日本の花・花を詠んだ句

日本に咲いている四季の花・花を詠んだ句を紹介します♪

菊の香や 茶に押合ふも 此の日より

2024年11月29日 | 秋の花


小庭の小菊たちが今年も綺麗に咲いてくれました。
今年の夏は猛暑の日も多く心配しておりましたが、なんとか無事に咲き揃いまして・・・
菊の香りに日々癒されています♡

「菊の香や 茶に押合ふも 此の日より」

江戸時代に最も活躍された女流俳人「加賀 千代女(かがの ちよじょ)」が詠んだ句です。

◎菊の香(きくのか)→菊の香り・秋の季語

◎此の日(このひ)→この日

昔から菊の花は「仏境に咲く霊薬」として、
邪気を払い、長寿の効能があると信じられてきました。

平安時代には、旧暦の9月9日に「重陽の節句(ちょうようのせっく)」という、
五節句の行事が行われるようになりました。(現在の10月中旬〜11月ごろ)

菊が美しく咲く時季であることから「菊の節句」とも呼ばれており、
また、「鑑菊の宴」いう菊を眺める宴が宮中行事の一つとされ、
菊を用いた厄払いなどが行われていたそうです。

江戸時代には、庶民の間にも菊の風習が広がり、
「重陽の節句」は五節句の一つとして親しまれる行事になりました。

菊の香りに包まれて・・・
親しい人々が集まり、無病息災を願って菊の花を浮かべたお酒(菊酒)を飲み、
栗ごはんなどを食べてお祝いをされていたようです。

秋の収穫の時季が終わり、
この日の頃から季節は少しずつ冬へと向かい、
だんだん寒くなり、家に集まってお茶を飲む機会も多くなっていく様子を詠まれています。

現在は、「重陽の節句」をお祝いする風習も少なくなりましたが、
菊を鑑賞する菊花展などの行事は、多くの人々に親しまれていますね♡

ちなみに画像のオレンジ色の小菊は、
4年前に近所で開催されていた「菊花展」へ行った際に、
お土産で購入した小さな苗を育てておりまして・・・
その後、毎年お花が終わった後、春に挿し木にして育てています♡
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草むらに もつともらしき 野菊かな

2024年11月09日 | 秋の花


立冬を迎え、富士山の初冠雪も観測されましたね。
季節が急に冬へ近づいたように感じています。
お風邪などひかれませんよう、暖かくしてお過ごしくださいね♡

一昨日の朝、自転車で畑へ向かっている道中で、
たくさんの薄紫色の野菊が咲いているのを見つけました。

昔からあると言われている峠道(街道)を通っておりまして、
道路の両側に森林が続いているような場所で・・・
自生している季節の草花に出会うこともあります♡

「草むらに もつともらしき 野菊かな」

明治時代を代表する俳人・歌人「正岡 子規(まさおか しき)」が詠んだ句です。

◎野菊→秋の季語

子規は、野菊が登場する句をたくさん詠んでいます。
その中でも草むらに咲く野菊を詠んだ句は、
とても親しみが感じられて共感しています♡

◎草むらに はつきりとさく 野菊哉
(くさむらに はつきりとさく のぎくかな)

◎草むらむら 其中に野菊 まじり咲く
(くさむらむら そのなかにのぎく まじりさく)

昔からある峠道に咲いていた可愛らしい野菊たち・・・
長年にわたり愛でられている秋の風景ですね♡
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行きすぎて 金木犀は 風の花

2024年10月19日 | 秋の花


10月中旬を過ぎましたが、今日は季節はずれの暑い一日となりました。
明日は気温が急激に下がり、寒くなるそうです。
寒暖差の大きい時季ですので、体調に気をつけてお過ごしくださいね♡

一昨日ごろから、あちらこちらで金木犀の香りが漂いはじめています。
季節はずれの暑い日もございますが、
オレンジ色の可愛らしい花々と、やさしい香りに秋の訪れを感じています。

