ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

大原女柄の帯

2011-08-09 18:49:31 | 着物・古布

 

ちょっとかわいいかなーと思って、シミたくさん、フチ擦り切れだったけど買いました。

お気に入りで、ずいぶんと締められたのでしょう、帯のフチの縫い目は擦り切れ、

界切り線の金糸は、ちょっと引いたらスルスルと抜けてしまいました。

写真で見るよりずっと状態よくないんです。

でも、柄がとても気に入りまして…縦3人で1柄です。

こちらの二人と…

 

          

 

もう一人、私この人が一番好きですー。

 

       

 

両サイドの柄は「色紙の中に京都の名所やお祭り」です。

左右で色が反転しているのも凝ってますね。こんな感じ…

 

     

 

大原女、は今観光用、また変身舞妓と同じ感じで衣装をつけたりできます。

京都には「大原女・白川女・畑の姥」という女性の物売りがおりました。

もうひとつ「桂女」というのもいたのですが、これは元を正せば宮中とかかわりのある「巫女」系の女性。

大原女さんたちと大きく違うのは「あたま」で、当時の長い髪を白い布ですっぽり包んでアップするのが特徴。

 

大原女は、建礼門院に最後まで仕えていた内侍が、柴を運ぶ姿、といわれています。

しかし、元々大原は炭の産地で、頭の上に炭を乗せて売り歩いていたのが始まり。

なにしろ営々とつながってきた女性の仕事ですから、衣装も時代で違います。

また大原女、白川女でも、着ているものや着方に違いがあります。

今、写真や絵で見るのは、比較的近代、江戸、明治のスタイルです。

大原女は、炭の産地が変わってから「柴・薪」を売り歩くようになりました。

大原女がなくなったのは、さらにその「柴や薪」を使わなくなったからですね。

 

白川女は「花・野菜」で、コレも時代が下がると大八車に、多量の野菜を載せて売り歩くようにもなったそうです。

「畑の姥」というのは、別にその辺の畑の老婆ではありませんで、京都の北西「梅ケ畑」という場所、

紅葉で有名な「栂尾」や「高尾」などのある方面ですが、そこの女性のこと。ハシゴや鞍掛を売りました。

母が子供のころ、まだ売りにきていたそうです。前に書いた気がしますが…。

その売り声が「はしぃ~~ごにぃくらぁかけぇ…… いりまへんかぁ」というそうで、けっこうひょうきんだった母は

頭のてっぺんから出るかというような甲高い声で、時々このマネをして笑わせてくれました。

総じてゆったり、ですから、のーんびりな風情を思いますが、

実際には重たいハシゴや鞍を掛ける台を頭に載せて歩くわけですから、重労働ですよね。

ハシゴ売りなんて、頭に載せたまま振り向いたらえらいことになりますよね。

しかもハシゴ持って電車はムリでしょうから、当然歩いてやってくる…。

もちろん、何個も乗せられませんから、一日一個…でしょう。

まだまだウシや馬を使っていた時代ですから、鞍掛も必要だったんですね。

ちなみに母は「白河女」の真似もうまかったです。「はなぁどぉどすぅ・・・はなぁいりまへんかぁ…」。

最近は物売りも車ですからねぇ…声は録音テープだし…。

京都ではまだわずかに「お花」はうっているようです。一度見てみたいものですわ。

 

さて、この帯、ちょっと手触りがホコリっぽいといいますか、なんとなくそのまま使うきになれず、

ダメ元で洗っちゃいました。濃い色が出るだろうなと思いつつ…。

やっぱりね、ちと茶色がうつってしまいましたが、元を見ていなければわからない…

と勝手に決めました。裏に渡っている金糸がすでに弱っていて、

そーっと押し洗いしたんですが、やはりボロボロと切れました。これは芯を貼ってしまえばOKです。

 

で、バッグにしてみることにしました。

アナもありますし、布力などどうかなと思ったので、とりあえず少しいいところをこれだけ残して…

 

      

 

残り部分で作ってみたのですが、帯の両端の縫い目がもうぼろぼろでしたので。

そこからカットしました。そのため横幅が狭くて、トートバッグにしても小さくなります。

傷んだところもあるし、のお試しですから、そのまま柄を縦にとっての縦長トートにしてみました。

 

まだ中袋を作っていないので、外側だけのお披露目です。

フラッシュ止めたつもりが光ってました。おまけにボケてるし…。

 

         

 

こちらが私の好きな「ひとり」の方。こちらの方が現物に近いです。

 

         

 

持ち手は、木製のものを使おうと思ったら、大きいのしかなくて…。

バランス悪いし、実用「おためし」なので、共布を使ってカジュアルな感じに…。

帯の端、締めたとき「手」になる部分、こちらの両脇をカットして、キルティング布を芯にしました。

真ん中、金糸で大原女の輪郭だけ織られてます。

中心の折りあとは、もう経糸がなくて、引っ張ると切れそうなくらいです。

 

           

 

こんなひもになりました。このあと、本当は手でかがるつもりだったのですが、

暑さに負けました、もぉぉミシンでいーやぁ…と。

 

       

 

帯地は、厚くて硬い場合が多いので、着物地を使うよりはちと縫いにくいです。

これはかなりヨレヨレしていましたので、キルティング地に両面接着芯を貼り、そのまま帯地を貼り付けました。

だからよく見ると、下のキルティングのマス目がわかります。

この凸凹が意外とちょっとしたシミなどを紛らせてくれます。

 

           

 

中袋、つまり裏地ですが、赤木綿にするか、 あまり目立たない茶系にするか、

いろいろ布を出してきて、ただいま「おーでしょん」中です。

A4のノートがたてに入りますから、ちょっとお稽古ごととか、使えそうな実用バッグかな。

残った状態のマシなほうは、やはり別布を探して、はめ込み柄にするかなぁとか、

まぁ一応また「考えて」…いつになるんだろ…です。

これもちゃっちゃと中袋を決めないと、このまままた「熟成倉庫行き」になりそーで…。

はよせんとアカン…。

というわけで、久しぶりに母の「あの売り声」を思い出しつつ、ミシンじゃかじゃかで、一日過ぎました。

 


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (陽花)
2011-08-09 20:11:20
擦り切れるほど締められた帯、なるほど
納得です。いい柄ですねぇ。

またまたトートバッグにされたところも
バッチリ素敵です。
熟成倉庫行きにならないように頑張ってね。
返信する
のんびりお待ちしてますから。 (えみこ)
2011-08-09 20:55:30
完成おひろめおまちしております。
さすがのセンスです。
カット位置も色合いも、すてきです。
返信する
Unknown (とんぼ)
2011-08-10 17:39:11
陽花様

みごとに両脇切れてました。
どこを見てもシミがあるので、柄取りに苦労しましたが、
ちょっとオシャレなのができたかなと自画自賛してます。
気に入ったものって、こんなになっても、なかなか捨てられないものなんでしょうね。
な悪ほど締められて、帯も本望かと思います。
返信する
Unknown (とんぼ)
2011-08-10 17:41:55
えみこ様

お褒めに預かりまして、嬉しいです。
中の色に、同じような薄いレンガ色みたいなのを
探しているのですが…。
ここまで来ると、ちゃんと色合わせて作りたい…と、
また欲が出ています。
いつできるかナァですが。
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