意思による楽観のための読書日記

宣戦布告 麻生幾 **

北朝鮮による敦賀半島への少人数特殊部隊による侵攻を題材にした擬似パニックシミュレーション小説。現実の可能性は別にして、警察力では対応できないような外国による侵攻があった場合の、日本が取るであろう対応をシミュレーションしている。非武装中立、憲法九条の制約、警察対応の自衛隊対応への延長解釈などがリアルに語られ、省庁別対応や組織別、地方自治体と政府連携がいかに拙いことになるかを解説している。災害対応でも類似の問題があると感じるが、他国による侵攻がテーマであるだけに深刻かつ判断に急を要することが想定され、自衛隊という強力な軍隊を保有しながら、憲法と法律でその行動を縛っている現状の矛盾や独立国家として国を守ることの意義を感じる。最後の終息部分はフィクション小説にありがちな尻すぼみ感があるが、それまでの問題提起に本小説の価値はある。
加筆完全版 宣戦布告〈上〉 (講談社文庫)
加筆完全版 宣戦布告〈下〉 (講談社文庫)

↓↓↓2008年1月から読んだ本について書いています。

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