仕事柄、知り合いから医療相談をされることが、よくあります。
先日、「膝が痛いのでサポーターをしようと思っているのですが、ずっと着けていない方がいいと、かかっている整形のお医者さんに言われました。そうなんですか?」と知人から質問されました。
どうしてその場で、「かかっている整形のお医者さん」に尋ねなかったのか?という疑問がわくのですが、患者さんというのは、診察室で即座に目の前の医者に疑問をぶつけづらいものなのです。
ですから、ある意味、気軽に質問ができる医者が知人にいるということは、人生において、大きなメリットかもしれません。
私は整形外科医ではありません。
ですから、膝が痛い彼女にはそのことを前提に・・・ということで話をしました。
膝の裏には太い血管やリンパ管があるので、締め付けすぎると血流が悪くなり、足がむくみやすいことが一番の理由であること、それから、サポーターに頼りすぎると、本来膝を支えるサポーターの役割をしているはずの筋肉をますます衰えさせてしまう可能性があること、そして、痛みを和らげるためには、膝周りの筋肉を鍛える必要があることなど・・・
最後に、簡単なトレーニング方法も教えてあげました。
実は彼女、夜寝ている間だけサポーターを着けるつもりでいたそうです。
これには驚きました。
そもそも彼女はサポーターの意味を理解していなかったんですね。
もちろん、就寝中に膝サポーター着けることに、なんのメリットもありませんが、長い時間着けないように、とだけ指導した、件のかかりつけの整形外科医は、まさか彼女が就寝中だけサポーターを着けるつもりになっていたなどとは、想像もしていなかったでしょうね。
医療者と患者とのあいだには、大小様々なギャップが存在しており、そのことにさえ気づいていない医療者は多く、時にそれが医療問題へと発展してしまうことがあります。
今回彼女は、私と知り合いだったおかげで、正しい膝痛対策を学習する機会を得ました。
ですが、本来は診察室でそのようなやりとりができる環境が整えられていることが理想なんです。