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伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

ご神縁

2024-09-03 23:11:46 | 民俗学

小野弥彦神社

 

 昨日「御鉾様と五輪塔残欠」を記したが、隣の弥彦神社の拝殿前の掲示板に絵馬ではなく、板状の同様の意図のものが吊るされていて、よく見ると「弥彦神社」と記されたものが1枚あっただけで、あとは別の神社の名前が入っている。ふつうはこうしたところに吊るされている絵馬などには、その神社の名前が記されたものが吊るされているはずなのに「どういうことか?」と頭を傾げたわけだ。そうこうしているうちに、一緒に訪れた仲間から、社務所に何かそれを説く鍵になるものが置かれている、と聞いて行ってみた。無人であったため、板状の札をについて聞くことはできなかったが、そこに「信濃巡縁紙(しなのじゅんえんし)」の専用台紙なる小さな紙片が置かれていた。B5版の紙を二つ折りしたもので、中には「御神縁」と印刷されたスタンプの台紙が挟まれていた。そこに印刷されている神社は、弥彦神社のほか蚊里田八幡宮(長野市若槻東条)、武水別神社(千曲市八幡)、山家神社(上田市真田町)、菱野健功神社(小諸市菱平)、子檀嶺神社(上田市武石小沢根)、岩崎神社(松本市新村)、冨士山稲荷神社(飯田市浜井町)、以上8社だった。ようはこれら8社で「ご神縁めぐり」という企画で参拝を促しているというわけである。その上で板状の物を「結び札」と称し、「願いを書いて次の神社へ奉納しご縁を繋ぎます。もう一枚は願いを込め家にお持ち帰りお祀りください。」という。なぜここの掲示板に弥彦神社のものが無かったのか、これを読んで判明したわけである。結び札は2枚で一組となって販売されている。「県内指定の八社すべてで押印したら、申し出てください。修了印を押印します。また記念品を差し上げます。」という。

 さて、弥彦神社にはこの結び札が58枚掛けられていた。こ神縁巡りをされている方が大勢いるようで、遠隔地の神社の札がいくつも吊り下がっていた。表には神社名、裏面には「願いごと」を書くスペースがあって、各々思いのところを記していた。「家内安全 健康長寿」といったものから、「神縁」と言っているから「良いご縁がありますように」といったものが目立った。同様の絵馬を最近見ているが、「縁」に関わる願いは見なかった。「縁」を結ぶための「結び札」と称していることから、願いを込める人々にもその思いが誘導されているようにもうかがえた。


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