情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

刑事施設の被収容者の不服審査に関する調査検討会は機能しているのか?~市民のチェックが必要!

2006-06-20 02:34:39 | 適正手続(裁判員・可視化など)
刑務所などに収容された人に対する人権侵害を防ぐために,今年,新たに採用された第三者審査機関である「刑事施設の被収容者の不服審査に関する調査検討会」(ここ←)が,この度10回目の開催を迎えた(ここ←)。ところが,10回行って,刑務所の処置に問題があったと判断したのは,新聞社宛の手紙の発信が禁じられたことを取り上げた1件のみだ。そもそも,毎回,20件くらいしか調べていないが,年間7500件くらいの不服が寄いるというから,事務局での選別が公正に行われているかどうかが重要となる。

葉山弁護士は第1回検討会で次のように述べている。

■■引用開始■■
○葉山委員 多くて月100件くらいあるということなのですが,果たしてこの5人の委員でそれを処理できるかどうか。それで,情願している人にとっては,やはり公平に公正にやっているということが保証されなければいけないし,そう思えるような形にしなければいけないと思うんですね。5人の委員でそれが果たして審査できるかどうか。そうするとやっぱり,事務局の機能を非常に強くして,だけど事務局が法務省だけだと内々にやっているんだというふうに情願する人から見られるので,外部の人をですね,人権擁護法案では確か弁護士を入れてというようなことがありましたので,外部の委員を入れた事務局を構成するということをですね,すぐとは申し上げませんけど,そういうことを少し構想していただけたらと。もしそういうことが当分できないということであれば委員を増加するなどしていくつかの部門を分けてですね,分科会みたいなものを設けて処理をするとか,何かそういう手当をしないとまずいのではないかなというように思っています。取りあえず今,こういうことでスタートさせてですね,追々進んでいったときに問題が生じたときにそこら辺を御配慮いただけたらと思っています。
■■引用終了■■

被収容者に対する処遇がいかに公正になされるか,というのは,塀の外の人に対する権力による人権侵害の程度のバロメーターではないかと思う。

時々,検討会のページにアクセスして,どんな検討がなされているかチェックしましょう!




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表現の自由は何のためにあるのか~権力監視機能についての裁判官のコメント

2006-06-20 00:42:09 | メディア(知るための手段のあり方)
国防総省の秘密文書を暴いたペンタゴンペーパー事件(後述)において,裁判官が述べた説示を,現場に出て頑張っている新人ジャーナリストに送りたい。おいらは脱落したが,頑張ってくれ~。

ダグラス裁判官:政府内の秘密は,基本的に反民主主義であって,官僚主義的誤りを永続させることになる。公の争点を公開で議論し,討論することは,われわれの国の健康にとって肝要である。公の問題に関しては,「公開で健全な議論」がなければならない」

ブラック裁判官:プレスは,それが政府の秘密をはだかにし,そして国民に情報を与えることができるように保護された。自由にして抑制されないプレスのみが政府内の欺瞞を効果的に露呈できるにすぎない。また,自由なプレスの責任の中でもっともきわだっているのは,政府内のいかなる部局にせよ,国民を欺瞞して,異国の熱病や外国の砲弾で死ねとかれらを遠い国土に送り込むことを防止する義務である」(いずれも法律時報1971年9月号)

取材源の秘匿などジャーナリストに特権が与えられているのは,このような義務を全うさせるためである。


■■ペンタゴンペーパー事件(雑木帖さんのブログ←クリック)■■
ダニエル・エルスバーグ氏は『ペンタゴン・ペーパーズ』という国防総省秘密報告書をニューヨークタイムズ紙とワシントンポスト紙の協力を得て公にすることによって、ベトナム戦争が4人の歴代アメリカ大統領たちが過去の失策を隠蔽し、自身の政策を推進するために意図的に奨励した明確な目標のない戦争であった(そのためにアメリカは500万人ものベトナム人──95%が民間人だった──を死傷させた)ことを暴露しました。そのきっかけは、次のようなことでした。
1967年、国防省の官僚だったエルスバーグ氏はロバート・マクナマラ国防長官のオフィスで、アメリカの北ベトナム侵略計画を練っていました。その時、ペンタゴンの中に入ろうとした反戦運動家たちが棍棒で打たれ、逮捕されて連れていかれるのを、彼は窓から見ました。
のちにエルスバーグ氏はその時のことを回想し、こう証言しています。
『私は自分の胸に聞いた。…この人たちは自分の良心に忠実に生きている。私がそうしたらどうなるだろう』
エルスバーグ氏は『ペンタゴン・ペーパーズ』を公にすることにしたのです。

■■引用終了■■



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