集成・兵隊芸白兵

 平成21年開設の「兵隊芸白兵」というブログのリニューアル。
 旧ブログ同様、昔の話、兵隊の道の話を続行します!

(短め投稿)読書感想文的なナニか(;^ω^)

2019-05-18 18:37:30 | 集成・兵隊芸白兵雑記
 本年春、「自衛隊 最強の部隊へ」(二見龍著 誠文堂新光社 「偵察・潜入・サバイバル編」と「CQB・ガンハンドリング編」の2分冊。)という本が発売されました。弊ブログを読んでいる方の中にも、同作者の前著「40連隊に戦闘技術の負けはない―どうすれば強くなれるのか!永田市郎と求めた世界標準―」とあわせ、購読している方がいるかもしれません。

 著者は第40普通科連隊(小倉)連隊長時代に、勇気をもって一流の部外講師を継続して呼び続け、文字通り世界標準の技術を兵隊に与え続けた、自衛隊幹部には珍しい知見を持つ大人物。
 自衛隊もそうですが、日本の組織は外からの血を入れるのが嫌いで、マニュアルに載っていないものを採用することを嫌います。これは私の会社も全く同じです。
 では、「組織に外の血を入れるのを嫌がる人間」は、一体いかなる理由で反対するのか?
 マニュアルに載っていることを熟知し、自信と信念を持って反対しているのか?それとも、もし部外から取り入れたものが期待に添わないものであった場合、自分の管理責任を問われたりすることが面倒だからか?それともただ単に「部外の技術を知らなくても、オレは困らないから知らなくていい」というだけの理由なのか?…これはあくまでワタクシによる弊社内調べですが、一番最初に挙げた理由で反対している人間は、まずいません(-_-;)。
 そういった意味でも著者の取り組みは極めて珍しく、だからこそ書籍化する価値があったのでしょう。

 これに付随する話ですが、近年、組織を離れて好き勝手なことをしている人間が、無責任な立場から無責任な発言を繰り返すことが多発しております。
 そういった手合いの中で特に最低なのが、10年くらい前、海上保安庁に関する暴露本を複数出版したS本祐Kなる人物。
 暴露本を出版した当初こそ、その効果によりテレビ出演に映画のアクション指導などと、人前にチャラチャラ露出しておりましたが、徐々にその低劣な人間性が炸裂。関連するあらゆる団体・個人に後足でクソを掛けるようなマネを繰り返した挙句、比較的名の通った軍事評論家にケンカを売り、その無知蒙昧ぶりを天下にさらされた挙句に逆ギレし「オレは国会議員の●●さんを知っている!議員会館に出てこい!」と吹きまくった挙句、退路がなくなり、ついにその手の業界から一旦姿を消すに至った…という、まあ、一言で言ってクソバカなヤツです。皆さんの人生において、知っていても全く役に立たない人物ですね。
 このS本ほどではないですが、知見の程度はS本と似たり寄ったりの「組織を離れた自称識者」は多く、辟易するようなことばかりを主張しています。

 「組織が気に入らないから、組織を捨てて活動する」という心境は理解できますが、ではなぜ、「組織に所属しつつ、組織に正しい知見を取り入れる」ことをしなかったのか、あるいは断念したのかを明確に語ることができなければ、「組織の中できちんと生きられなかった阿呆」ということだけで終わってしまうのではないでしょうか。
 「組織に所属しつつ、組織に正しい知見を取り入れる」ということは、明確な理由を持たないまま「組織を捨てて好き勝手なことを言う」ことよりはるかにつらく、難しいことであり、だからこそ不滅の輝きを放つ尊いものであると、ワタクシは思うのです。

 二見元連隊長の英断はその後、全国陸自部隊の戦術を一変するほどの取り組みとなり、「組織の中に正しい知見を取り入れる」の大輪を咲かせております。