情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

美しい国は「美しい家庭」が築く?!~安倍教育改革

2006-09-16 18:44:14 | そのほか情報流通(ほかにこんな問題が)
朝鮮日報が安倍の教育改革の危険性について報道している。安倍の価値観は個よりも家族,家族よりも国家を重視するものであるように思えるが,その点を彼の経歴に触れながら指摘した記事だ。このような指摘は大手新聞ではあまりないように思うので,紹介しておきます。

■■引用開始■■

 著書『美しい国へ』で安倍が主張する、父、母、祖父、祖母、子どもがともに仲良く暮らすことが最高の幸せだという価値観こそ、彼の教育改革の出発点だ。

 安倍はかつて自民党内の「過激な性教育・ジェンダーフリー教育実態調査プロジェクトチーム」のチーム長を務めたことがある。安倍がこの時に発見したのが「同棲、離婚家庭、母子家庭、同性愛夫婦、犬や猫と一緒に暮らすことも家族」という内容の教科書だった。

 安倍は「子どもたちに『正常な』家族モデルを提示するのが教育の使命ではないのか。いくら少子化対策を行っても、子どもを育てやすい国を作っても、『家族はよいものだ、だから子どもを持ちたい』と考えるようにならなければ何の意味があるだろうか」と語っている。これは、家族の回復にはまず教育を回復させることから始まるという認識だ。

 安倍が教育改革のモデルとしているのは1980年代のサッチャー英首相やレーガン米大統領の教育改革だ。これは、伝統的な家族制度や国家・歴史に対する誇りを回復すると同時に、学生たちの学力を向上させることを目標とした保守主義改革をいう。目標は精神(モラル)と実力の面で「強い子どもたち」を作ることにより「強い日本」を作ることだ。

 この改革の二本柱は「『公』意識の育成」と「学校間競争」だ。「『公』意識」と関連して、安倍は国会で審議中である教育基本法の改正を早急に進めることを主張した。教育基本法の改正案では「日本と郷土を愛する態度」を明記して、学校教育における「愛国心教育」に法的根拠を与えた。

■■引用終了■■







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デブ,ウザイで,有罪,慰謝料認定~微妙…でも,拘留までは行きすぎでは

2006-09-16 10:46:02 | そのほか情報流通(ほかにこんな問題が)
読売新聞によると,【スナックで女性客を「デブ」などとけなしたとして侮辱罪に問われた山梨県大月市の市議小俣武被告(55)について、最高裁第2小法廷(中川了滋裁判長)は小俣被告側の上告を棄却する決定をした。決定は11日付。小俣被告を拘留29日とした1、2審の有罪判決が確定する。】という。また,東京地裁では,14日,【中学時代に同級生の女子からいじめを受け神経症になったとして、東京都内の中学校に通っていた少女(17)とその母親が、同級生とその母親に約175万円の損害賠償を求めた訴訟の判決】がくだされ,【金光秀明裁判官は、同級生の言動のうち、「ウザイ」などと書いた手紙を出したことについて「精神的苦痛を与えた」と認め、同級生に10万円の支払いを命じた。】(同紙)という。前者は,刑事事件としては行きすぎのように思える。後者については,えっ,そういうことで損害賠償が認められるのか?という思いと,でも言われた側にとってはそれっぽっちではすまないというところだろうなという思いが交錯する。

読売は,最高裁決定について,

【判決によると、小俣被告は2004年9月、知人男性(同罪で科料7000円の有罪確定)と訪れた同市内のスナックで、客として居合わせた初対面の20歳代の女性に、繰り返し「デブ」「そんなに太ってどうする」などと侮辱した。

 小俣被告は無罪を主張したが、1審・都留簡裁は今年1月、「人格を無視した卑劣極まりない言動」として求刑通り拘留29日を言い渡し、2審・東京高裁も被告の控訴を棄却した。】

と紹介し,

東京地裁については,

【判決によると、2人は小学校時代からの同級生で、2002年に中学校に進学した後、急速に仲良くなった。頻繁に携帯電話やメールのやりとりをしたり、一緒に登校したりしていたが、同年秋ごろから次第に仲が悪くなり、少女は翌年6月には不登校に陥った。】

