情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

新聞協会がクロスオーナーシップ規制に反対の意見書~批判の必要大!

2006-09-09 14:47:15 | クロスオーナーシップ問題
日本新聞協会メディア開発委員会は,このほど,総務省の「デジタル化の進展と放送政策に関する調査研究会」取りまとめ(案)に対する意見書(←クリック)を提出した。新聞・テレビ・ラジオのクロスオーナーシップ規制に反対するもので,多様な言論の流通を阻害し,ひいては表現の自由を侵害するものだ。このような営利目的の意見書に対しては,新聞テレビが系列化している現状では,市民が批判するほかない!以下,意見書を引用する。

■■引用開始■■

1.「第2章 マスメディア集中排除原則の基本的考え方 2 マスメディア集中排除原則の見直し」について


 マスメディア集中排除原則が制定された1959年以降、メディアの質的多様化や量的拡大は急速に進んでいます。地上民間テレビジョン放送は、約9割の世帯において4チャンネル以上の視聴が可能となっており、ラジオ、BS・CSの各衛星放送、CATVとあわせ、多くの視聴者が多チャンネルの放送を享受しています。また、インターネット利用人口は9,000万人に迫ろうとしています。全国紙、地方紙、雑誌等の印刷媒体に加え、各種の放送、インターネットメディアを利用することで、人々の情報入手手段の多元性と情報内容の多様性は、当時とは比べものにならないほど拡大しています。このような状況から当協会メディア開発委員会は繰り返し、マスメディア集中排除原則、とりわけ同原則に含まれる「三事業支配の禁止」規定について撤廃を含めた見直しを求めてきました。


 にもかかわらず、今回、総務省が示された「デジタル化の進展と放送政策に関する調査研究会」取りまとめ(案)(以下、「取りまとめ案」)は、同一地域におけるテレビジョン放送、AM放送、新聞の同時支配を禁止したいわゆる「三事業支配の禁止」規定を存置するとともに、新たに「テレビ・FM・新聞」の三事業支配についても同様に原則禁止・例外許容として扱うことが適当との考えを示しています。これは、これまで繰り返し「三事業支配の禁止」規定の撤廃を求めてきた当委員会の主張と対立するものです。


 同規定は、地上放送に関する同原則を定めた「放送局の開設の根本的基準」9条ただし書きにあるとおり、「ニュース又は情報の独占的頒布を行うこととなるおそれ」を防止することが目的であると考えますが、前述のとおりメディア環境が大きく変化している今日、新聞と放送の連携がさらに進むとしても、情報入手手段や言論の多元性、多様性は引き続き確保されると考えます。もし、今日においてもなお独占的頒布の「おそれ」があると想定するケースがあるのであれば、その根拠を具体的に示して説明すべきです。


 そもそもメディアである放送に対する公的規制は、言論・表現の自由を踏まえ、混信防止対策など必要最小限にとどめるべきであり、新しい時代の放送局経営にあっては、経営の自由度をできるだけ高めることも重要だと考えます。


 以上、当委員会の指摘について十分に検討し、「三事業支配の禁止」規定撤廃を含めた見直しを行うよう、貴省にあらためて求めます。



2.「第5章 新たな放送サービスへの対応 1 サーバー型サービス」について


 取りまとめ案は「サーバー型サービス」や「携帯端末向けサービス」という新しい放送サービスについて、今後の制度整備の必要性を示しています。その中で、NHKがサーバー型サービスを受益者負担(有料放送)の形で行う場合には、受信料制度との関係を整理することを含め、制度整備が必要になるとしています。


 このような公共放送のあり方そのものにかかわる制度の見直しにあたっては、当委員会が従来主張しているとおり、広く意見を求めて国民的な議論を行い、慎重に検討すべきだと考えます。


■■引用終了■■




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言論テロに対する共同アピール~「まだ遅くない、手遅れではない」内田雅敏弁護士

