衆院法務委員会の与党理事らが、民主党修正案を「丸のみ」する方針について「一切なかったことになる」と述べて、撤回することを明らかにしたうえ,委員会に示した「与党側修正試案」(経過についてはこちら←)のうち主要な部分を引用して紹介します。いったん丸飲みしたものをはき出すとことの問題性,与党のこの新たな修正案の問題点については,保坂議員のブログにあるので,その一部を引用することにします。
■■法案引用開始(※は保坂議員の注釈の該当部分)■■
第六条の二
次の各号に掲げる罪(別表第*に掲げるものを除く=※1)に当たる行為で,組織的な犯罪集団の活動(組織的犯罪集団(団体のうち,その結合関係の基礎としての共同の目的が死刑若しくは無期若しくは長期五年以上(ヤメ蚊注:ここは「四年以上」の誤記か?!)の懲役若しくは禁固の刑が定められている罪(別表第*に掲げるものを除く)又は別表第一(第一号を除く)に掲げる罪を実行することにある団体をいう。)の意思決定に基づく行為であって,その効果又はこれによる利益が当該組織的犯罪集団に帰属するものをいう。)として,当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行について,具体的謀議を行いこれを共謀した者(=※2)は、その共謀をした者のいずれかによりその共謀に係る犯罪の実行に必要な準備その他の行為が行われた場合において(=※3),当該各号に定める刑に処する。ただし、情状により,実行に着手する前に自首した者(=※4)は、その刑を減軽し、又は免除する。
一 死刑又は無期若しくは長期十年を超える懲役若しくは禁錮の刑が定められている罪 五年以下の懲役又は禁錮
二 長期四年以上十年以下の懲役又は禁錮の刑が定められている罪 二年以下の懲役又は禁錮
2 前項各号に掲げる罪(別表第*に掲げるものを除く)に当たる行為で、第三条第二項に規定する目的で行われるものの遂行を共謀した者も、前項と同様とする。
3 前二項の罪については,第一項本文に規定するその共謀に係る犯罪の実行に必要な準備その他の行為が行われたことを疑うに足りる相当な理由があるときに限り,刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の規定により逮捕し,又は勾留することができる(=※3)。
4 第一項及び第二項の規定の適用に当たっては,思想及び良心の自由並びに結社の自由その他日本国憲法の保障する国民の自由と権利を不当に制限するようなことがあってはならず,かつ,労働組合その他の団体の正当な活動を制限するようなことがあってはならない。
付則
(1,2省略)
3 同条第一項又は第二項に規定する共謀をした者がその共謀に係る犯罪を犯したときは,当該罪を定めた規定により処罰され,同条第一項又は第二項の規定によっては処罰されないことに留意しなければならない(=※5)。
■■引用終了■■
■■保坂議員の注釈引用開始■■
1、「組織的な犯罪の共謀罪」の対象犯罪については、従来通り「長期4年」とするが、「過失犯」「陰謀・共謀罪」など28を除外することにする。(★これは、陰謀罪が共謀罪の対象犯罪となっているのはおかしいと私が指摘した点だが、法案作成上の初歩的なミスなので、運用上の影響は何もない。業務上過失の共謀などありえないからだ)
2、「共謀」の定義をさらに明確にするために「具体的な謀議を行いこれを共謀した者」と改める。「目配せ」だけでは、条文上も共謀にあたらないことを明確にする。(★「目配せで成立」とは、現状の共謀共同正犯が認定される基準が最大限に拡張されており『沈黙の共謀』でも認められていることから出てきた答弁で、共謀罪への懸念が一般化する糸口になった。実は『まばたきでも成立』との答弁もあったが、ここは修正しましたよということだろう)
3、「組織的な犯罪の共謀罪」の処罰条件として「実行に必要な準備、その他の行為」を加えて、この行為がない限り「逮捕・勾留」が出来なくなるようにした。(★ここまで言うのであれば、日本の刑法体系に存在している「予備」でいいのではないか。「実行に必要な準備、その他の行為」と「予備」がどう違うのかが論点となるだろう。共謀罪を導入しなくとも、犯罪の既遂・未遂前の「予備」を明確に位置づけることで条約との整合性はクリアできるのではないか)
4、自主減免について、「共謀を行った者が実行着手の前に自首した場合に刑を必要的に軽減又は免除する」を削除し、「情状により刑を免除する」と規定を改める。(★これで、密告社会批判に応えて共謀したが密告せずに中止した者に「情状」を認めることが出来るというのだが、「情状」をかけてやるかどうかは捜査当局の裁量次第である点は変わらない)
5、「組織的な犯罪の共謀罪」を犯した者が、その犯罪を実行した場合には、実行犯罪によって処罰され、二重処罰にはならないことを明確にする。(★これも、5月の野党勉強会で出てきた論点だ。アメリカは二重処罰があたり前のように行われている)
■■引用終了■■
