イタリア語で海岸を意味するリビエラは世界的な観光保養地として知られます。イタリア北部からフランスにかけた風光明媚(めいび)な地中海沿岸を指し、夏は海水浴客でにぎわいます。
一方、同じ地中海に面したガザも古くからアフリカとアジアをつなぐ交易の拠点として人が行き交い、観光地にもなっていたといいます。しかしいま、その海はイスラエルによって封鎖され、汚水や廃棄物が未処理のまま垂れ流されています。
そんな実情をわかろうともせず、トランプ米大統領がガザを「中東のリビエラ」にすると発言しました。荒稼ぎした不動産王の血が騒いだのか、ガザの住民を追い出してがれきの街を整え、リゾート地として世界中から人を呼び寄せようというのです。
米国が、ガザを長期に所有するとも。命を奪われ血を流し、生活を破壊されながら、なおこの地にとどまり人間として生きる権利を求めてきた人びとは、どんな思いで聞いただろうか。
イスラエル建国によって何十万人ものパレスチナ人が家や故郷を追われ、難民となった悲しみの歴史。民族浄化ともいえる悲劇は「ナクバ(大いなる災厄)」と呼ばれ、ガザの住民の多くは難民となった人たちとその子孫です。
いま国際社会がやるべきはガザを徹底的に壊した責任を問い、住民のくらしを復興することではないのか。「私はオリーブの木のようにここにいる」。パレスチナを代表する人権活動家のラジ・スラーニさんはいいます。「私たちは決して故郷を離れることはない」と。
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