静かな生活  微睡の 私記

 
さりげなく 簡素に生きたい。傍らに コーヒーがあって
とっておきの本たちがあれば それだけでいい
 

カフェタイム 

2007-12-28 16:18:30 | 日常

 一杯のコーヒーさえ有ればこの部屋は、世界でいちばん穏やかな空間にかわります。淹れたての、たった一杯の、わたしだけのコーヒー。熱々の、キリマンジャロブレンドの得も言えぬ薫りに酔いながら、久々にブログを書いている、ごくごく平凡なわたしの暮らし向き。ちっとも高価でないコーヒーと、読みたい本と、ガスストーブさえあれば、ほかに何もいらない、そんな気分です。・・・・あらら、すっかり忘れてしまっててごめんなさい・・・・愛車スバルR2“わたしのアネモネカラー”と五羽の元気なセキセイインコたち。これぞわが人生の最良の伴侶ですもの。 

  日々、分相応な暮らしを楽しむこの苫屋は、時たま訪れる宅配さんのほかは、外部と遮断されて、とても静かです。ベランダに撒いた粟だまを、お馴染みの雀のカップルがちゅんちゅんと、啄んでいます。自分で啄めばいいものを、甘えて彼にねだります。しばらく物干し竿で羽繕いしたあと、揃ってどこかへ帰ってゆきます。

 昨日はお散歩のあと、買いそびれた品々を買いに出かけました。もうすっかりお節やお正月商品が店頭に並べられていて、いつものダイエ-、ジャスコも、よそよそしく感じる年の暮れです。最小限のもの、年越しそばと、お雑煮用の切り餅と、少々の鶏ガラで、お澄ましはきれいに澄んだスープにしたいな・・・・三つ葉はもすこしあとに、それとも鉢植えのイタリアンパセリを摘もか・・・・、お茶は正月だから少し奮発して・・・・などと店内の通路を歩きながら、いつしか新年を待ち望む心が芽生えている自分です。ひとり暮らしの“分相応”な日常を楽しんでいる自分を見つけて、嬉しくなりました。何年振りかしら・・・・久しぶりの年末気分を味わった昨日の午後でした。

 さて、ひと啜りしよか。一段落して傍らを見ると、すっかりカップは空っぽです。

 もう一杯淹れますか。やはりキリマンが大好き。だって第一これしかストックはないから・・・・わたしの習慣の、毎度一杯ずつ抽出するのは、これっきり、という明るい悲壮感と、淹れたての灼熱の味と薫りを満喫できるからなのです。ひとりであることの持つたっぷりの時間と、行動の選択の自由に感謝する瞬間。この後、どれだけ生き続けられるか、誰にも見とられずに消えてゆくのか、その時傍らに淹れ残しのカフェがあるとき、絵になるかしらん・・・・悪くないね・・・・静かで、のびやかで、生きたままの死にようかしらん。


美女ドローテに恋して

2007-12-22 14:05:55 | 読書

 一転、今日は朝から鬱々と曇り空です。ひょっとして、ここ多摩地方に小雪が舞うと素敵だな・・・・、表の気配をうかがいながら、心はドローテを追います。

 『巴里の憂鬱』の美女ドローテを読んでいます。 三好達治訳 は、難解な漢字があるけれど、遅読好みの私には苦になりません。

・・・・ほっそりとした上体を、幅広い腰の上に・・・・、明るい薔薇色の絹の衣裳を柔らかに揺らして・・・・暗黒の皮膚のドローテは、赤い日傘をさして進んでゆく・・・・如何なる止みがたい動機が、こんなに道を歩ませるのであろうか・・・・。褐色の美女ドローテは、とても魅力的です。

 呉茂一著 「ギリシャ神話」を開いても、ドローテを見つけることは出来ませんでした。インターネットを検索しても、私には一件だけしか見つかりません。ギリシャ神話のドローテを、もっともっと詳しく知りたい・・・・だれか教えてください。

 天気予報で、土、日は雨(ひょっとしてこの辺りは小雪?)と想定して、昨日も一昨日も一昨々日も、大好きな小ドライブを堪能しました。それで今日は心おきなく「巴里の憂鬱」に浸ります。今、当に“旅への誘い”に心惹かれている状態。わたしは、ボードレールと一緒に、旅へ出かけます。

 《そは、宝の国と人の呼ぶ荘厳善美の国である、年老いた恋人と共に、私の訪れたいと夢みるのは、我らの北方地方の霧に溺れた、比類ない国、そは西洋の東洋とも、・・・・》・・・・

 もう、留まりません、こうして私は終日、彼の詩の本に飲みこまれながら、時を過ごし、休むまで、そして休むとき、どうぞ夢に見させてください、と祈りながら、遅い就寝の時を迎えたい。そのころきっと雪ははらはら降っていることでしょう。