集成・兵隊芸白兵

 平成21年開設の「兵隊芸白兵」というブログのリニューアル。
 旧ブログ同様、昔の話、兵隊の道の話を続行します!

「孫子」で人生「損し」て、だいじょうぶ???

2016-03-31 20:59:39 | 集成・兵隊芸白兵雑記
 弊ブログをご覧の皆様は、非常に教養ある方が多いので、シナの兵法の古典「武経七書」をご存知のことと思います。「んなもん、知っとるわ!」…はい、すみません。
 みなさまも良くご存知の「孫子」「呉子」のほか、「尉繚子」、「司馬法」、「(太公望)六韜」、「(黄石公)三略」、「李衛公問対」という7つの兵法書ですね。

 モノを知らない若かりし日、これさえ読めば!と浅はかに考え、一般人が読めるような日本語の訳書がほとんどない「司馬法」や「李衛公問対」以外を、図書館に通いつめて読んだ時期がありましたが…はっきり言ってどれもこれも、あまり人生の参考になっていません(^_^;)

 日本には、大江匡房が編んだと言われる独自の兵法書「闘戦経」があります。
 「闘戦経」とはどのような書物かといいますと、「(これが編まれた)当時は、中国文化の無条件取り入れ時代であり、国情の違う中国で生育した「孫子」を無批判に取り入れて心酔し、策に流れて、誠実な努力を怠る者が多くなった」ため、 大江匡房が「孫子」の欠点を指摘して、そのままではわが国に適用できないことを警告する」ために書いたものです。
(カッコ内の解説は、幻の兵書「闘戦経」 大江匡房・著伝 大橋武夫・解説 まえがき より)

 そのメインの内容は、不肖私の抜粋ですが、こんな感じです。
・第一は日本の武道、第二はシナの兵法。
・孫子は詫譎「きけつ」(いつわり、あざむく)の書である。
・兵法の本来は戦いにある。
・孫子は懼字「くじ」(敵を恐れる)なり。
・未だ謀士の骨を残すを見ず(謀をする奴は責任を取らないという意)。
・疑えば、天地みな疑わし。
・智者は威をおそれ、罰をおそれず。
 実に日本らしい気概であり、また、堂々と孫子を批判しているあたり、実にすばらしい。日本人による日本人の兵書たる所以です。

 孫子を始めとするシナの武経七書には、私見で、大きく分けて3つの特色があります。
1・「戦う前に相手を骨抜きにする」ということに力点が置かれすぎ、実際に戦闘をすることに関する哲学やプライド、覚悟といったものが、全く読み取れないもの(孫子、六韜三略)
2・道教の影響を受け、一見すると何が書いてあるかさっぱりわからないもの
 (司馬法、李衛公問対、尉繚子)
3・まあまあ観賞に堪えるもの(呉子)

 また、その自出も「漢の張良が怪しげな老人に伝授してもらった(三略)」とか、「斉に伝わる秘伝(司馬法)」だの、かなり怪しい(^_^;)。
 まあだいたい、シナの武術はその開祖が孫悟空とかヽ(´Д`;)ノ猪八戒とか(°д°)いうようなものがたくさんありますから、兵法書も、ミステリアスな自出の方がいい・・ということなのでしょうか。
 孫子だって、もとは呉の孫武が作ったと言われてますが、注釈を加え、ほぼ現代の姿にしたのは三国志でおなじみの曹操ですし、その他のものについても、その成立は随・唐の時代というものがほとんどです。
 所詮、その程度のものなのです。

 本屋で投げ売りされている、無批判な孫子の賛美本には必ず、「武田信玄やナポレオンは孫子を参考にした」などという話がありますが、彼らの人生や戦いぶりを見る限り、孫子に書かれていることをそのままやったとは全く思えません。かなりのアレンジを加え、彼らは独自の成功を収めています。決して孫子を鵜呑みにして成功したわけじゃないんですよ。

 おそらく、本当に真面目に、漢籍研究として武経七書を研究している人以外で、孫子に関する著書を書いている奴は、だいたい「孫子がビジネスに使える」だの、「現代のビジネス必携」だの言っているクソ野郎で、その根本は「座して儲ける」「ラクして儲ける」というふざけた思想しかなく、その腐った思想をカモフラージュするため、孫子を孫引きしているにすぎません。
 で、そういうクソ野郎が奉じる著書がなぜ「孫子」かというと、そういうバカは、ほかの武経七書なんて読まないでしょう(*´∀`*)。ましてや「闘戦経」みたいな名著は、存在すら知らないのでは(*´∀`*)。
 しかし、そうした腐ったヤツと同じような周波数になるシナの兵法は、それはそれで、大したもんですが…(^_^;)
 
