手に摘みていつしかも見むむらさきの根にかよひける野辺の若草 光源氏
君は 心地もいとなやましきに 雨すこしうちそそぎ
山風ひややかに吹きたるに 瀧のよどみもまさりて 音高う聞こゆ
すこしねぶたげなる読経の たえだえすごく聞こゆるなど
すずろなる人も 所がら ものあはれなり
まして おぼしめぐらすこと多くて まどろまれ給はず
〈円地文子訳〉
わが手に引き取ってはやく見たいものだ 藤壺の御縁につながっていたあの姫君を
君は ご気分も悩ましいのに 雨が少し降りかかってきて
山風もひややかに吹き 滝の水かさも増さったように水音が高く聞こえるのに
少し眠たそうな読経の声がたえだえに凄く交わってきたりして
心ない者でも 所柄しんみり物思いがちになるあたりの様子なので
いっそう思いめぐらされることばかり多くて お寝みになるどころではない
若紫 -あらすじ-
十八歳の光源氏は瘧(わらわ)病に悩まされていました。
三月晦日。病気治療のため、北山の名高い修行者をたずねます。
治療の合間に山中を散策していると
ひなびた家に、少女を垣間見ます。
藤壷の宮の面影を宿した少女に源氏は心を奪われました。
少女は藤壷の姪でした。
源氏は、少女の祖母の尼君に結婚を前提に後見したいと申し出ます。
しかし、少女のあまりの幼さゆえに拒まれます。
四月。病が回復した源氏は下山することになりましたが、
少女は、源氏を好ましく慕うようになっていました。
帰京しても、正妻「葵の上」は相変わらず冷ややかでした。
源氏は、北山に文を通わせるようになります。
そのころ病のため宮中から里帰りしていた藤壷の宮のもとをたずねます。
そしてこの一度の逢瀬で、藤壺は源氏の子を宿してしまったのです。
七月。北山の尼君が亡くなります。
父の兵部卿宮が少女を引き取ろうとしますが、
源氏は先回りして少女を二条院に連れてきてしまいます。
少女は新しい生活に無邪気に溶け込んでいったのでした。
*画像:春の野(ぺんぺん草、ホトケノザ、菜の花) 2008. 3.17 12:30 小美玉市野田にて
↑人文5位なり↑50代3位茨城1位なり↑短歌1位なり
引き続きご支援のほど宜敷御願申上候 頓首 再拝
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