1ヶ月に及ぶおつとめを終えた夫を自宅に連れ帰った。
私の拙い運転で、助手席で見る娑婆の風景がこの日夫の目にはどのように映っていたのであろうか。
運び込まれたときには、血糖値も血圧もすべてが最高潮。
死なないほうがおかしい、と医師に酷評を受けるほどの夫が1ヶ月で退院できたのは奇跡に近いことなのかもしれない。
だからこそ、食事には細心の注意を払わねばならない、と覚悟を決めて連れ帰った。
とにかく、薄 . . . 本文を読む
私が眠れない夜を過ごしていたとき、とうの本人である夫が眠られなかったのは言うまでもない。
夜中に起きだして、リハビリ室でひとり黙々と痛みに耐えながらリハビリに励んでいたそうだ。
この病気になると、拘縮が始まり握り手になったら、なったままになるひとが多いらしい。
足も引きずったままになってしまうことが多いのも、最初のリハビリが肝心だからだそうだ。
相当な痛みを伴うリハビリに耐えなければ、機能回復は . . . 本文を読む
夫が倒れたことを、私は自分の両親にはすぐには伝えなかった。
生死にかかわる状態ではなかったことや、無駄な心配をかけたくもなかったし、こんな年齢になっても父に叱られたくなかったこともある。
「おまえがそばについていながら、なんでこんなことになったんだ」と。
また、自分の選んだ人生が、失敗だったと両親に思われるのも嫌だったから。
しかし、夫が倒れて3,4日経ったときのこと。
突然父から電話が入った。 . . . 本文を読む