒善人
十津川
あかひとさんは“十津川”を通過されたのですね。
“十津川”は奈良・近畿においても不思議な処。
未だ仏教は伝来(信心)せず。神道だとか・・・
未だ関西弁を話さず。ほぼ標準語だとか・・・
山深く、私も谷瀬の吊橋と野猿の体験を数回。
そして、那智からの帰り道として利用した位の山中。
あかひと
幽黙氏
をを!
氏の感想を読むに
あかひと
パン _||_
と手を打ちて
・・・
まさにさなり
さふなり

この素晴らしさは
人と自然の一体となりたる美なり と

伊勢の大神様の宮々にも
まさにそのおもひあるも
言葉にできぬものなるも
今 ここに
言葉となりて顕れたり

嗚呼 いと素晴らしきことなり
茲に深く感謝の意を表する次第に是あり候
あかひと
健自偉氏
>凄いアングルに口あんぐる
>美しい千枚田になんまいだ
>湯の峰温泉の湯飲みねえ

相も変はらぬ掛詞の妙に
あかひと
身も心も打たれたり

健自偉 おそるべし の感いよいよ深し
なんたる素晴らしさかな

特に最後を〆たる
「湯飲みねへ」は
まさに飲料可なる温泉なれば
是が語源かとおもふほどなるもをかし

紀伊っ子だってねぇ
湯の峯の生まれよ
嗚呼さふだってねぇ
・・・
飲みねへ飲みねへ
お湯飲みねへ
・・・
カッカッカッカ・・・
・・・
湯飲みねへ
・・・
カッカッカッカ・・・

ふーー
幽黙
人の景色
自然そのままの風景もいいですが
こういう人の風景もいいものですね
他の人工物が
見当たらないところが
絶景たる所以ですねこれは
健じい
絶景です
http://blog.goo.ne.jp/youkaikokonokatouka
うわあ。。。。
凄いアングルに口あんぐる

美しい千枚田になんまいだ

湯の峰温泉の湯飲みねえ

わたしも温泉に入って
浴衣着て。。お酒をゆっくりと
飲みたくなりました。

そしてぐっすりと眠りたいです。
千枚田の目に沁みる緑に癒されます。
ありがとうございます。
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