ジョージ・ルーカスが「自分の子供」とまでいいきる『新たなる希望』と『帝国の逆襲』をうまく混ぜ合わせて1本に仕上げたようなシナリオに、はっきりいって目新しさはほとんど感じない。
ハリソン・フォードと故キャリー・フィッシャー、Cー3PO、R2ーD2等々が(年は大幅にくっているものの)昔の役柄そのままで登場しているように、本作はスター・ウォーズを懐かしみたい人向けに作られたレトロ・ムービーであるとみて間違いない。
ジョージ・ルーカスが握っていた本シリーズについての独占権をウォルト・ディズニーに売却。興業重視のディズニーが用意したシナリオが、ルーカスが当初計画していたものとは全く異なる内容だったため、本作の製作からは一切手を引いているという。
“フォース”を遺伝的に継承した家族の物語は、7作目ともなれば作る方も見る方も“飽き”がくるのは必然であり、その意味でスター・ウォーズ・オタクを自称する若手のJ.J.エイブラムスに監督をやらせたことはけっして間違いではないだろう。
現に、35年後に続編監督をドゥニ・ヴィルヴーヌに譲った『ブレードランナー2049』は興行的にいまひとつだったかもしれないが、〈10年に1本の傑作〉ともいわれる内容に私自身とても満足しているし、リドリー・スコットが監督をやらなくて本当に良かったと思っているくらいだ。
要するに〈子供の独立〉に関して、老いた親たちがいつまでもああだこうだと口をはさむべきではなく、その映画がすすむべき道をそっと後押しするぐらいのスタンスで十分ではないかと思うのである。
ハリソン・フォードが気持ち良く演技をできるよう現場でフォースを遣いっぱなしだったというアダム・ドライバーをはじめ、なんの修業もしていないのにいきなり強力なフォースを自在に操るレイ(デイジー・リドリー)が映画の中でいまひとつ輝けていないのは、そんな老害演出の犠牲になってしまったからではないだろうか。
スター・ウォーズ/フォースの覚醒
監督 J.J.エイブラムス(2015年)
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