医学生のときに忘れられない体験をしました。
感染症学の実習でのことです。
手を洗えば、手はきれいになるのか?ということを調べる実験をしたのです。
用いるのは、シャーレに入った寒天培地。
寒天培地とは、医療機関や研究施設で実際に使われている細菌を培養するための道具です。
学生一人一人に3つの培地が用意されました。
実験方法は簡単です。
自分の手指をぴとっと軽く培地に押し当てるだけです。
ひとつめの培地には、講義に出ていた時のそのままの手指を押し当てました。
ふたつめの培地には水だけで手を洗ったあと、そして3つ目には、石鹸で(いつもどおりに)手を洗ったあとに、同様に指を培地に押し当てました。
シャーレは空気中の雑菌が入らないように、すぐに蓋をして、後日、観察をします。
1週間後、シャーレを見た時の衝撃は今でも忘れられません。
普段の私たちの手の汚さといったら!(笑)
水で洗っただけでも、洗わないのと同じくらいに雑菌が生えていました。
石鹸を使ったとしても、普段やっていたとおりの「ちゃちゃっと洗う」だけでは不十分なのだということも、培地を見れば明らかでした。
心に残る教育を提供してくれた大学に感謝です。
そして、あの時には考えも及びませんでしたが、多忙な日常業務の傍ら、学生の実験にご協力くださっていたはずのラボの検査技師さんたちにも感謝です。
同じような実験がご家庭でもできないか、探してみましたら、ありました。
冬休み中にでも、家族みんなでやってみるといいですね。
さて、みなさんはトイレに行ったあと、手を洗っていますか?
新型コロナウィルスは感染した人の便中にもいることがわかっており、トイレでの接触感染というルートも十分可能性があります。
日本の水洗トイレではタンクの上のノズルから出る水を使って手を洗うようになっているものもありますが、これからはきちんと、しっかりと、石鹸で手を洗いましょう。
また、トイレの水は蓋を閉めてから流すことをぜひ習慣づけましょう。
汚物に含まれたウィルスが、空気中に飛び散るかもしれないからです。
感染者と同居している場合は特に、トイレの蓋の裏側やドアの取っ手の消毒も忘れずに。