「春の幻」
(昨日の弟のブログより )一部抜粋
……夏の個展に出す絵を描く
途中ふっと奥の畳の部屋から伯母が出てきた
「あれ おばちゃん またトイレ?」
「そうなの 今日はなんだか近いのよ やんなるわ」
あふれる涙
次の月曜が来ると 伯母が逝って一年になる
104才と4ヶ月の大往生を遂げたのも 奥の部屋だった
六年前に母を、そして昨年伯母を看取った弟。二人の超高齢者の最晩年を、幸福な日々にしてくれた我が弟。穏やかに静かに幸せに人生の幕を閉じる事が出来たのは、この弟のおかげ。
きっと老姉妹は、いつまでもこの息子を見守っているに違いない。
それにしても、いつからだろう。四月が、春が、なんだか鬱々と過ぎると感じるようになったのは。
桜が咲き、次々と美しい花が競うように咲き継ぐというのに。
気持ちも体調も、足踏みしてるみたいに。
今日は、弱い寒の戻り。風が冷たい。近くのスーパーの裏の花壇には、早くも著莪の花、マーガレット、日々草が咲いていた。
強い風に煽られる白い花は、Google検索したら、えごの花と出た。ちょっと違う気もするけど。
唯一春の季語になる花は、これだけ。後は夏!こんなに寒い日に!
花たちに負けないよう、明日からは元気出していきましょう!
伯母と母の笑い声が聞こえた気がした。
風に乗り風過ぎてゆくえごの花
著莪咲けば伯母に「又ね」と手を振る春
はにかんで「トイレよ」と伯母春の虹