ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

新橋色

2016-05-28 21:22:20 | 着物・古布

 

写真は、今年使っている「日本の伝統色」カレンダー、日めくりではなく「週めくり」。

もう週末ですから、この色も今日でめくられてしまいますが「新橋色」です。

今日はこちらは一日曇り…めくるときになって、あぁ爽やかな色だなぁ…と思った次第です。

 

かつての日本の染色では、とりあえず「自然材料」から染めることしかなかったわけですから、

今「草木染」と言われている染めに使われる染料が、いわば日本古来の染料。

明治に入って、それはそれはもうすごい勢いで、いろーんなものが入ってきたわけですが、

その中に「化学染料」も、ありました。

正確には、江戸末期から入っていましたが、多用されるようになったのは明治になってから。

 

染める、と簡単に言っても、実はいろんな染め方があります。

染めるといいますか「色を布に定着させる」ですね。

これをきちんとできないと、ムラムラに染まったり、染めたのに洗うと色落ちがひどかったり…。

最初はそれを知らずに、草木染よろしく、溶いた染料の中に浸けただけで完成としたために、

あとあと色落ちや褪せがひどくて、大きな問題になった…なんてこともありました。

ともあれ、やっとあれこれ「化学染料」との付き合いがうまくいくようになって、

いままでにない色が現れたり、染の新しい方法が進むなど、いいこともたくさん始まったわけです。

 

新橋色は、明治中期ごろに入ってきた色と言われています。

初夏から夏向きにいい、爽やかな色ですね。洋名だと「ターコイズ・ブルー」。

わずかに緑みを感じる薄い青。実は、母が大好きな色でした。

「新橋色」という名前は、このちょっと粋な爽やか青みを、新橋の芸者さんたちが好み、

競って身に着けたところから…と言われています。

 

新橋、は、東京の地名で、関東の人間ならだいたい「あのへん」とわかるところ。

今のJRだと、東京から二つ目が「新橋駅」です。駅の近辺はサラリーマンのパラダイス?

ちょっと帰りに一杯…という居酒屋さんなど、食べログなどにも多数紹介されている場所ですが、

「芸者さん」、つまり「花街」というなら、実際の「新橋駅」から少し離れた銀座の端が「新橋芸者」の本拠地。

新橋のほかにもうひとつ、台東区に「柳橋」があり、実は花街としてはこちらの方が古く、新橋は「新興勢力」。

明治期は、柳橋の芸者さんの方が、格が上だったのだそうです。

明治大正期には「柳新二橋」と言われて、政財界の大物さんたちがごひいきにして…。

今ならとんでもないスクープになるでしょうけれど、華やかな世界があったわけです。

やがて大戦の影響などもあり、結局「柳橋」は衰退してしました。

まぁ今の時代、どこの花街も昔の隆盛はありませんが、それでも新橋は元気で残っています。

 

さて、その「新興勢力だった新橋の芸者さん」が好んで着た色」が「新橋色」なわけですが、

もし、これがはやったころ「柳橋」の方がずっと勢力強くて、両方の芸者さんが競って着ていたら、

もしかして「柳橋色」とか「(柳新)二橋色」なんて言われたかもですね。

 

梅雨前の、ちょっと一息…の今の時期、こんな色の着物…はムリだから、

せめてTシャツとか着て、うっとおしい梅雨に備えたいものだなぁ、なんて思いながら空を見上げました。

今年の梅雨は?、今年の夏の暑さは?…苦手な季節が近づいてきます。


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (サザエ)
2016-05-30 06:04:50
新橋。。なんとなく赤ちょうちん(仕事帰りに一杯。。??)のイメージがあるのですけれど、
この色はとても爽やかな感じですね^^
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Unknown (とんぼ)
2016-05-31 10:26:29
サザエ様

それですよね。
その時代に「何」を見るか…で、イメージが変わる…。
時代が変わると「なんでこんな名前?」なんてのが
いろいろ出てくることもあるわけです。
新橋色なんて、その代表かもしれません。
かつて「新幹線ブルー」なんてありました。
元々の青と白の車体から来たようですが、
今や新幹線に「青」はほとんどありませんねぇ。
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