静かな生活  微睡の 私記

 
さりげなく 簡素に生きたい。傍らに コーヒーがあって
とっておきの本たちがあれば それだけでいい
 

明日は立冬

2012-11-06 18:19:48 | 読書




  昨日までの、あのさわやかな秋の佇まいは、一変して、

今日は朝から秋雨がしとしと降り続きます。明日は立冬です。

 ヴェランダの、軒下に吊るした外気温度計は14.5℃。いつもの
 
 朝晩の気温なのに、雨の所為か、とても寒さを感じます。

  森までの細道のそよ風も、木々の色づきも、か細い野鳥の

 さえずりも、去りゆく秋の名残りを惜しむ心で、昨日は

 4521歩も歩きました。ヘンリ・ライクロフトになりきって・・・

  それだから今日は、心おきなく雨読の日に決めました。

  
  青空文庫から、萩原朔太郎の”僕の孤独癖について” 。

  読むに従って、自分がモデルであるような、少しだけ違うような

 理解者に逢っているような、なんだかとても心休まる随筆です。


  ああ、この数カ月、甲賀三郎、コナン・ドイル、夢野旧作等

 の探偵もの、ミステリを、それこそ夢中で読みあさりました。

  何のことはない、わたしの主治医に処方していただく精神安

 定剤 セレナミンを飲まないがための法便です。 作品を読んでいると、

 鬱鬱した気分の時間がもったいなくての、お薬絶ちです。

  その副作用か、物忘れの度合いがずいぶん減りましたって。


  この頃、彼らの作品を大凡読み終えたので、次なる作品は、

 薄田泣菫の、随筆や、中原中也の散歩生活、萩原朔太郎、

 といった、気の向くままの作品を気楽に、丁寧に、ゆったりと読む
 
 んでおります。


   いよいよ来年。鬼に笑われるのを覚悟で、鈴木道彦訳

  「失われた時を求めて」の3度目の通読に入りたい。

 大好きな人物は、シャルリュス男爵。 テーマはフランス式ハーブティー。

 私の大好きな詩人長田弘氏の、”猫がゆく”で述べた、一生一遍だけを

 読み続けようため、の長編を、その本に決めてあるからです。


  ずいぶん間を置きすぎたブログの更新になってしまいました。

 朔太郎氏の言葉に従えば、強迫観念は、老齢期に入ったおかげで

 かなり快癒しだした気配を、自分なりに感じます。人間づき合いは

 まだまだかなりうっとうしいけれど、 ひとりの世界、本の世界に

 もぐっている限り、よけられますから。コンビニと、森と、車通りの

 少ない郊外の道路を選んで、気楽に平均寿命を全うしたいな・・・

  
 


美女ドローテはドイツに

2012-06-09 12:08:08 | 読書



  ようやく再会しました!   思えば、 
かれこれ五年ほども。あれほど探しあぐねた 
 わたしの パリの憂鬱の美女ドローテは
 ドイツの ある小さな村で、 ゲーテの 
ヘルマンと一緒に、幸せに暮らしていました。
 その名をドローテア、と呼んで。~うん?~

 ゲーテはボードレールより72歳年上です。
だから、ドローテアから、ドローテに名を変えた?

いったいドイツ語でゲーテはドローテアと呼び、
フランス語のボードレールはドローテと? 
両語ともに無知なわたしに、恋する値は....

やはり、あるのです。だって、ボードレールの
”パリの憂鬱”も、ゲーテの散文(叙事)詩 
”ヘルマンとドローテア”も、それこそ寝る間も
惜しいほど読み明かし、浸り浸ったのですもの。


  ドローテの素性を ようやく知った今、
わたしは 安心して 次の本の海に進みます。


 夕方まで 雨降る土曜日です。
無事手にした 平出隆氏の、美しい装丁の
”左手日記例言”を、読んでいます。

 この本は、書見台に乗せると、壊れそうな、
とても華奢です。左ページだけに文があって、
右側のページは、綺麗な、真っ白です。


 わたしは 敢えて左手だけで、支え持ち、
疲れると、膝に乗せて 読みます。

ページを繰るときに、反則的に右手を添えます。


わたしのように、年老いて、目を左右に
動かすことの難儀も、最小限に抑えられていい。

 因みに 作者は 右手の甲に怪我をして、
それは、頭のどこかにも響いたらしくて、さらに…
と、ご本で 冒頭に そう告白しています。

それで、わたしも、作者の難儀を共有しようと、
 極力左手だけを使うことにします。


 文章はとてもわたし好みです。 訳もなく うれしい。
一種の安堵感 というのでしょう。


遅読なわたしです。いつ読み終われるか、
そう思うだけで はや楽しみは募ります。

  ただ今 ”老作家” の例言を読むところです。

ベランダのすだれに這わせた”ゴーヤー”の
ひょろひょろ伸びる蔓の先が、
雨空を握りたがって、左手指を連想させます。





 本が好き

2012-06-06 23:55:16 | 読書






ここ東京地方に小雨が降っています。梅雨どきです。
むこうの 楠の枝に落ちる雨の音は しとしとと
ひとり居の心に 容赦なく響きます。時おり
救急車の知らせさえ 遠くできこえます。 
不安 心細さは 身近にせまります。
 逃げたい。逃れたい。にげ方は 3つ思いつきました。
一つ、雨の中を、車で外出します。二つ、本の世界に
駆け込みます。三つめ、眠剤を飲んで、寝ちゃおかな。
 いよいよ自分が情けなくなりました。
  