飲んだ唾吐かんとけよ!という啖呵があるが,与党は丸飲みしたものを早くも丸吐きしよとしている。まさに偽装丸飲みだった。
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■■法案引用開始(※は保坂議員の注釈の該当部分)■■
第六条の二
次の各号に掲げる罪(別表第*に掲げるものを除く=※1)に当たる行為で,組織的な犯罪集団の活動(組織的犯罪集団(団体のうち,その結合関係の基礎としての共同の目的が死刑若しくは無期若しくは長期五年以上(ヤメ蚊注:ここは「四年以上」の誤記か?!)の懲役若しくは禁固の刑が定められている罪(別表第*に掲げるものを除く)又は別表第一(第一号を除く)に掲げる罪を実行することにある団体をいう。)の意思決定に基づく行為であって,その効果又はこれによる利益が当該組織的犯罪集団に帰属するものをいう。)として,当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行について,具体的謀議を行いこれを共謀した者(=※2)は、その共謀をした者のいずれかによりその共謀に係る犯罪の実行に必要な準備その他の行為が行われた場合において(=※3),当該各号に定める刑に処する。ただし、情状により,実行に着手する前に自首した者(=※4)は、その刑を減軽し、又は免除する。
一 死刑又は無期若しくは長期十年を超える懲役若しくは禁錮の刑が定められている罪 五年以下の懲役又は禁錮
二 長期四年以上十年以下の懲役又は禁錮の刑が定められている罪 二年以下の懲役又は禁錮
2 前項各号に掲げる罪(別表第*に掲げるものを除く)に当たる行為で、第三条第二項に規定する目的で行われるものの遂行を共謀した者も、前項と同様とする。
3 前二項の罪については,第一項本文に規定するその共謀に係る犯罪の実行に必要な準備その他の行為が行われたことを疑うに足りる相当な理由があるときに限り,刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の規定により逮捕し,又は勾留することができる(=※3)。
4 第一項及び第二項の規定の適用に当たっては,思想及び良心の自由並びに結社の自由その他日本国憲法の保障する国民の自由と権利を不当に制限するようなことがあってはならず,かつ,労働組合その他の団体の正当な活動を制限するようなことがあってはならない。
付則
(1,2省略)
3 同条第一項又は第二項に規定する共謀をした者がその共謀に係る犯罪を犯したときは,当該罪を定めた規定により処罰され,同条第一項又は第二項の規定によっては処罰されないことに留意しなければならない(=※5)。
■■引用終了■■
■■保坂議員の注釈引用開始■■
1、「組織的な犯罪の共謀罪」の対象犯罪については、従来通り「長期4年」とするが、「過失犯」「陰謀・共謀罪」など28を除外することにする。(★これは、陰謀罪が共謀罪の対象犯罪となっているのはおかしいと私が指摘した点だが、法案作成上の初歩的なミスなので、運用上の影響は何もない。業務上過失の共謀などありえないからだ)
2、「共謀」の定義をさらに明確にするために「具体的な謀議を行いこれを共謀した者」と改める。「目配せ」だけでは、条文上も共謀にあたらないことを明確にする。(★「目配せで成立」とは、現状の共謀共同正犯が認定される基準が最大限に拡張されており『沈黙の共謀』でも認められていることから出てきた答弁で、共謀罪への懸念が一般化する糸口になった。実は『まばたきでも成立』との答弁もあったが、ここは修正しましたよということだろう)
3、「組織的な犯罪の共謀罪」の処罰条件として「実行に必要な準備、その他の行為」を加えて、この行為がない限り「逮捕・勾留」が出来なくなるようにした。(★ここまで言うのであれば、日本の刑法体系に存在している「予備」でいいのではないか。「実行に必要な準備、その他の行為」と「予備」がどう違うのかが論点となるだろう。共謀罪を導入しなくとも、犯罪の既遂・未遂前の「予備」を明確に位置づけることで条約との整合性はクリアできるのではないか)
4、自主減免について、「共謀を行った者が実行着手の前に自首した場合に刑を必要的に軽減又は免除する」を削除し、「情状により刑を免除する」と規定を改める。(★これで、密告社会批判に応えて共謀したが密告せずに中止した者に「情状」を認めることが出来るというのだが、「情状」をかけてやるかどうかは捜査当局の裁量次第である点は変わらない)
5、「組織的な犯罪の共謀罪」を犯した者が、その犯罪を実行した場合には、実行犯罪によって処罰され、二重処罰にはならないことを明確にする。(★これも、5月の野党勉強会で出てきた論点だ。アメリカは二重処罰があたり前のように行われている)
■■引用終了■■
飲んだ唾吐かんとけよ!という啖呵があるが,与党は丸飲みしたものを早くも丸吐きしよとしている。まさに偽装丸飲みだった。
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