「安心して学び遊べない子ども」が増えているという教育現場において、学校給食は最後の命綱。
以前にこのブログでも紹介しましたが、ある母子家庭のケースでは、3人きょうだいの長女が小学校の給食に出たパンを食べず家に持ち帰り、幼い妹や弟に食べさせるという極度の貧困に苦しんでおり、その日の食事さえ満足に与えられていない貧困家庭の子どもたちの現状に強い衝撃を受けたことがあります。
現在、日本の子どもの貧困率は13.5%で7人に1人。
特に、母子家庭など大人1人で子どもを育てる世帯では、約48%で2人に1人が貧困家庭です(2020年:厚生労働省)。
とりわけ、〇パーセントの富裕層の世帯は論外として現在、国内における子育て中の世帯は「共働き世帯」が大多数を占めています。
「25年以上も昔から賃金が値上げしてないお父さんの給料」だけでは、子育てなど、ほぼほぼ無理なので。
お母さんも一生懸命に働き、カツカツの状態でようやく子育ができる現状です。
ここで、学童の昼食は自助という「貧困弱者切り捨て政策」に、今も苦しんでいる、ある母親の悲痛な訴えを聞いてください。
【ギリギリの精神状態で更に「弁当作れや」って、死ぬぞ母親】
「学童さ。なんで夏、冬、春休みに給食提供してくれないの?給食費払うから、なんとかならないの?毎日の弁当作り、かなり親(主に母親)に多大な負担かかってんだけど」
「共働きワンオペ家事育児して、フラフラの母親は夕飯朝食の準備すらままならないのに、ギリギリの精神状態で更に『弁当作れや』って、死ぬぞ母親!!!!作れたら作るよ弁当。でも作れない位、倒れそうな位クッソ忙しいのよ母親は」
と、彼女はまるで喉から血をふり絞るように窮状を訴えていました。
さらに、こう続けました。
「学童経営が働く母親目線ではない。母親の苦労を全く知らない父親目線なんだよ」
「変化が大っ嫌いな組織(※役所、教育委員会、学校)が関わってくるんだよなー。そんなに時代に合わせた進化をする事が嫌ですか?臨機応変に動く事が嫌ですか??」
「全く理解する気ないだろ?理解してないだろ??今、教育の場に立っている40?50代の責任者や担当者ってさ、『だって、自分の母親は毎日弁当作ってたし、あなたも働きながらできるでしょ?』って価値観なんだよ」
母親は学童を所管する役所や学校などに対し苦言を呈していました。
このような母親の「裂ぱくの悲鳴」ともいうべき訴えから、彼女のカツカツな子育て状況が窺えます。
実は、この記事は2018年4月4日にブログサービス「はてな匿名ダイアリー」に投稿されたものだそうで、ネット上で注目を集め、8月14日に人気エントリー(総合)となった記事です。
以上、J-CASTニュース(2019年8月18日付)
「夏休みの学童保育でも『給食提供して』 保護者の悲鳴、現場はどう受け止める?」より一部引用。
ところで、世の中には二種類の公務員が存在します。
仕事をしない(出来ないも含む)公務員と、給料の数倍も仕事をしてしまう公務員です。
仕事をしない公務員は、「休まず、遅れず、働かず」の”公務員三原則“を忠実に守り、ひたすら出世街道爆進中です。ほとんどの公務員がこれに当てはまるようです。
一方で、給料の数倍も仕事をしてしまう公務員は貴重な存在であり、あまり見かけませんが先般、ある報道でその存在を知りましたのでこれから紹介します。
アントニオ猪木氏ではありませんが、前記母親の「強烈なビンタ」で気合を注入されたのが八王子市。
2019年6月18日、八王子市は夏休みに学童保育所で試行的に子どもたちに昼食を提供すると発表しました。
以下、朝日新聞デジタル2019年6月19日 付より一部引用。
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東京都内で学童保育施設が最も多い八王子市は18日、今年の夏休みに学童保育所で試行的に子どもたちに昼食を提供すると発表した。
夏休みは学校給食がなく、弁当を用意する親の負担が大きいため、要望が寄せられていた。コンビニのおにぎりや弁当を持参する子もいるため、栄養のある食事を提供することにした。
地方自治体の学童保育所で夏休みに食事を提供するのは全国的に珍しい。
市社会福祉協議会が運営する船田小学童保育所で7月29日から、NPO法人からまつが運営する第九小学童保育所で8月19日から、それぞれ5日間実施する。学校栄養士の献立に基づいて、校内の調理室で給食調理員が調理する主食と主菜、1~2品程度の副菜を提供。1食300円を保護者に負担してもらう。――以下、省略。
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この画期的な試みが2018年8月、「市民派無所属 府中市議会議員 結城亮(ゆうき りょう)氏」によって同氏のブログで、次のとおり高評価されるなどして紹介されました。
以下、結城亮(ゆうき りょう)氏のブログより一部引用。
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府中市議会議員の 結城りょう です。
インターネット上の「JCASTニュース」8月18日付では、八王子市の学童保育における昼食の提供について報じています。同ニュースでは、「夏休みなどの長期休暇中にも、共働き家庭などを対象に行われる学童保育だが、学校がある間とは違い、給食は基本的に存在しない。そのため弁当を作らなくてはいけないことが、保護者への負担になっている――そう訴える上記の記事は、少なからぬ共感を呼んだ。一方で、八王子市が市内の学童保育所で昼食提供を試行的に始めた取り組みが注目を集めている」と報じています。
さらに同ニュースでは、「同市の子ども家庭部児童青少年課の担当者に取材したところによると、昼食提供の経緯について『保護者から夏休みの長期休暇中の毎日のお弁当作りが大変という声が寄せられた。お昼を提供するのであれば、栄養士が献立を考えたバランスの取れたものを提供できる』と話していた」とあります。
