午前六時 海より聞こへ来る声に目覚めて天を見上ぐれば
雲間より青空の眩しく輝きたる
海女の声に目覚むる鳥羽の大暑かな 奮太
朝餉をいただきて宿を後に菅島船着き場に向かふ車は女将の運転なり
車を下りて女将に御礼申し上げれば
鳥羽のプールに水泳学習に向かふ菅島小学校児童三十人等と共に舟に乗る
朝の陽に波白々と輝きて菅島の山なだらかに見ゆ 丹人
鳥羽の佐田浜に着けば車に乗りて伊勢自動車道に入れり
勢和多気より紀勢自動車道に入れば終点大宮大台にて下りぬ
国道四十二号線を南下すること五㎞ 瀧原の地に至れり
皇大神宮別宮なる瀧原宮瀧原並宮参道入口に立つは午前九時三十分のことなり
鳥居下にて一礼すれば
玉砂利の音も清しき参道に歩をすすめたる
右手にゆるく下る石段ありて清流あり
御手洗場なり 流れは頓登川となんおもへる

嗚呼 この清浄にして荘厳なる景に圧倒されぬ
苔むしたる岩間を走りいく水の美しさよ
手を洗ひ 口を漱げば 心いよいよ鎮まりぬ
参道に戻りて進みいけば
杉の苔のみどりの先に御本殿の現れ出でぬ

瀧原宮は是 大神の遥宮(とほのみや)と言はれきたれり
伊勢の神宮にお鎮まりになる前に此宮に鎮まり給ふときけり
あな尊しかな
玉砂利を踏みしめつつ玉垣御門前にすすみ出でて拝礼す

御本殿を間近に仰げば
東西両端に千木(ちぎ)の高く聳へ
鰹木(かつをぎ)六本の輝きて並ぶを見る
神明の造尊き瀧原の社に光満ち満ちてをり 丹人
午前十時十五分
宮を後にして一路国道四十二号線を南下したれり
長島町に入れば熊野灘の波白く岩にかかるを見る
海山町を流るる銚子川の銚子橋を渡れば
道の駅海山にて昼餉なり うどんをいただきたる
いとむまし
正午のことなり
馬越道入口に辿り着けば車を停めて靴履き替へて
熊野古道馬越峠への石畳道を登り行けり

馬越は是 まごせ なり
見上げれば一面にシダを敷き詰めたる尾鷲檜の林なり
石畳道を登り行けば左手に夜泣き地蔵あり
小石積み上げられたる祠の屋根に予も小石一つを積みて
手を合わせたり
汗の額より目に沁みて背をたらたらと流れいくも
黙々と石を登り行ける
ふと目に入れる翡翠色の光あり
見れば石畳に付きし腐葉土の上に一匹の虫ゐたり
是 カナブンなる哉
(いやいやさに非ず
武路愚が友なる健自偉殿よりお教へいただくに
是 ルリセンチコガネなるとふ)

カナブンのみどり目に沁む馬越道 奮太
(ルリセンチコガネの色の目に沁みて心涼しも馬越の道は 丹人)
林道までを登れば五十分が経過す
峠を遥かに見遣りて下ることとす
三十分にて下れば
再び車に乗りて国道四十二号線を南下す
尾鷲市街を越へて矢ノ川隧道 大又隧道を過ぎれば
熊野市に入りぬ
午後二時のことなり
道の駅熊野きのくににて車を停めれば
脇を流れたる清流大又川の岸に降りぬ
水清くしてあをみどりの色に輝く流れの中にちひさき魚の
数多泳げるを見る
ズボンの裾まくりあげれば川に入りぬ
いと冷たくして気持ちよし
大又の流れを見遣れば尾鷲の山々の雄々しく聳へるが目に入りきたる

右よりゲジョ山(927m) 高峰山(1045m) 橡山(1009m)
和歌山の地より見渡す三重県の山々三重に見へるもうれし 丹人
午後二時三十分
道の駅熊野きのくにを後にして
国道四十二合線をさらに南下し
熊野市有井より国道三百十一号線に入りて
本宮町を目指して走りたり
健自偉殿の瀧原宮参り
画像一:市営定期船より菅島の大山を仰ぐ
画像二:瀧原宮 御手洗場
画像三:瀧原宮
画像四:瀧原宮 御本殿
画像五:熊野古道 馬越峠への石畳道
画像六:熊野古道 馬越峠道のカナブン
画像七:熊野きのくに脇の大又川より見上げる尾鷲の山々 2007.7.23 撮影




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