久方のアメリカ人のはじめにしベースボールは見れど飽かぬかも 正岡子規(まさおかしき)
俳句や短歌を詠む人は、なかなかスポーツを貶せない。それは、子規が野球が大好きだったからだ。虚子や碧梧桐も子規の勧めで野球をやったことがあるようだ。
“久方の”天や空に掛かる枕言葉だが、アメリカに掛ける自由奔放さ。だけれども、船でしか海を渡れなかった時代、確かにアメリカは久方にある国だった。
それにしても、子規の愛した野球は将に草野球だった。
ベースボールの歌から
打ち揚ぐるボールは高く雲に入りて又落ち来きたる人の手の中に
いやあ、外野フライですね。しかし、のどかに楽しんでいる打者、外野手、そして歌人。
どの本に書いてあったのか失念していて申し訳ないのだが、「野球」という言葉も子規の考案らしい。しかも、“野”と“球(ボール”を合わせてノボール・・・升(のぼる)、つまり子規の本名だということだ。
子規は笑いが大好き。駄洒落が大好き。そうでなければ、秀吉以来最高の“ひとたらし”にはなれなかったのだろう。
ミットより熱砂へ突き出す指二本 風天