ネタばれせずにCINEるか

かなり悪いオヤジの超独断映画批評。ネタばれごめんの毒舌映画評論ですのでお取扱いにはご注意願います。

スター・ウォーズ/最後のジェダイ

2017年12月20日 | 映画館で見たばっかり篇


米国ではあの『ブレラン2049』と同様、批評家は高得点なのに一般観客の評価はさんざんという2分化現象が起きているという。多文化主義との謗りを受けている本シリーズには、確かに人種差別に配慮したキャスティングが施されている。

しかし、シリーズ2作目にしていまだに浮いているスペイン系のオスカー・アイザック演じるパイロットや、アフリカ系のジョン・ボイエガが演じるストーム・トルーパー脱走兵のパートは欠伸がでるほど退屈だ。

レジェンドと化したエピソード4、5、6とは違う新しいことをやろうとすればするほどなぜか映画は陳腐化していき、逆にその3作にオマージュを捧げたシークエンスでは俄然息を吹き返すという不思議な現象を目撃することができるだろう。

その辺は今回製作に回っているJ.J.エイブラムスも気づいていたようで、前作『フォースの覚醒』がオマージュ一辺倒になった理由も、その〈ルーカスがかけた呪い〉にあえて逆らわなかった演出をしたせいなのかもしれない。

カイロ・レン(アダム・ドライバー)がレイ(デイジー・リドリー)に『新しい秩序を2人で作ろう』と語って手を差しのべる本作のシーンには、これから新しいスター・ウォーズを見せてやるぞというエイブラムスの並々ならぬ意気込みが感じられる。

その意気込みも映画終盤まで空振りが続くため、これは批評家が誉めるほどの作品ではないのではと疑いはじめた矢先、ほとんど孤島にひきこもりっぱなしだったルークが、帝国軍に追い詰められたレイアの前に突然現れるあたりからストーリーは俄然盛り上がりをみせるのだ。

愛弟子カイロ・レンとの決着をつけるべく、あのオウム真理教のグルも舌を巻く渾身の“スカイウォーク”を見せたルークの勇姿に、思わず涙した方も多かったのではないか。

スター・ウォーズ撮影終了後これといった良作にも巡り会えずハリウッド・スターとしてのオーラもすっかり消え失せ、まるで東急ハンズで木彫り熊の実演販売をやっていそうな風貌に成り果ててしまったマーク・ハミル。

フォースを使って物を投げつけたり、ライトセイバーを派手に振り回すアクションを想像していた観客の期待を見事に裏切る最後のジェダイの生き様に、★一つぐらいサービスしてもバチはあたらないだろう。

身を捨つる人はまことに捨つるかは捨てぬ人こそ捨つるなりけれ  西行『詞花和歌集』

スター・ウォーズ/最後のジェダイ
監督 ライアン・ジョンソン(2017年)
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