2006-09-09 00:53:06 | メディア(知るための手段のあり方)
少し古い話ですが,加藤紘一議員の実家が放火された事件で,9月5日(火)午後、日本弁護士会館(東京・霞ヶ関)で、評論家・佐高信さんや漫画家・石坂啓さんらが呼びかけ人となって「私たちは『言論封じ』のあらゆるテロを許さない!」とする共同アピールを発表した。

janjanが内田雅敏弁護士のコメントを伝えている。同弁護士のコメントからは,市民,メディア,弁護士会の動きの鈍さに対する歯がゆさが伝わってくる。毎日新聞(←クリック)によると,ここ1年8ヶ月の間に少なくとも7件の言論に対する暴力がふるわれている(末尾に引用)。「それぞれの人々がそれぞれの職場や地域で、表現の自由を確立するための運動を広げる一歩にしてほしい」という同弁護士の声に応えましょう!

■■引用開始■■
弁護士の内田雅敏さんは、事件そのもの以上に、その後の反応が鈍いことに危機感を感じている、と述べました。1989年に昭和天皇が亡くなったとき、天皇の戦争責任について言及した本島等・長崎市長が右翼に襲撃された事件で、長崎では集会が開かれ、「長崎は民主主義の危機に対して発信する」とアピールしたそうです。

 内田さんは、「今日の会合でも、アピールを出しておしまいというのではなく、それぞれの人々がそれぞれの職場や地域で、表現の自由を確立するための運動を広げる一歩にしてほしい」と、呼びかけました。今回の事件に対し、具体的な行動をとるために弁護士会では委員会を設け、話し合いを進めているそうです。

 「事件が起きたとき夏休み中だったこと、事件の背景が明確でなかったことで動きがやや鈍かった弁護士会でしたが、この問題こそ弁護士会が率先して行動を起こさなければならないケースであり、今後の活動を通して運動を広めていきたい」と内田さんは語っていました。その上で、「遅かったけれど、まだ遅くない、手遅れではない」と述べ、怒りを全国的な運動に広げていくことの重要性を訴えました。内田さんは、「みんな怒っている。ただその怒りを表現する場がなかった」と述べ、そういう意味で、この記者会見が行われた意義を高く評価しました。

■■引用終了■■



■■毎日引用開始■■
 ◇言論をめぐり暴力や脅しがあったとみられる最近の主な事件

05年 1月 9日 東京都目黒区にある富士ゼロックスの小林陽太郎相談役最高顧問の自宅に火炎瓶が置かれていた。19日には拳銃の実弾1発が郵送された。小林さんは04年9月、記者会見で、小泉純一郎首相の靖国神社参拝について、「個人的には、やめていただきたい」などと発言していた。

    7月 3日 東京都港区にあるフリーライターの山岡俊介さんの自宅マンションが放火される。山岡さんは同年、月刊誌に政府開発援助(ODA)を手がける大手コンサルタント会社社長の不正行為を指摘する記事を執筆していた。

06年 1月 8日 フリーライターの溝口敦さんの別居していた長男が暴力団関係者に刺される。溝口さんは05年、月刊誌に暴力団幹部に関連した記事を執筆。

    2月 4日 小林相談役最高顧問の自宅近くにある警備員詰め所の敷地に、拳銃の薬きょう数個が置かれていた。

    5月29日 糸川正晃衆院議員(国民新党)と、毎日新聞記者にあてて、それぞれ衆院議員会館の事務所(東京・永田町)と、東京本社(東京・一ツ橋)に銃弾と脅迫状が郵送される。同一犯の可能性も。糸川議員は東京都港区南青山の一等地の再開発をめぐって国会質問。毎日新聞もこの問題を報道していた。

    7月21日 日本経済新聞社(東京・大手町)に火炎瓶が投げつけられる。同紙は昭和天皇が靖国神社のA級戦犯合祀(ごうし)に不快感を示す発言をしていたとされる元宮内庁長官メモを特報した。

    8月15日 加藤紘一・自民党元幹事長の山形県鶴岡市の実家、地元事務所が全焼。加藤氏は小泉純一郎首相の靖国神社参拝に対して批判的な発言をしていた。

■■毎日引用終了■■





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