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飯山市桑名川名立神社例祭へ⑤

2024-09-14 23:09:37 | 民俗学

飯山市桑名川名立神社例祭へ④より

 

「ミヨ舞」

 

「剣の舞」

 

 

東西、そもそも つるぎの舞と申すは一拝
いざなぎ いざなみの命 ししほうけんの剣を以て
悪魔こうぼくし 三十八段に切り払い 大方様に
切り払うとは 四方の神々

 桑名川名立神社のハイライトとも言える「剣の舞」の冒頭の口上である。今年の始まりは午後11時半であった。その前段に「ミヨ舞」が行われた。小学生男児による舞は右手に鈴、左手に扇を持って舞うもので、「剣の舞」に比べるとゆったりとした舞である。そして「剣の舞」を久しぶりに見た印象は、かつてより年齢が上がったのか?というものだった。今年は中学生2名と高校生1名だった。高校生が入っていたことがそのような印象に繋がったのかもしれない。15分余にわたる舞は、激しく、また複雑な舞であり、これだけの時間舞い続けるのは容易ではない。斎藤武雄氏による『奥信濃の祭り』(1982年 信濃毎日新聞社)によると、この「剣の舞」は明治に入ってから土倉から教わったものと言う。その土倉では新潟県の方から入ってきたとか、あるいはその隣の羽広へ新潟県から入ってきたと言われている。同じ系統のものがその3カ所で舞われていたが、現在残っているのは名立のみという。さらに名立ではこの舞を「神の舞」といってほかの舞に比べて大切にしてきたという。頭に白い鉢巻をし、その鉢巻は後ろに長く垂らして舞う。下体には紺色のしぼりの袴を履くとともに白足袋を履く。拝殿内の悪魔祓いをするような所作で、隊列を一列にしたり、拝殿中央に向かって輪になったりと変化する。最後には二人が横で膝まづいて見守る中、一人が拝殿中央で剣を持ったまま前後に回転をする。

 舞には冒頭の口上のほか、唄が入る。

ハアー 正月は門に門松 内にはしめ飾りして
    悪魔を払うとなあー よいとなあー ホイ
ハアー 今日の日は 木枯らし吹けども寒からず
    枝木に小鳥が 梅にうぐいすなあよいとなあ ホイ
ハアー 天竺のたなはの星にも 雲かかりょうと
    わが家の氏子に 雲かけや せまいとなあ よいとなあ ホイ
ハアー ここはどこよと問い聞けば ここはなあ
    天竺神やしろ よいとなあ ホイ
ハアー 今日の日は 天のなあ 祭りかよもの
    神々集まりて 笛や太鼓で祭られる よいとなあ ホイ

 拝殿では「ミヨ舞」が最初に舞われたが、かつてはその前に「長刀の舞」かあった。現在は子どもが少なくなって、この舞は舞われていない。

続く


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