また「担当者によると、『お弁当づくりが毎日大変なので助かる』などの趣旨の声が保護者から寄せられたという。今後の展開については、『(保護者や子どもからの)アンケートを分析して、1つでも多くの学童保育所で昼食提供が夏休みにできるように検証していきたい』としていた」。
「『格差と貧困』により、児童の7人に1人が貧困世帯で暮らしているという実態のもと、夏休みになると昼飯を食べられない児童が存在し、由々しき問題だ」という声も聞きます。
またこのニュースにあるように、共働き世帯にとってお子さんに昼食を提供しなければならない親御さんにとっては、重要な問題です。
そこで八王子市の学童保育所のように、児童たちに対し、昼食を提供するのは大変重要な意義があると思います。府中市の学童保育所においても、ぜひ児童たちへの昼食提供について、他市の事例を参考に求めたいと思います。
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以上ですが、素晴らしいの一言ですね。
その後、八王子市はこの画期的な学童給食の試みを本格的に続けたそうです。
さらに、結城りょう氏によると、「10月からの幼児教育無償化にともなう、給食のおかずの費用の保護者負担が増える場合、低所得世帯などについては、八王子市が増加分を負担する」と発表したとのこと。
2020年8月29日、結城りょう氏がご自身のブログで、この「八王子市の善意」について詳細を紹介していました。
その記事の一部を引用させていただきます。
次のとおりです。
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「府中市でも低所得世帯への給食費用増加の負担を求めたい・・八王子市で負担へ」
府中市議会議員の 結城りょう です。
今朝(8月29日)の朝日新聞多摩版に、八王子市が27日、「10月からの幼児教育無償化にともなう、給食のおかずの費用の保護者負担が増える場合、低所得世帯などについては、市が増加分を負担すると発表した」とあります。八王子市では対象は25人程度の見込みで、主食については引き続き市が負担するとのことです。府中市においてもぜひ八王子市の事例を参考にして、実施してほしいものだと思います。10月からの消費税引き上げなどで物価があがることになりそうです。低所得世帯への支援をぜひ行政が行うことを、府中市においても要望していきたいと思います。
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八王子市では、前述した「母親のビンタ」に相当な気合と闘魂が注入されたようですね。(笑)
これは、子育て中の共働き世帯にとっては非常にありがたい施策ですよ。
八王子市にお住いの保護者の皆さんは、どんなに救われたことでしょうか。
本来、公僕の公務員とは、こうあるべきでしょう。
そして今年8月5日付の読売新聞では、次のとおり「八王子市の夏休み中の学童給食について、その詳細が報じられました。
以下、2022年8月5日付読売新聞より画像で一部引用。
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以上です。(スマホやパソコンなどの画像を拡大すれば、記事の詳細がはっきりとわかります)
一応、画像の記事から一部を抜粋し以下に記載しておきました。
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「給食調理室の昼食 学童に」八王子市21か所で取り組み
八王子市内の一部の学童保育所で、夏休み中の小学校の給食調理室などで調理した昼食を提供する取り組みが注目されている。今年も5日間程度、市内21か所の学童保育所で給食の提供が行われ、子どもたちが、おいしそうにほおばっている――中略
八王子市では3年前から先駆的な試みとして、給食のように小学校の調理室で調理した給食を有料(1色250円)で提供する取り組みを始めた――中略
そのうちの一つ、市立恩方東学童保育所では3日、給食センターから届いたやきとり丼などの給食に、38人の子どもたちが舌鼓を打った。小学3年、粕谷礼さん(9)は「お弁当より温かく、おいしい」と喜んでいた。
立ち会った市放課後児童支援課の職員は「栄養士がバランスを考えた献立で、子どもたちの健康にも寄与できる。全学童保育所での提供を目指したい」と話していた。
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このような先駆的な試みが、全国の地方自治体でも取り組まれることを痛切に願っています。
「令和の伊達直人」ともいうべき八王子市役所の皆さん、今後も「公助による食育」が全国に拡散されるよう尽力されてください。
微力ではありますが、河村もこのブログで応援していきたいと思ってます。
さて、余談ですが、 「仕事をしない公務員」の見解は次のとおりです。
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厚労省では、各自治体に向けて出した放課後児童クラブ運営指針を定めている。同指針では昼食について定めていないが、おやつについては言及しており、「子どもにとって放課後の時間帯に栄養面や活力面から必要とされるおやつを適切に提供する」としている。
同省の子育て支援課の担当者は16日、J-CASTニュースの取材に対し「放課後の子どものいる場所という施策。おやつは提供することになっているが、昼食はその場で作って出すように元々想定していない」と語っていた。
以上、J-CASTニュース(2019年8月18日付)より一部引用。
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これが普通なんですよ。
ただ、二種類の公務員には共通していることがあります。
「税金で飯を食っている」ことです。