 んで、本日私が何を言いたいかといいますと、日本人には日本の国土と文化に根ざした兵法があるのだから、やれ「アメリカでは…」だの、「アジア(←マスコミが「アジア」という場合、シナチョンのいわゆる「特定アジア」を指す場合がほとんど)では…」というクソ野郎の言うことを、鵜呑みにしてはならないということです。
 卑怯怯懦があたりまえで、まともな戦闘行為ができないシナ・朝鮮人の戦い方と、国土が丸焼けになる寸前まで気合で戦える日本人との間には、本当に大きな差があります。同じ人間という生物とは思えないほどの格差があります。
 しかし、だからこそ、権力者や舌先三寸で生きる詐欺師が安逸を貪り、小手先で大きな勝利を得ようという発想に根ざす「孫子」は、日本人であって日本人でない腐ったヤツの心を捉えて離さないのでしょうが、そんなヤツの口先にだまされないインテリジェンスが、ネット社会の私たちには、否応なしに求められていると思います。

 タイトルは単なるダジャレです(^_^;)

「如何なる堅艦快艇も 人の力によりてこそ」

2016-03-26 07:21:14 | 集成・兵隊芸白兵雑記
 レコードチャイナなどを読んでおりますと、シナが海軍や海洋警察らしきものを拡充し、空母や潜水艦、巨大巡視船などをガンガン作っているそうですね。不況、不況といいながら、そんなものを作るカネと鉄がまだあることに驚きです。

 ものを知らない自称評論家なる人がテレビに出てきては、そうした建艦ラッシュを取り上げて「シナの海上軍事力脅威論」をぶち上げていますが、私は「話し合えば必ず日支友好」などとほざくバカタレ評論家とはぜんぜん違った意味で、シナの海上軍事力を、さほどの驚異とは思っていません。
 フネを動かすのに重要なのは、人の力を頂点としたソフトウェアであるということを、仕事を通じて知っているからです。

 どんなに馬鹿でかい船を作ろうと、それを手足の如く動かすためには、電気や油圧などを複雑に組み合わせた、ちょうど人間の体で言えば神経や腱のような、命令伝達系の機能が必要なのです。
 そしてそれを迅速・確実に動かすためには、高い練度を持つ人間が多数必要になるのです。
 普通に考えても、軍艦を動かそうと思ったら、船を操縦する航海・運用要員、大砲やミサイルを撃つ砲術要員、魚雷の水雷要員、他にも機関要員、メシを炊く補給要員、通信要員、飛行機を積む船なら操縦と航空整備要員も必要!

 また現在は、レーダーやソナーといった索敵用の機器も、非常に高度なものが必要になりますし、通信機器だって、軍艦同士の通信をケータイで、ってわけにはいかんでしょう。高度な秘匿通信ができる無線機がいるでしょう。

 全てがモノマネとパクリのシナに、それだけのものを作る技術力や、それだけの付託に堪える兵隊を教育できる機関や人材があるのでしょうか?
 フネはでっかいドンガラを作ればいいってもんじゃないんですよ。ほんとうに・・・

 私は、フネとは、高度な機械や技術がぎっしり詰め込まれた、一種の芸術品と思っています。
 フネを見ればその船籍国の技術や民度が、一発でわかるといっても過言ではない。
 仕事柄、シナ人の乗っている船には時折行きますが、そこらじゅうで大小便をし、部屋もブリッジも汚れ放題、ヒマさえあればカップめんを食っているか、タバコを吸っているか、携帯ゲームばっかりしているシナ人船員を見るにつけ、こいつらでは、どんなにバカでかい船を作ったところで、満足な保船や操縦ができるとは思えません。

 フネはドンガラだけではない!今回はこれを強調したいと思います。

メチルは「目散る」、そんな昔話

2016-03-20 20:00:04 | 集成・兵隊芸白兵雑記
 先日、夫を殺す目的で、夫の飲む酒の瓶の中に、メチルアルコールを入れて夫を重体に陥れた熟年の奥様が逮捕されたとの記事が、新聞(主にスポーツ紙の社会面ですが(^_^;))を賑わせました。
 ただ、夫はメチルアルコールを飲んで重体、との話で・・・うちの死んだ爺さんが聞けば「弱いのう」の一言で一蹴されるかも、です。

