短夜や乳(ち)ぜり泣く児を須可捨焉乎(すてつちまをか) 竹下しづの女(たけした しづのじょ)
この句を読んだ時、勇気をもって子育ての大変な思いを詠ったのだと思った。だけれども、<須可捨焉乎>と表記したのは何故だろう?まあ、この句のポイントはそこだと思った。心には浮かんだけれど、面と向かって人には言いにくいことだからなのだろうか。でも、<すてつちまをか>は、下卑た(投げやりな表現の)俗語だ。待てよ。しづの女に、暗号めいた<須可捨焉乎>の文字が浮かんできて、それを解き明かしたら、<すてつちまをか>だったのではないだろうか。この<すてつちまをか>は確かに下品だが、限りなく大らかで明るい響きがある。
育児ノイローゼ(今は言い方が違うのかもしれないが。)を吹き飛ばすような明るさだ。
この<すてつちまをか>は、子育てに疲れた人の気持ちを転換させる呪文のような効果があるのではないだろうか。そして、夜を短く感じた寝不足も笑と共に解消されることを願います。