tokyo_mirage

東京在住・在勤、40代、男。
孤独に慣れ、馴れ、熟れながらも、まあまあ人生を楽しむの記。

「容疑者は当時酒に酔っていたという」

2012-12-28 23:51:51 | 今日の出来事
昼ごろ乗った地下鉄。ロングシートの真ん中4人分くらいを占領して30代くらいの男が眠りこけていた。

…あー、酔っ払いか。

忘年会シーズンのこの時期は、電車での酔っ払いとの遭遇率が本当に高い。
車両の向こうの床は、汚物なのか、何かの飲み物でもこぼしたのか、床一面が黒く汚れている。

電車は徐々に立ち客も多数出るほど混んできたけど、
寝ている男の周りだけはぽっかり空いている。
このざわざわした状況でも眠り続けられるとは、もしかして死んでるのか?
…あっ、ちょっと目元が動いた。どうやら生きてるようだ。
まあ、別に死んでてもいいけどさ。

「見境のなくなる酔っ払い」は僕が大嫌いなものの一つで(「可愛らしい酔っ払い」は大好きだが)、
そういう奴ら相手ではどこまででも冷淡になれる。
ゴミ箱抱えてゲーゲーやり始めるような奴らが出てきた荒れた宴会では、
その場でカバンとコートをひっつかんで、静止を振り切って構わずにタクシーに乗って帰ったこともある。

正気を失うまで浴びるように飲みたきゃ、また、飲ませたきゃ、家の中でやれっての。
「羽目をはずすこと」自体が自己目的化した飲み会など、ちっとも楽しくない。

挙句の果てに、帰り道に痴漢をしたとか、物を壊したとか、暴行をはたらいたとか、新聞沙汰になる。
その記事はなぜか最後に、わざわざこう注釈をつけるんだよね。

「容疑者は当時酒に酔っていたという」

この注釈の意味って何なんだろう?
「だから酒の飲み方には充分気をつけなさいね」という戒めの意味合いもあるのかも知れないが、
それ以上に、「悪いのは酒。容疑者自体は悪くないので…」という言い訳に聞こえる。
「まあまあ。飲酒の上での行為であって、彼の人間性に根差すものではありませんから、
大目に見てやってくださいよ…」という、“寛容さの強要”。

僕はこんな注釈はやめるべきだと思う。

痴漢であれ器物損壊であれ暴行であれ、素面だろうが酒を飲んでいようが関係なく、
そいつの責任はそいつが全人格で引き受けるべき責任。
酒に責任を転嫁するなっての。酒に罪や恥をかぶせるなっての。

「容疑者は当時酒に酔っていたという」

酒飲みの愚行に「免罪符」を与えるかに見えるこの一文、記者はもう、無自覚に使うべきではない。

ブログランキング・にほんブログ村へ にほんブログ村 ライフスタイルブログへ にほんブログ村 ライフスタイルブログ 一人暮らしへ