『脊柱側弯症』の病名を負って、久しい。原因不明な病気です。
切開する以外に 治療のし様のないまま、痛み止めを飲み飲み、鈍間な
日々を過ごしているのに、精神は なんとなく 無駄に沈むことが多い。
気を紛らすために、時おり 小さなドライブをします。外気に触れて、
小鳥の声を聞いたり、空の雲を眺めたり、並木の風流に 季節の移ろいを
味わったりして、気分はすっかり明るくなります。
数日前、いつもの背中の痛みどめの錠剤を飲んだら、胃がムカついて、
受け付けない。お林檎やら ヨーグルトなど、すっかり吐き出して、
白湯を飲んだら、不思議なほど ムカつきは収まった。
このお薬がいけません。強力な この痛み止めのお薬なんか、
痛みを増すだけだから、もう飲むのは止そう! 痛くなったら、ネットの、
新潟の大学のお医者先生のお勧め通りに、痛くない体位を取ろう、と決めました。
つまり、ベッドに横たわります。筋肉の退化を受け入れるしかなくても、と。
幸い、今日は、大丈夫の様子だから、小さな旅行をしましょう。
そう思いたつと、急にはつらつと、府中街道や、小金井の喜平橋を目指して、
五日市街道沿いにスバルを走らせました。時はちょうど正午。よく晴れて、
辺りの草木や葉のにおいは、まるでお芋でも焼きたくなるほどいい薫り。
今日のブログのテーマは
【支倉事件】甲賀三郎氏の有名なミステリ作品です。
小説の、あの残酷な犯人の名、こそ 支倉喜平。喜平。
ブログの更新を中断してまで 読み漁った 諸々の作家の ミステリ作品。
特に心を締めつけられ、惹きつけられたのは、《支倉事件》。
こともあろうに、わたしの、愛用のドライブルートの一本と
同じ名の地名ではないか。しばらくの間、喜平橋を通るのが、
とても怖くて、忌み嫌って、避けて、遠回りした。
喜平橋の「喜平」と名付けた作者の甲賀三郎さんを、恨みました。
かれこれ、二年余りの年月で、ようやく 疎ましさから解放されて、
平常心に戻れた今日は、新しい気分で、喜平橋を通ることが出来ました。
秋は、もうすっかり枯れ衰えて、浄水際の桜の枝は ただ冬を待つばかりです。
たった50キロ足らずの 小さなスバルの 小さな旅は
長閑な秋の午後を わたしにプレゼントしてくれました。