ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

休日なので…のんびり

2008-06-01 19:29:41 | 本・マンガ・絵
のんびりしたくてもそうはいかず、久しぶりに晴れまして、洗濯に追われました。
お客様がかえったあと、一個赤くなったいちごをとって、タベマシター!
甘酸っぱかったです。

さて、今日洗濯干しのあとで手にしたのが、この写真集です。


    


光っててすみません。実は元の表紙も反射が写ってます、重なっちゃいました。
「たんぼ」と題のついた写真集、カメラマンは「ジョニー・ハイマス」
1994年発行ですが、このかた、1969年に初来日して、
日本がすっかり気に入り、1974年から定住しているそうです。
この本をアマゾンでさがしたのですが、
古本でもありませんでしたので、同じ人の別の本をご紹介します。


田舎―こころのふるさと
ジョニー ハイマス
学習研究社

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二冊とも、日本の「たんぼ」とそれにまつわる風景を集めたもの。
例によって、中身をご紹介することはできませんが、
一枚ずつめくっていくと、田んぼの向こうに「日本人の暮らし」が見えてきます。

上の写真集の「序文」を書いているのは「立松和平」氏なのですが、
その文の中に「私たちの祖先は2000年も稲作を続けてきた。
私に米作りを指導してくれる師匠でも、まだ30回しか米づくりをしていない。
日本の歴史としても、たった2000回だ」とあります。
人間の一生は、がんばっても100年程度、実質問題なく現役でいられるのは、
まぁいろいろ条件はあっても、半分からちょっと上くらいのもの。
その中で、「稲作」は一部をのぞけば「一年に一回」しかできません。
がんばっても一生に100回はできないのが米作り、
おまけに雨、風、台風、気温、それの時期…、自然相手の勝負です。
米作りがいかにたいへんなことか…。
写真は雪に埋もれた冬のたんぼも、水を張った始まりのたんぼも、
たわわに実った金色のたんぼも、たくさんたくさん写してます。

私は農家の生まれではないけれど、夏休みに母の実家に行くたびに、
たんぼを見てきました。田んぼの中に、家がありました。
かやぶき屋根の軒の深い古い家、薄暗い座敷にすわって障子を開け放つと、
古びて色の変わったすだれの向こうに、青々と広がる田んぼが見えました。
すだれをわずかに揺らしながら風がきます。
クーラーもないし扇風機もない、それでも風が涼しいと言うと
母によく似た面立ちの伯父が「田ぁの水の上、渡ってくる風やさけぇな」と
「何を当たり前のこと言っとる」という顔で教えてくれました。
たった一度だけ手伝った稲刈りは、まだ10代だった私の腰をきしませ、
伯父は「鎌はよう切れるしな、自分の足の間に向けて引きや」と、
おぼつかない手つきの私が、ケガをしやしないかと付きっきりで見ていました。
昔々の古道具、足で踏んで回転させて籾を落とす「稲こき」もやりました。
刈って刈って、両手で前がみえないほど抱えた稲の束、
稲こきすると、一束の稲からおちる「籾」は「えっ?これだけ?」
それが積もって積もって、筵の袋をいっぱいにしてゆく…。
それだけで「なんと気の遠くなる作業だろう」と、
母が「ご飯粒を粗末にするな」と叱っていた意味を理解しました。

母似の伯父もとうに亡くなり、母がその伯父の年をはるかに越えた今、
すでにたんぼは人手に渡り、家は「今風の住宅」になってしまいました。
それでも、伯父の家のとなりに住む「いとこの家の縁側」からは、
もうよそ様のものになった田んぼが見えます。
船橋のマンションにこしたとき、眼下に田んぼがありました。
私はなんだかとてもホッとしたのを覚えています。

これが私の写した「眼下のたんぼ」、たんぼに水を入れる時期の写真、
三脚なしで望遠使ってまして、ちとブレました。おじさんが何かやってますね。


    


町で生まれ育った人であっても、田舎の風景を見ると
「なんだかふるさとに帰ってきたような気がする」なんてことをいいます。
2000年、米作りをしてきた日本人のDNAには、
「たんぼの風景は原風景」という染色体があるのかもしれません。

