情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

携帯通信網:ドコモとKDDIに貸し出し義務化~これも年次改革要望書にある…

2006-06-27 00:55:52 | メディア(知るための手段のあり方)
毎日新聞によると,【総務省は26日、NTTドコモとKDDIの携帯電話大手2社に対し、携帯向け無線通信網を新規参入事業者に貸し出すことを義務づける方針を固めた。ソフトバンクも含めた大手3社の寡占状態となっている携帯電話市場への新規参入を進め低料金化などを図る狙いで、通信網の貸出料金も低水準に抑えるよう促す。通信の競争ルールに関する同省の審議会が7月にまとめる中間報告でこの方針を打ち出し、07年度にも実施に移す】という。具体的には【25%以上の高いシェア(市場占有率)を持つNTTドコモとKDDIを対象に、技術的に接続が困難な場合や周波数の逼迫(ひっぱく)など合理的な理由がない限りは、新規参入者への無線通信網の貸し出しを原則として義務付ける。さらに、無線通信網の開放条件を詳細に明示させたうえで、貸出料金は大手携帯事業者間の回線接続料に準じた低水準に抑えるように促す。】というのだ。

というので,早速,米国に対する「何でも受け入れる小泉外交」の一環である年次改革要望書(←クリック)を見てみた。

すると,ビンゴ!
17/49に,

III. 移動通信分野における競争促進と周波数の有効利用
米国は日本が「ユビキタス・ネットワーク社会」構想にそって周波数政策の柔軟性と透明性を高め、移動通信分野にネットワーク原則と競争政策を採用することを要望する。

とあり,

III-B. 新規市場参入 日本が1.7GHz および2.0GHz の周波数帯に新規に3 社の市場参入を認可したことや今後の周波数帯の賃貸の可能性も踏まえ、米国は、日本が以下の課題に取り組みつつ、新規参入会社に対して公平な競争状況を確保するための有効な措置をとることを要望する。

とある。

まさに,米国の要望に答えた形だ。現に,日本のメディアはあまり紹介していないが,ロイター(←クリック)は,いち早く,【[東京 21日 ロイター] 総務省は21日、「IP化の進展に対応した競争ルールの在り方に関する懇談会」の第8回会合で、携帯電話事業者には他社からの要求に応じてネットワークを開放する義務があるとの見解を示した。】と伝えている…。


あっ,つい,脱線した。

本当に言いたいのは,

通信の分野では,上記のとおり,市場開放,多様なサービスを唱う一方で,

放送分野については,【放送事業でも、50年以上前に制定された放送法に基づき、アナログ時代に確立された規制体系や過度の行政指導等により、事業者が自由な事業展開を行いにくい環境となった結果、欧米のメディア・コングロマリットと伍して戦えるような国際競争力のあるメディアが育っていない。このように、競争や自由な事業展開が不十分であった結果、事業者のポテンシャルが十分に発揮されてこなかったと言える。このままでは、日本の事業者が、米国のネット企業やハリウッドに代表される“デジタル・IPを活用した映像ビジネスの展開”に対抗することは困難であろう。】(竹中懇談会:ここ参照←クリック)などと寡占化を推し進めようとしていることだ。

まったく矛盾する政策だというほかない。

放送というジャーナリスティックなメディアについては,寡占化させることで,言論の多様化を防ぐとともに,コントロールしやすくして,政府批判を封じ込めようとしていることは明白ではないか?

まったく国民を愚弄する政策というほかない!



 
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質問主意書を楽しもう~知る権利を現実化する一つの手段として…

2006-06-27 00:06:43 | メディア(知るための手段のあり方)
鈴木宗男議員が毎日質問することで有名になった質問主意書。国会議員が国政に関することについて政府に質問するものだが,国会の会期中にのみ質問をすることができる。今回は,衆議院議員から382(ここ←クリック),参議院議員から86の質問があった。直前のエントリーで触れた保坂議員の質問主意書も,衆議院の354番にあるようだ。事務手続き上,今回は閉会の2日前に締め切られたそうだから,ぎりぎりの質問提出だったことが分かる。その結果,面白い結果が得られたのだから大成功だ。

なかには,【二 郵便小包集配車が駐車禁止除外指定車両であることに関して。
 郵便小包の集配車は公益性などに配慮して法律改正後においても「駐車違反車両」とみなされないことは「郵便小包の配送は駐車違反を免れることができ、民間業者による配送の取り締まりが進むこと」となり著しく公平性を欠く状態であると言えるが、今後も「駐車違反車両」とならない優遇措置は是正されることは無いのか、「公平性」の観点から政府の見解をお伺いする。】(衆院327)という身近な怒りを共有するものもあれば(果たしてどういう回答がくるのやら…),42番の「北海道警察における国費及び北海道費の不正経理問題に関する質問主意書」や323番の「愛媛県警察における捜査資料等の流出問題に関する質問主意書」などまさに監視対象とすべき内容のものもある。国会答弁のみならず,時間があったら,この質問主意書もぜひ覗いてみましょう。

ちなみに,この質問主意書は,地元議員など,特に野党議員,に頼めば,真面目で有益な質問であれば,その議員の名前でしてくれるはずだ。個人個人が政府に回答させる機会はそんなにない。というわけで,この制度,覗くだけでなく,ぜひ,活用してみましょう!

知る権利を現実化する手段として使えます!




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