政府は被爆国の責務をはたせ
今年はアメリカ軍が広島と長崎に原爆を投下してから80年です。
ロシアが核の威嚇を繰り返し、アメリカをはじめ他の核保有国も核兵器への依存を高めるなど、危険な状況が続いています。一方で、核兵器禁止条約の署名国が94と国連加盟国の半数近くに達し、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)がノーベル平和賞を受賞するなど、危機打開への明るい光もあります。
重大な岐路にある今、石破茂政権は、唯一の戦争被爆国としての責務をはたさなければなりません。
■非人道兵器を拒め
まず何よりも、核兵器廃絶を実現するための行動が求められます。
核兵器禁止条約は核軍縮をもっぱら「安全保障」の視点で議論してきたことに対し、非人道的な兵器を禁止せよと主張して生みだされたものです。被爆者が痛苦の体験を証言し被爆の実相を広げてきたことが大きな力になりました。
日本政府も国際舞台で被爆国であることを強調し、ヒロシマ・ナガサキを繰り返してはならないと言います。しかし、核兵器禁止条約には背を向けつづけています。昨年の国連総会では禁止条約への参加を訴える決議が、加盟国の3分の2近くの127カ国の賛成で採択されましたが、日本は核保有国とともに反対しました。
核兵器の非人道性を認めるのであれば、その使用を前提とした「核抑止力」に依存することは根本的に矛盾します。アメリカの「核の傘」への依存をたちきり、核兵器禁止条約に加わる決断をするときです。3月に開かれる禁止条約の第3回締約国会議には、最低でもオブザーバーとして参加すべきです。
■国家補償の実現を
もうひとつは、被爆者への国家補償をすみやかに実現することです。
ノーベル賞授賞式の講演で田中熙巳(てるみ)・日本被団協代表委員は、「原爆で亡くなった死者に対する償いは、日本政府は全くしていないという事実をお知りいただきたい」と訴えました。
広島・長崎への原爆投下は、その残虐性からも国際人道法に反することは明らかです。日本がサンフランシスコ平和条約で対外的な賠償請求権を放棄している以上、政府が責任をもって補償にあたらなければなりません。
国は、元軍人・軍属などには恩給など厚い補償を行ってきました。支給総額は60兆円を超えます。しかし、被爆者や空襲被害者など民間人には、戦争の被害は「受忍」すべきものとして、国による補償を拒否してきました。憲法の平和原則にも、「法の下の平等」にも反するものです。
被爆者の粘り強い運動で疾病や健康不安への国の援護施策が一定程度、実現されてきました。さらに抜本的な改善が急がれるのは言うまでもありません。
同時に被爆者が求めているのは、死没者を含め被爆者と家族など被害者への償い、「再び被爆者をつくらない」決意を込めた国家補償です。被爆者の平均年齢は85歳を超えました。政府はすみやかにその実現にふみだすべきです。
日本共産党は被爆者の願いに応える政治の実現にむけ力を尽くします。
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