湯の峯温泉は快晴の朝なり
六時三十分 宿の湯に体をゆるりと浸し まろき味の湯をいただきぬ
湯の峯は健自偉氏の言葉をお借りすれば
まさに「湯飲みねぇ」なるとこそおもへれ
七時に朝食をいただきぬ
温泉粥のむまさに舌鼓を打ち 温泉卵のぽよんとしたる舌ざはりに舌を巻き
赤だしの味噌汁の味 体に沁みれば
八時に宿を発ちて熊野本宮大社に向かへり
山道を登り行きて国道百六十八号線を熊野川に沿ひて走り行けば
大鳥居の見へてきたる
八時三十分 鳥居脇の駐車場に車を停めれば
先に停めたる水戸ナンバーの車あり
をを
この旅にて初めて見る水戸ナンバーなり
なぜか とても ほふとするものあるもをかし
鳥居下にて一礼すれば
奉納されし熊野大権現の幟の数多はためく参道に歩をすすめたり
正面に社殿の御門あり
菊花の御紋の二つの予をぢっと見つめてゐたるが如く見ゆるも尊し
嗚呼
両脇に掛けられし幕の文字に惹きつけられる予なりき
人生の出発の地
甦る日本の心
をを
まさに此の旅の主題そのものなれば
感極むものあり
再生の旅の背を押す垂れ幕の文字を見つめるじっと見つめる 丹人
門をくぐりて社殿地に入れば
清浄なる世界なり
天より燦々と注ぐ陽光が中を
渋き地の色に統一されたる社殿のたたづまひの重々しさに
心打たれたり
参拝を終へれば大斎原(おおゆのはら)に向かへる
大斎原は是 熊野川の中州にありて創建以来本宮大社の祀られゐたりし聖地なり
明治二十二年 大洪水にて被害あれば
明治二十四年 流出を免れた上四社を現在ある高台に御遷座なされたるとふ
田中の道を歩み行けば我が國最大とふ大鳥居の稲穂の奥に見へてきたる
稲の穂に夏の光の大鳥居 奮太
参道を歩み行けば大鳥居の威容いよいよ増してきたりぬ
大鳥居中央に八咫烏(やたがらす)の金色に光放ちたり
八咫烏は是 熊野権現の使いにして三本足の烏なり
日本蹴球協会の象徴印として馴染みあるもゆかし
いよいよ聖地なる大斎原に入り行けり
鬱蒼とした木立の中に一段高き社殿跡ありて草のみどりのいと美しき
中央に石祠の二つありぬ
是 明治の洪水にて流出した中四社・下四社を右の石祠に
同じくして流出したる境内摂末社を左の石祠に祀りたるときけり
祠奥に薊の花の一輪にてふの一羽のたはむれゐて陽光を浴びつつ笑むを見る
かつて祈る人あまたなる斎原の草木深く咲くあざみ花 丹人
静かに拝礼を済ませれば もと来た道を戻り行けり
駐車場に着けば時午前十時となりにけり
*後に気付くも 予 大斎原に置きてきたる二つの品あり
一つは帽子なり また一つは本宮社務所にて求めたる本宮縁起なり
いと心残りあるも 是もまた熊野大権現様の思し召しならんとおもへば
心安らかなるもうれし
画像一:熊野本宮大社鳥居の熊野大権現額
画像二:社殿入口門
画像三:社殿
画像四:稲穂と大斎原の大鳥居
画像五:大鳥居の八咫烏
画像六:大斎原の石祠前に咲く薊 2007.7.24 撮影
↑現在40位前後なり↑現在茨城1位なり
毎日一打頂戴すれば有難きかな 宜敷願上奉候
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