と紹介している。

最近,被害者に対する示談額も高騰傾向にある。被害者側からすれば当然だが,いざ,示談をする側に立つと厳しい。

今回の件も,表現の自由と人格権という重要な権利が衝突する場面で,非常に悩ましい…。ただ,やはり,29日間の拘留というのは行きすぎのようにしか思えない。これが29日間の拘留に値するなら,石原の差別発言は,数年間の拘束に値しそうだ…。

とりあえずは,今回の事例がどういう事実に基づくものか,入手できるのであれば,見てみたい。





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安倍核兵器容認発言~当該部分(反論は網掛けで読みづらし)

2006-09-16 08:59:04 | 有事法制関連
前のエントリーで紹介した部分が掲載されている頁をアップします。本人の反論部分が網掛けで読みづらいので,そこはまた後ほど…。






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共謀罪は不要!~日弁連がHPバトル第1弾

2006-09-16 08:50:37 | 共謀罪
弁護士会は14日,「政府と与党が導入を主張している「共謀罪」の規定は,我が国の刑事法体系の基本原則に矛盾し,基本的人権の保障と深刻な対立を引き起こすおそれが高い。さらに,導入の根拠とされている国連越境組織犯罪防止条約の批准にも,この導入は不可欠とは言い得ない。よって,『共謀罪』の立法は認めることができない。」とする意見書を発表し,HPに掲載した。

この意見書は,共謀罪法案をめぐる議論について,

【2005年の第163回特別国会での審議に引き続いて,2006年4月からの第164回通常国会における審議とマスコミの報道などを通じて,上記政府案の共謀罪の是非は国民的な討論の対象となった。
刑事立法新設の是非がこれほど多くの国民の関心と議論の対象となったことはかつてなかったほどである。
与党は,これに対し,二次にわたって修正案を示したうえ,2006年6月1日には,与党が,共謀罪の新設を含む「犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法律案」に対する民主党修正案について,いわゆる「丸飲み」をするという提案を行い,翌2日には採決がなされるという段階にまで至ったが,政府与党内に,民主党修正案で成立させた後に,それでは犯罪防止条約を批准できないとして,再度,与党修正案の線で再修正する計画があったことが判明し,民主党は採決に応じなかった。
このような経過となった最大の理由は,何よりも,共謀罪が我が国の刑事法の体系を根本から変えてしまうものであるという認識が,多くの国民の間に共有されることとなったためである。文字通り,共謀罪の新設を提案する法案を取り巻く環境は,根本的に変わったものと評価することができる。】

と指摘したうえ,



アメリカ自身,

【アメリカ合衆国は2005年11月に犯罪防止条約を批准している。この批准に当たって,国務省長官が大統領宛に提出した批准の提案書によると,次のような理由で同条約第5条を留保していることが判明した。アメリカ州法は,同条約に規定されている全ての行為を犯罪化しているわけではなく,一部の州では「極めて限定された共謀罪」の法制しかない。一方で,連邦刑法には共謀罪が規定されていて,州際的な行為や外国の通商に関わる行為に適用されている。「州内で行われる局地的な共謀」行為については連邦法の適用はなく,このような行為の犯罪化はなされていない場合がある。このようにアメリカ合衆国は,州内で行われる行為についてまで犯罪化の義務を負わないという「留保」を行って,新たな連邦法,州法の制定をすることなく同条約を批准しているのである。】

という状況であることを踏まえ,

【我が国においては,組織犯罪集団の関与する犯罪行為については,合意により成立する犯罪を未遂前の段階で取り締まることができる処罰規定が規定され整備されているのであり,新たな立法を要することなく,組織犯罪の抑止が十分可能な法制度は既に確立されている。
したがって,政府が提案している法案や与党の修正試案で提案されている共謀罪の新設はすべきではない。
それでも犯罪防止条約を批准することは可能である。その際に,同条約の一部の規定について留保ないし解釈宣言を行うことが可能であり,又は批准に当たっての国連事務総長に対する通報などの措置を取ることによって同条約に違反することを回避することは十分に可能である。】


と結論づけている。


どうする,与党,法務省!




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