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今日の筆洗

2023年10月03日 | Weblog

ディンガー、テーター、ディンドン、ジョンロン、ビッグ・フライ…。並べると何かのおまじないのようだが、すべて同じ意味で、米国で使われる「本塁打」の表現である▼日本語では本塁打やホームラン、一発、○○弾がせいぜいか。野球発祥の国では20を超える呼び方があるというから驚く。理由は分からぬが、米国には本塁打に格別の思いがあるのは確かだろう。大空に向かう美しい打球。そこに野球というゲームの本質を見ているようなところもあるか▼1934(昭和9)年に来日した大リーグ選抜のベーブ・ルースは全日本チームと対戦した感想をこう語った。「スラッガーを求めよ」。全日本は16試合で全敗。強打者がいなければ好投手がいても守備をどんなに鍛えても勝てない。ルースはそう教えてくれた▼89年後。日本生まれのスラッガーの快挙をルースもほめるだろう。エンゼルスの大谷翔平選手。日本人選手として初めて、アメリカン・リーグ本塁打王に輝いた▼無論、日本の野球の歴史の中には世界に誇る大勢の強打者がいる。イチロー選手は大リーグで首位打者を2度獲得した。されど、体力、体格で分が悪いとされた日本人選手が本塁打王の称号を米国で手にする日が来ることを、誰が予想できたか▼数々の「偉業」にこの人を称賛する言葉がもはや思いつかない。子どもたちは憧れるのをやめられまい。