5月の末に冬物着てストーブつけて…、こんな異常気象のなかで、
今年の米作りはどうだろうか…、そんなことを思いました。








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8 コメント

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嬉しいです。 (穴熊の女房)
2008-06-01 19:43:19
田舎で少しですが 米作りをしている者にとって 何にも替えがたい嬉しいお言葉です。
減反や米余りや色々批判される中 肩身の狭い思いで親から受け継いだ田んぼを 荒らすことが出来ず 守っています。
お店で買ったほうがよほど楽で安いのです。
でも 親父が苦労して手に入れた田んぼを荒らせない 我が家の亭主の想いが 私にも伝わるのです。
本当に嬉しい お言葉です。
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Unknown (ゆん)
2008-06-01 21:02:12
こんばんは
 穴熊の女房さんと同様に、心からふわ~っとうれしさが広がりました。
 本当に、お店で買ったほうが楽で、安いです。でも、ホンの少しの作業でも「う~~!」。ご先祖さんは機械なしでやってこられたんだなあ・・と思うと、そして、一休みの時の風の気持ちよさを感じると、続けようって思います。
 植えたての水田に、青空やお月さんが写りこむのを見ると、「あ、あたしってジャパニーズだ。」って思います
 義父は「おてんとさんが読めんでなあ・・。」と悩んでますけどね。
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Unknown (陽花)
2008-06-01 21:27:17
今、家の近くの田んぼは田植えの
真っ最中です。
子供の頃から田んぼはいつも身近に
見ていてやっぱりホッとします。
私が一畝だけ借りている所も元は
田んぼだったそうで、長年何も植えて
おられなかったので、笹や蔓性の植物に
占領され荒地になっています。
お米を植えなければこんなに荒れてしまう
んだという事を目の当たりにしました。
返信する
Unknown (とんぼ)
2008-06-01 21:27:25
穴熊の女房様
朝からごはんでないと、元気でない私です。
写真の船橋のたんぼも、たった一度だけ、
一枚つくられない田んぼがありました。
減反か…と寂しくおもっていたのですが、
どうやら「作り手」の都合だったようで、
翌年、いつも「晩生」の稲の植わる
その田んぼに、また水がはいったときは、
ホッとしました。
受け継いだトチ、どうぞ大事にしてください。
今年もよいお米がたんと取れますように。
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Unknown (とんぼ)
2008-06-01 21:32:57
ゆん様
本当に「農業」というのは、
週末だの連休だの、関係ありませんからねぇ。
夏の間の作業なんて、よく体が続くと、
ほんとに思います。
きをつけてがんばってくださいね。
水田ってなぁ、ほんとに「絵」になります。
いいお米がたくさん育ちますように。


陽花様
ここは、たんぼの見えるところまでいくのが
大変です。少しずつ色をかえていく
たんぼを見るのは、実に心楽しいのですが。
家でも土地でも、荒れるのは
あっという間なんですよね。
雨ばっかりですが、畑がんばってください。
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たんぼ (蜆子)
2008-06-01 21:45:50
お久しぶりです。
ひょんなことからMIXI内のコミュの管理人を引き受けてしまい、現在会員数304人、あたふたとしています。「お茶しま専科」というお茶関連のコミュです。

こっちを覗かせていただいたら、なんとも懐かしい話。

我が家は町の真ん中ですが、娘夫婦の家、草津市なのですが、町と思っていたのに、裏に田んぼがまだあるのです。先週行ってきましたら、蛙の大合唱でした。
とんぼさんと同じく、祖父母の家は大きな百姓でした。今でもたんぼが村中で一番たくさんある家です。
水田を渡ってくる風気持ちいいですね。夏近しです。
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体に刷り込まれたもの・・・ (ヒロをぢ)
2008-06-01 21:55:09
 確かにあるようですね。私も、年代的にはもう古い世代になってしまいましたので、子供の頃には四季折々の田圃の風景は身近に眺めながら育ちました。だんだんと失われてゆくのは寂しくも感じながら、自身では直接関わらずに過ごしてきたことがなんとなく惜しいような後ろめたいような気がしてしょうがないこの頃です。食の安全や安定供給が危ぶまれる時代、本来のあるべき姿を思い出すいい機会なのかもしれませんね。

 5月はバタバタと忙しくしているうちに過ぎ去ってしまいました。月が明けて少しペースダウンさせてもらおうかと思っているうちにもう入梅の予報がちらほらと・・・。特別雨が嫌いなわけでもないのですが、少しは五月晴れの下を歩きたいものです。この季節の楽しみは、そろそろ山間で咲き始める可愛らしい合歓の花です。
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Unknown (とんぼ)
2008-06-10 10:47:17
蜆子様
すみません、コメントいただいていたのに
見落としておりました。
コミュの管理人とは、またお忙しく
なられましたね。がんばってください。
私の祖父母の代は、もう没落しておりまして、
わずかに残ったものが、もうヒトのものです。
見てる分には、天下のもの、
その景色さえ、見に行く余裕がありません。
たまにはゆつくりたんぼのあぜ道を
歩いてみたいものです。


ヒロをぢ様
すみません、コメントいただいていたのに
気がつかなくて…。
中国の餃子以来、食の自給率の低さが、
とても気になってます。
ちょっと歩けば、田畑や雑木林があった昔を
懐かしく思い出しています。
晴れの少ない5月でしたね。
今年の梅雨はどんなつゆでしょうか。
できるだけ「並」であってほしいものです。
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