 終戦直後のものがなかった時代、酒も当然なく、「カストリ酒」というものを飲んでいたそうです。
 これは「取るに足らない事件」(早川いくを著、バジリコ)によりますと、「カストリ」とは「粕取り」の意味らしく、ドブロクを蒸留した粗悪な焼酎だったそうですが、それでも足りない!
 酔っ払いというのは、私も含めてどうしようもないもので、その不足を補うため、さらにその上を行く危険な酒を編み出したそうです。
 それは、軍用機の燃料のかさ増し剤として使われていたメチルアルコールに、ホルマリンを入れて水で薄めた、口にすることすらためらわれるような凶悪な酒。一口飲めばすぐさま酔いつぶれる、その恐ろしいまでの即効性から、付いた名前が「バクダン」!意外と、かなりの人気だったようです。
 「バクダン」による失明者や死者が続出したため、GHQがその販売者・製造者に重刑を課したというくらいですから、その猖獗っぷりは、すごかったんでしょう。

 高校生の頃、生前のうちの爺さんにその話を聞きますと「わしも飲んだ」と、平然と返されたのを覚えています。
「わしはのう、酒がないけえ、船のコンパス(航海用品のマグネットコンパス)を割って、中に入っちょったエタノールを水で割って飲んだ」
「それをごまかすために、水を入れてコンパスを浮かせていたら、コケが生えてバレた」
「わしの師匠じゃった朝鮮人の機関長が、バクダンを飲んで、翌日に『なんか目の前が、障子紙を貼ったように見える』といったまま、メクラになった」

 おおおおお・・・・なんて恐ろしい戦後史・・・・
 ちなみにうちの爺さんは、「ビールは一晩にひとケース飲んだけど、ションベンばっかり出て酔わんからもう飲まない」と言ってましたっけか(°д°)。

 しかし、メチルを飲んでも平然と生きて、その後も酒を飲み続けたうちの爺さんからすれば、ちょっと酒にメチルを混ぜられたくらいで重体に陥る現代人(私も含めて)を見たら、なんと言うでしょうか。
 「弱いのう」とか「ダメじゃのう」というのは目に見えているような・・・

 普通においしいビール、おいしいお酒を何不自由なく飲める不肖の孫は、そのありがたさを噛み締めて、いや、飲み占めております。

「天命を待つ」前にやったこと

2016-03-19 06:18:41 | 兵隊の道・仕事の話
 今はもうやめましたが、私はちょっと前まで、仕事で通称「武器屋さん」をしていました。
 別に、そっち系の若者に大人気の「クイーンズブレイド」で出てきた、子連れの色っぽい武器屋さんとは何の関係もないですが(^_^;)。

 武器屋さんの主な仕事の中に、「訓練日時の調整」と「訓練場所の確保」があります。
 うちの会社は自前の射撃場がほとんどなく、とくに世間一般で「あさーると・らいふる」というものを撃つときには、自衛隊さんに三拝九拝して、場所をお借りしています。
 自衛隊の担当の皆様は大変やさしく、何度も助けていただいたのですが、手続きは「うおお、面倒くさい!」の一言に集約されます。
 社内社外を問わずさまざまなセクションに働きかけ、決済を仰ぎ、文書を発出して・・・でも、雨天や飛び込みの仕事などで訓練が中止になれば、振替はなし!すべての苦労が水の泡になります。
 
 私の前任者は、「オレは訓練を運営して、耳や目の事故を起こしてないのが自慢だ」などと自慢げに言っていました。
 一見立派に聞こえますが、なんのことはない、3年間一度も訓練を企画せず、調整もしていなかったんです。
 訓練しなけりゃ、事故者は出ねえだろうが!このクソ野郎!・・・と、いつもムカついていたものです。

 私は3年間武器屋さんをして、合計50回弱の訓練を企画立案・調整・現場臨場しての指導をやりました。
 当然その度に「雨が降ったらどうしよう・・・」とか、「飛び込みの仕事で中止になったらどうしよう・・・」といった、胃がキリキリ痛むような思いをしました。
 でも、やらなければならないことは、雨がふろうとヤリが降ろうと、やらなきゃいかんのです。皆さんにも、そういうことってあるでしょう。