 思い切って、地域の図書館へ 出かけました。
雨はすっかり晴れています。
いいことがありました。予約していた 平出隆さんの
”左手日記例言” が届いていました。
綺麗な装丁の本です。傍らの書架から 綺麗な装丁に
惹かれて 「音楽を奏でる名画アルバム」も、借りました。

もう すっかり鬱な気分は消えています。
二冊を抱きしめながら R2 に乗って、好きな
スーパーマルエツで 好きな東京牛乳を買いました。
琉球泡盛 久米島の久米仙 30度 も 買いました。

風は次第に強くなり、降りだされると困るので、
遠出は控えよう、帰ろう、本を読もう、平出さんの
素敵な文章に 早く触れたい。 彼の虜になりたい。

予約した彼の詩集の まだ届かないのが待ち遠しい。


 


自由の土曜日

2010-03-13 12:40:34 | 読書

  

  待ちに待った土曜日です。 土曜日・・・なんと心休まる響きでしょう。 

 暮らしむきを維持するための お仕事から解放された、わたしの自由。

 何もしなくていい日です。 ささやかな 心のゆとりをかみしめながら、

   おそい夜の来るまで、永遠の時間を渇望します。

   あのテーマで、ブログの更新です。 

  昨日   半身浴タイムは、詩人、長田弘さんの著書 [世界は一冊の本] を

   読みかえしました。 目を閉じて・・・、感銘を受けた言葉の個所を 

     

   心にメモしてあるのを 今 書き連ねます・・・

          本の目次の

          

             (人生の短さとゆたかさ)   から

      ≪じぶん自身以外の何者でもなかった者≫

     ≪ゆっくりと生きなくてはいけない。 

               空が言った。木が言った。風も言った ≫

             ”生まれたとき、この世界の隅っこに 

                  小さな肉体を投げだされたにすぎない者”

    

        

           (友人の死 )   から

      ”人間は、一つの死体をかついでいる小さな魂にすぎない”

             

           こうして、人の生きることに関わる 詩の言葉を

    見つけて、 しばらく目を閉じ 、温かな湯船に浸かった 

     至福の かれこれ80分でした。 

                      読書・・・   【続く……】

   


美女ドローテに恋して

2007-12-22 14:05:55 | 読書

 一転、今日は朝から鬱々と曇り空です。ひょっとして、ここ多摩地方に小雪が舞うと素敵だな・・・・、表の気配をうかがいながら、心はドローテを追います。

 『巴里の憂鬱』の美女ドローテを読んでいます。 三好達治訳 は、難解な漢字があるけれど、遅読好みの私には苦になりません。

・・・・ほっそりとした上体を、幅広い腰の上に・・・・、明るい薔薇色の絹の衣裳を柔らかに揺らして・・・・暗黒の皮膚のドローテは、赤い日傘をさして進んでゆく・・・・如何なる止みがたい動機が、こんなに道を歩ませるのであろうか・・・・。褐色の美女ドローテは、とても魅力的です。

 呉茂一著 「ギリシャ神話」を開いても、ドローテを見つけることは出来ませんでした。インターネットを検索しても、私には一件だけしか見つかりません。ギリシャ神話のドローテを、もっともっと詳しく知りたい・・・・だれか教えてください。

 天気予報で、土、日は雨(ひょっとしてこの辺りは小雪?)と想定して、昨日も一昨日も一昨々日も、大好きな小ドライブを堪能しました。それで今日は心おきなく「巴里の憂鬱」に浸ります。今、当に“旅への誘い”に心惹かれている状態。わたしは、ボードレールと一緒に、旅へ出かけます。

 《そは、宝の国と人の呼ぶ荘厳善美の国である、年老いた恋人と共に、私の訪れたいと夢みるのは、我らの北方地方の霧に溺れた、比類ない国、そは西洋の東洋とも、・・・・》・・・・

 もう、留まりません、こうして私は終日、彼の詩の本に飲みこまれながら、時を過ごし、休むまで、そして休むとき、どうぞ夢に見させてください、と祈りながら、遅い就寝の時を迎えたい。そのころきっと雪ははらはら降っていることでしょう。