蛇目蝶 一
わが庵のけやきの上にさざ波を立てて蛇の目の蝶きたりけり 丹人 わがいをの けやきのうへ...
蛇目蝶 二
蛇目蝶は紫式部の葉の上に波をしずめて翅広げゆく 丹人 じやのめてふは むらさきしきぶの...
風鈴
涼やかな音の聞こへて振り向けば光の中に擬宝珠の花 丹人 すずやかな おとのきこへて ふ...
韓藍
わが屋戸に赤紅の韓藍の見つめ合ひつつ咲き初めにけり 丹人 わがやどに あかくれないの ...
睡蓮
木の間よりこぼるる光に睡蓮の黄金の蕊のそよぎゆくかも 丹人 このまより こぼるるかげに...
鶺鴒
梅雨明けて真白き昼を鶺鴒のひょこひょこ歩くビルの前庭 丹人 つゆあけて ましろきひるを...
重陰
桜葉の重なる陰の風に揺れてアスファルト道に墨散らしゆく 丹人 さくらばの かさなるかげ...
会館
講堂を一日借りるに諭吉三枚英世二枚の市町村会館 丹人 こうどうを ひとひかりるに ゆき...
蓮華
野州道二四六号遊の郷に今を盛りに咲く蓮の華 丹人 やしゅうみち にいしいろくごう ゆのさ...
眼差
吉祥草の葉を登りきて青蛙七月二十日の朝を眺むる 丹人 きちじょうそうの はをのぼりきて...