友人がシンポジストとして講演するというので東京永田町に出かけた。
テーマは在宅医療と医療・介護制度改革。
まずは、民主党の衆議院議員の山崎摩耶氏の講演。
お題は「これからの我が国の社会保障政策と在宅医療・介護の将来」だ。
山崎摩耶氏は、我が国の訪問看護のパイオニアとして、在宅ケアや保健活動の先駆けとして活躍された後、医療・介護の制度作り、特に介護保険制度の産婆役を自負している看護師であり、今回の選挙で衆議院議員に民主党から出馬し初当選した。
さっそく忙しく活躍されているご様子であり、国会議員の活動や仕事、思考の一端をうかがうことができた。
さすがに国会議員ともなると頭は切れるし、活動的だと感じた。
タフでないと務まらない仕事だ。
政権交代を成し遂げた民主党が訴えるのは「コンクリートから人へ」の政策である。
大方針としては「地方分権」「直接的な社会保障へのシフト」「情報開示」
これらは国民一人一人に自ら考え、行動することを求める。
「知らしむべからず、依らしむべし。」という徳川時代以来の伝統から脱却し、一人一人が市民になる覚悟はできてるだろうか。
06年の小泉改革の影響がボディブローのように効いて医療や福祉の現場を蝕んでいる。
権丈善一先生の言うように「ムードにのせられて小泉政権に一票を投じた人は反省し責任を感じなければならない。」のだろう。
貧困の問題と健康格差も大変な問題だ。
また教育年数や、所得などが低いことと貧困と要介護度や、うつ、そしゃく力などが存在すること(日本福祉大学、近藤克則先生らのデータ)などを紹介し健康格差、いのちの格差もすすんでいることを示された。
個人としてバラバラにされコミュニティの衰退。家族福祉の後退でますます生活にお金がかかるようになる。結果、可処分所得は減り、貧困が広がっている。
貧困の襲来は医療現場での実感とも合致する。
少子高齢化は山村過疎地の問題と考えられているが、これから大変なのは都営住宅などの都市部だそうだ。
団塊の世代が高齢化し、かつて無いスピードで少子高齢化が進行している。
2015年を一つのピークとして、これから10年が正念場だ。
医療費自体も他の先進諸国の並のGDPの10%位までを目標に増やしていくのは当然だが、適切な医療費の配分も大事である。
「Cure」から「Care」の医療のパラダイムシフトに応じた適切な医療費の配分を考えなくてはならない。
急性期をスリムにする一方で介護と連携した在宅医療を手厚くする方向性だ。
現状を考えると、ケアの場を自宅だけではなく。ケアハウスなどの居宅系サービスに移し、そこに医療を外付けするという誘導も致しかたないかもしれない。
また一千億円を投じて、ライセンスの無い職種を医療の分野で10万人雇用を創出するというのはメディコポリス構想にもつながる発想だ。
そして地方分権も課題。
医療や福祉が東京と島根と、北海道と沖縄が同じサービスで良い訳がない。
道州制になったところで地域ごとで競うような形になれば面白いのではないか。
例えば北海道を保健医療福祉特区にして先進的、実験的な政策を先行させるなどのことも面白いだろう。
介護保険の産みの親の一人である山崎氏が振り返って悔やまれるのは人材がフルタイムで雇用でなくてもできる仕組みにしてしまったことだそうだ。
ヘルパーはコマ切れの労働力の提供になる。主婦の片手間ならいざ知らず、しかし介護職だけで生計を立てていくのは苦しい。
そして介護福祉士やケアマネージャーなどへの道は開かれてはいるものの、看護師や医師などのようなキャリアラダーがない。これではプライドが保てず、モチベーションも上がらない。
介護人材の立ち去り、そしてサービスの質の低下につながっている。
09年度診療報酬改定で介護報酬は3%アップしたが、加算分の引き上げのみであり、本体部分はそのままであり、介護職の賃金の引き上げ(4万円が目標)などの処遇改善には結びついていない。
また国連の障害者権利条約などの批准はしているものの国内法の整備は遅れている。
とても福祉とは言えない応益負担で悪名名高き障害者自立支援法は廃止し、応能負担の「障害者総合福祉法(仮)」の制定を目指すという。
上から与えられたものではなく「障害のある人もない人も共に暮らしやすい千葉県づくり条例」の取り組みように、当事者、市民が徹底的に議論して制定した障害者差別禁止を盛り込んだものにしていきたいところだ。
結局、介護保険にしろ、自立支援法にしろ現物給付が原則である。直接の現金給付と言うのは色々問題が多いだろうが、もうすこし当事者のニーズに応じられるフレキシブルなものにできないか。
「現場の声をどんどん聞かせてください。陳情ではなく提案してください。」というスタンスの山崎まや氏。
一方で、「産まれたばかりの政権なのであたたかく見守ってください。」という言葉には、同席したジャーナリスト氏は「あたたかくではいけない、厳しく、せめてしっかりと見守ってくださいというべきだろう」という感想を述べていた。
自称、野党的山崎まや氏もまだ与党議員としての立ち位置に慣れていないのであろうか。
頼りになる政権与党の議員としてこれまで以上に医療福祉の現場と政策をつなぐ活躍を期待したい。
山崎まやオフィシャルサイトー医療・介護・看護の明日を考える輪
