ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

繰り回し、歴然?

2011-07-22 20:01:20 | 着物・古布

 

平絹のじゅばんです。色も柄もあまり見ないので入手しました。

これは傷みの具合によるのですが、できたらもう一度じゅばんにしたいと思っています。

実物は写真で見るより、もっとくたびれた感じです。

 

色はあまり見ない「水色」、和名で言うと「甕覗き」の少し赤みがある感じ…でしょうか。

布と柄から言って、元は着物だったのではないかという気もします。

あまり上質ではありませんので「家織り」かと思います。そうなると「染で華やかな柄」というのが定番ですから。

柄はこれもそんなにはない「桧扇」「市女笠」があります。

市女笠は、柄を「巾子(こじ)」と笠部分を分けて描いてますので「皿と伏せたそば猪口」みたいに見えますね。

傘部分の蝶なんか、おもしい意匠だと思います。

 

        

 

こちらの黒いもの…これがねぇ…最初は建物を遠くから見た図かなと思ったのですが、

それに「蝶足」がついてます。道具…とすれば…とよく見たら「棒」がついてる…ようにも見える…?

 

     

 

虫かご…ですかねぇ。平安時代から「虫の音」を楽しむ風習はありましたし。

貴族などは繊細な細工の虫かごに、鈴虫などいれて風流を楽しんだわけです。

この道具のまわりにひらりと流れているのは「布」ですが、元をたどれば「市女笠」についた布。

これを「虫の垂絹(たれぎぬ)」といいます。それで「虫」にかけたのかなぁと思っています。

当時の女性は顔を見せないのがエチケット、男性は見ないのがエチケットでしたから、

大きな笠をかぶってまわりに布が…簡易テントみたいですな。

これは中を見にくくするのと、本当に虫をよけるため。

市女笠については、過去記事のこちらをどうぞ。とんぼのイラストつき説明があります。

 

この「垂絹」部分の花柄、あまりみない「葵」ですね。葵といえば徳川…じゃなくて、

こういう場合は「神紋」を考えます。この葵、茎が二本k「二葉葵」で賀茂神社の神紋です。

またそばの花は「桐」と思われます。桐は皇室が十六八重菊の代替紋、あるいは副紋として使いました。

功績のあった家臣などに与えたりしたわけです。

 

      

 

さて、この黒いもの、なんだろなーと気になりますが、先に進みましょう。

本題の「繰り回し」のお話です。これ、最初は着物だったのかもしれません。

それはともかく、こういう色ですから汚れもヤケも目立つんですよね。

で、一度繰り回してじゅばんに縫い直した…けど、こういう色だからまた汚れちゃった。

でももったいないからまた洗い張りしてじゅばんにした…というところかな…。

袖口側に、元の縫い跡がありありと残っています。  

これだけもったいながって使っていますから、最初の汚れもあるはず…と、

袖付けをちょっと解いてみました。ありましたー思いっきり汚れた跡が。

 

          

 

あとは部分的にヤケがありますが、下が薄い色なので、それほど目立ちません。

全体ヤケかどうか、揚げ部分を解いて見ましたが、ほとんど変わりませんでした。

おくみをつけたように縫ってありますけれど「つまみおくみ」。

背縫い側は、あけると汚れの線はありませんが、裾の裏側の返しの部分に背縫いと思しき部分があり、

そこがかなりの汚れ…つまりこれ、前後も変えてるってことですね。

袖も裏は別布がついています。単のじゅばんではムリだと思うので、薄い羽二重つけますかね。

 

こんなふうに何度も解いて、きれいにでるところをできるたげキレイに見せる。

これが和裁と着物の妙でもあります。長方形の集まりであればこそ、可能なこと。

今回は、この着物にとって何度目になるのかわからない繰り回しですが、

もう一度働いてもらいたいと思っています。

布力が残っていますように。

 


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (とんぼ)
2011-07-23 23:41:06
陽花様

ほんとに優しい色なんですよね。
こういう色の襦袢はもっていないので、
着てみたいと思っています。
返信する
Unknown (陽花)
2011-07-22 23:46:33
とっても優しいお色で、こういうの私も
好きです。
布力があれば、素敵な長襦袢になりますね。
返信する

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