 ですから「これだけやって変なことが起きたら、わしは運命を許さんぞ!」と思える位、つめて、つめて、つめて調整をすること以外、私になすすべはありませんでした。だってそうしないと、胃が痛くなるんだもん(^_^;)。
 また、自分の装備は常に「会社で一番綺麗に!」と磨き上げましたし、訓練に臨む服装も会社で一番きちんと着る!という意識で(実際にできいたかどうかは知りませんが)着用しました。

 結果としましては、50回弱の訓練のうち、雨天中止は2回(後日振替ができ、取り戻せました)、耳の軽い事故(翌日には回復する程度の耳鳴り)が1回だけと、まあ、無能な私にしては上出来かな・・・、と。

 当時お世話になった自衛隊の皆様、ありがとうございました。皆様の広量っぷりにたいへん助けて頂きました。
 とくに平成23年度には、東日本大震災派遣でお忙しい中、嫌な顔一つせず、対応していただいたご恩は一生忘れません。

 人事を尽くして天命を待つ。本当に尽くさないと、天命は味方してくれない・・・そんなことを学んだ武器屋生活でした。
   

襲い来るかの国の食物

2016-03-14 21:42:44 | 集成・兵隊芸白兵雑記
 若かりし日、韓国語の語学修行がてら、韓国に都合4回入国したことがあります…もう行きませんが。
 渡航した時期は、「冬ソナ」ブームが来るちょっと前くらい。韓国語が少し喋れたおかげで、日本人が絶対来ないようなヘンな地区にチョロチョロ入り、日本人は食わないであろう、さまざまなヘンなものを飲み食いしました。今日はその思い出話です。

 まずビール。ビールなんて万国共通・・・と思うでしょうが、韓国のビール(一番メジャーなのはOBというメーカーのもの)は、味といいスタイルといい、完全にアメリカンビール。小瓶に入ったものしかなく、味はバドワイザー並に薄かったですね。

 次に食べ物。かの国の変な食物といえば…まず、ポンテギ。
 カイコのさなぎを蒸したものですが、クソくさい匂いと茶色い虫のビジュアルに、初見の人はまず度肝を抜かれるでしょう。
 私はソウルの東大門付近の市場で初コンタクトしましたが、リヤカーいっぱいに積まれた、蒸したてのポンテギを初めて見たとき、思わず後ずさりしました。
 勇気を出して紙コップ1杯のポンテギを買って1個食って・・・「無理!」と諦め、付近で焼酎を飲んでいたオヤジに上げてしまいました。

 次にカンケジャン。
 ワタリガニを生きたまま、変なミソに漬け込んだものですね。
 まったく湯掻いてないため、皿に盛られたワタリガニが、海にいるときと同じビジュアルで迫ってくる様は、なかなか強烈です。
 そして味は・・・予想通り、ワタリガニの良さがまったく引き出されていない、ヘンな味でした。
 湯掻いてないためカラがめちゃくちゃ固く、身離れがめちゃくちゃ悪く、ヒジョーに食いにくい!
 ちなみに一緒に食べたお友達のYさんは、食後に歯が欠けていました(°д°)

 その他、イイダコの足をブツ切りにしただけの変な刺身、デロンデロンに弱ったタチウオの刺身、なんだか正体がわからない肉の入った煮込みなど、カネを出してまで食いたくない・・・というものを多数食べました。
 
 そういうものを食べた結果ですが、韓国の食のこだわりとして、「臭いものや変な味がするものは精がつく」という迷信があり、料理もそれを反映したものが多いということを感じました。
 これは私の思い込みではなく、私の韓国語の師匠(在日一世)も同じことを弟子たちに言ってたんで、間違いないでしょう。師匠自身、すんごい匂いのする自家製キムチをよく食べてましたし…。

 韓食に関してはいろんな見解があるでしょうが、実際に数度渡航して実食した私個人の意見としては、「日本人には合わんな」という一言で片付けてよいものでした。
 もう二度と食うこともないでしょう。チャルモゴッスムニダ(←朝鮮語のごちそうさま)
 今は普通に、日本のご飯が食べられ、日本の酒が飲める喜びをしみじみと噛み締めています。