テーマは在宅医療と医療・介護制度改革。
まずは、民主党の衆議院議員の山崎摩耶氏の講演。
お題は「これからの我が国の社会保障政策と在宅医療・介護の将来」だ。
山崎摩耶氏は、我が国の訪問看護のパイオニアとして、在宅ケアや保健活動の先駆けとして活躍された後、医療・介護の制度作り、特に介護保険制度の産婆役を自負している看護師であり、今回の選挙で衆議院議員に民主党から出馬し初当選した。
さっそく忙しく活躍されているご様子であり、国会議員の活動や仕事、思考の一端をうかがうことができた。
さすがに国会議員ともなると頭は切れるし、活動的だと感じた。
タフでないと務まらない仕事だ。
政権交代を成し遂げた民主党が訴えるのは「コンクリートから人へ」の政策である。
大方針としては「地方分権」「直接的な社会保障へのシフト」「情報開示」
これらは国民一人一人に自ら考え、行動することを求める。
「知らしむべからず、依らしむべし。」という徳川時代以来の伝統から脱却し、一人一人が市民になる覚悟はできてるだろうか。
06年の小泉改革の影響がボディブローのように効いて医療や福祉の現場を蝕んでいる。
権丈善一先生の言うように「ムードにのせられて小泉政権に一票を投じた人は反省し責任を感じなければならない。」のだろう。
貧困の問題と健康格差も大変な問題だ。
また教育年数や、所得などが低いことと貧困と要介護度や、うつ、そしゃく力などが存在すること(日本福祉大学、近藤克則先生らのデータ)などを紹介し健康格差、いのちの格差もすすんでいることを示された。
個人としてバラバラにされコミュニティの衰退。家族福祉の後退でますます生活にお金がかかるようになる。結果、可処分所得は減り、貧困が広がっている。
貧困の襲来は医療現場での実感とも合致する。
少子高齢化は山村過疎地の問題と考えられているが、これから大変なのは都営住宅などの都市部だそうだ。
団塊の世代が高齢化し、かつて無いスピードで少子高齢化が進行している。
2015年を一つのピークとして、これから10年が正念場だ。
医療費自体も他の先進諸国の並のGDPの10%位までを目標に増やしていくのは当然だが、適切な医療費の配分も大事である。
「Cure」から「Care」の医療のパラダイムシフトに応じた適切な医療費の配分を考えなくてはならない。
急性期をスリムにする一方で介護と連携した在宅医療を手厚くする方向性だ。
現状を考えると、ケアの場を自宅だけではなく。ケアハウスなどの居宅系サービスに移し、そこに医療を外付けするという誘導も致しかたないかもしれない。
また一千億円を投じて、ライセンスの無い職種を医療の分野で10万人雇用を創出するというのはメディコポリス構想にもつながる発想だ。
そして地方分権も課題。
医療や福祉が東京と島根と、北海道と沖縄が同じサービスで良い訳がない。
道州制になったところで地域ごとで競うような形になれば面白いのではないか。
例えば北海道を保健医療福祉特区にして先進的、実験的な政策を先行させるなどのことも面白いだろう。
介護保険の産みの親の一人である山崎氏が振り返って悔やまれるのは人材がフルタイムで雇用でなくてもできる仕組みにしてしまったことだそうだ。
ヘルパーはコマ切れの労働力の提供になる。主婦の片手間ならいざ知らず、しかし介護職だけで生計を立てていくのは苦しい。
そして介護福祉士やケアマネージャーなどへの道は開かれてはいるものの、看護師や医師などのようなキャリアラダーがない。これではプライドが保てず、モチベーションも上がらない。
介護人材の立ち去り、そしてサービスの質の低下につながっている。
09年度診療報酬改定で介護報酬は3%アップしたが、加算分の引き上げのみであり、本体部分はそのままであり、介護職の賃金の引き上げ(4万円が目標)などの処遇改善には結びついていない。
また国連の障害者権利条約などの批准はしているものの国内法の整備は遅れている。
とても福祉とは言えない応益負担で悪名名高き障害者自立支援法は廃止し、応能負担の「障害者総合福祉法(仮)」の制定を目指すという。
上から与えられたものではなく「障害のある人もない人も共に暮らしやすい千葉県づくり条例」の取り組みように、当事者、市民が徹底的に議論して制定した障害者差別禁止を盛り込んだものにしていきたいところだ。
結局、介護保険にしろ、自立支援法にしろ現物給付が原則である。直接の現金給付と言うのは色々問題が多いだろうが、もうすこし当事者のニーズに応じられるフレキシブルなものにできないか。
「現場の声をどんどん聞かせてください。陳情ではなく提案してください。」というスタンスの山崎まや氏。
一方で、「産まれたばかりの政権なのであたたかく見守ってください。」という言葉には、同席したジャーナリスト氏は「あたたかくではいけない、厳しく、せめてしっかりと見守ってくださいというべきだろう」という感想を述べていた。
自称、野党的山崎まや氏もまだ与党議員としての立ち位置に慣れていないのであろうか。
頼りになる政権与党の議員としてこれまで以上に医療福祉の現場と政策をつなぐ活躍を期待したい。
山崎まやオフィシャルサイトー医療・介護・看護の明日を考える輪
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