ある冬「神田新八」という居酒屋を見つけ、「牡蠣鍋」を食べたいと伺いました。
その牡蠣鍋は、北海道厚岸産の生でも食せる新鮮な牡蠣を使い
三種の味噌、「麹味噌」「西京味噌」「八丁味噌」に
「砂糖」と「熊本の赤酒」に「神亀純米辛口」を入れ
1時間以上練りこんだ特別な味噌だれ
これを溶き入れたのが、牡蠣鍋のつゆです。
野菜は、江戸川春菊と下仁田ねぎが入ります。
牡蠣は完全に火を通さず、しゃぶしゃぶにしてレアな状態の
ぷくぷくした牡蠣をいただく絶品の牡蠣鍋です。
そして、これに神亀酒造の「神亀純米 辛口」のぬる燗で
"ぐびり"とやります。
味噌に神亀、お酒も神亀、
濃い目の味付け料理と相性が良すぎます。
〆は、ご飯とたまごで雑炊です。
そんな至福の時、ふと新八特製の盃を見ると、ふちに金色の飾りが
よ~く見るとガラではなく、あとからほどこした物、 違和感がなく盃に溶け込んでいます。
これが最初の「金継ぎ」とのめぐり合いでした。
永く大事に使うお店の心意気が感じられます。
私も見よう見真似に体感したいと思います。
早速、お気に入りの盃や食器が欠けて捨てるには忍びないので、
【藤井漆工芸 金継ぎ「美」セット】を買い求め、
漆による陶器の再生方法を習得したいと思います。
「金継ぎ」とは、割れたり欠けたりした陶器を漆(うるし)で継ぎ、
金や銀で修理する日本の伝統技法です。
壊れてマイナスになってしまったものを、完全に修復してゼロに戻すことは不可能です。
「日本の金継ぎ技法は、壊れてしまったことを惜しみながらも受け入れ、
あえて傷をプラスとしてとらえ、金や銀で目立たせることで傷を楽しみ、
新しい美しさ・出会いを生み出す技法です。」
傷を楽しみ、プラスにしてずっと大切にしようという
日本人ならではの大切なものの愛し方・心を感じる手法です。
子供の頃、漆にかぶれたことがありましたが、あえて「天然の本漆」を使ったり、「本金粉」を使うのは人生初です。
金継ぎに必要な材料は、
・金継ぎ用漆20g
・プラベラ
・耐水紙#600
・ガムテレピン油100cc
・真綿
・手袋
・毛棒
・小皿
・黒軸筆
・本金泥粉0.2g 5000円
・砥之粉
まずは、工程のご紹介
①割れた陶磁器の接着 割れてしまった陶磁器は「糊漆(のりうるし)」で接着します。
②「糊漆」の作り方
■温かいご飯、30粒程
■同量の生漆
■木粉
■小さなヘラ
1柔らかいご飯粒をヘラでつぶしながら粘りが出るまでよく練ります。
2出来上がった糊と同量位の生漆を加えて、またよく練ります。
3少量の水練りした砥の粉を加えて硬さを調節します。
③糊漆での接着
糊漆を陶磁器の接着面へ均一に付け、かけらを接着していきます。
④接着後の固定
接着面が剥がれないように輪ゴムやセロテープ等で固定し、乾かします。
(糊漆は乾燥に時間がかかるので、1週間位はそのままにしておきます。)
⑤漆の乾かし方
漆は塗る事よりも乾かす事の方が難しいと言われ、気使う行程です。
大きめのダンボール箱を利用するのが手軽で便利です。
箱の内底へ防水のためにビニールシートを敷き、
その上に湿らしたタオルなどを敷き、蓋をすれば湿度が保てます。
乾かす時に、湿らしたタオルや水滴が漆の塗膜に直接触れると、
白く曇った様になるので注意が必要です。
⑥はみ出た糊漆を削る
糊漆が完全に乾いているのを確認しながら、はみ出た糊漆を金ベラで削り取ります。
⑦削り後の研ぎ
糊の部分をサンドペーパーで、周りに傷が付かない様に研いで滑らかにします。
(欠けや穴があるときは錆漆で穴埋めします。)
⑧蒔絵で加飾
金粉を蒔くための漆と、色漆を使って、接着部分を加飾します。
⑨仕上げ
色漆や金で加飾した部分に、拭き漆で艶を出して完成です。
では実践です。
まずは、小さめからトライします。
盃のふちが欠けています。
お茶碗のふちが数箇所かけています。
さてうまく出来るかどうか
他にも欠けたりしたのをかき集め まとめて金継ぎをほどこします。