「行きすぎて 金木犀は 風の花」

昭和時代〜平成時代に活躍された俳人「木村 敏夫(きむら としお)」が詠んだ句です。

◎金木犀(きんもくせい)→秋の季語

古くから秋の訪れを知らせてくれる花として親しまれている金木犀・・・
画像の金木犀は樹齢30年以上の大木です。
十文字の5mmほどの小さな花が寄り集まって咲いています。

風のように通りすぎてゆく可憐な金木犀の花たち・・・
花は雨が降るとあっという間に散ってしまいますが、
散った花たちが地面をオレンジ色に覆う様子も情緒があり、
その光景も古くから愛でられています♡
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かざおとを かすかにつつみ 彼岸花

2024年10月05日 | 秋の花


お彼岸の頃にいつもの場所で咲く白い彼岸花が、
今年はお彼岸を過ぎても花が咲きませんでした。
このまま花を見ることができないのかも・・・と心配しておりました。

10月になり・・・
畑へ行く道中で、紅色の彼岸花が道沿いに並んで咲いているのを見つけました。
美しい花姿に、しばらく見惚れていました♡

「かざおとを かすかにつつみ 彼岸花」

明治時代から昭和時代に活躍された俳人「松村 蒼石(まつむら そうせき) が詠んだ句です。

◎かざおとを→風音を
◎彼岸花(ひがんばな)→秋の季語・曼珠沙華(まんじゅしゃげ)という別名でも親しまれています。

今年は記録的な猛暑の影響により、各地で彼岸花の開花が遅れていたようです。
いつもの場所の白い彼岸花も花数がかなり少なくなってしまいましたが、
一昨日から少しずつ咲き始めました。

秋の涼しい風にゆれて心地よさそうに咲いている彼岸花たちをみることができて・・・
ほんとうに嬉しく思っております♡
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あさがほや その日に逢ふて 仕廻けり

2024年09月27日 | 秋の花


9月下旬を過ぎて、ようやく暑さもおさまり過ごしやすくなりましたね。
季節の変わりめですので、体調に気をつけてお過ごしくださいね♡

先日、偶然通りかかった道沿いに、美しい朝顔が咲いていました。
全体が爽やかなブルーで星模様がピンクの朝顔です。

「あさがほや その日に逢ふて 仕廻けり」

江戸時代に最も活躍された女流俳人「加賀 千代女(かがの ちよじょ)」が詠んだ句です。

◎あさがほ→朝顔(あさがお)・秋の季語
◎仕廻(しまい)→すっかりかたをつける
◎けり→物事の終わり・結末・決着

その日は朝から曇り空のお天気で、暑さも和らぎ涼しくて・・・
正午過ぎでしたので、一般的な朝顔ですと花が萎んでしまっている時間帯です。

お天気や気温の影響で正午過ぎでもお花を見ることができたのかなぁ。と思っていたのですが、
品種を調べてみましたところ、この朝顔は琉球朝顔(りゅうきゅうあさがお)いう種類の朝顔で、
夕方近くまで咲き続けることができるそうで・・・
お花の特徴からオーシャンブルーという品種の琉球朝顔ということがわかりました。

この朝顔は、花の色が朝はブルーで、お昼ごろには星模様から赤紫色が入ってきて・・・
夕方には全てピンクになって花を閉じるそうです。

偶然見つけた美しい朝顔・・・
早朝や夕方の美しい花姿もぜひ見てみたいと思っています♡

*   *   *   *   *   *   *   *   *
この度の能登半島での記録的豪雨により、
被害にあわれた皆様に心よりお見舞い申し上げます。
被災された皆様の安全と一日も早い復旧を祈念しております。
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山葛に わりなき花の 高さかな

2024年09月12日 | 秋の花


9月になりましたが、連日にわたり厳しい残暑が続いていますね。
くれぐれもお身体に気をつけてお過ごしくださいね♡

昨日も厳しい暑さで・・・
お手伝いに行っている畑の脇道に、見上げるほどの大きな山葛が茂っておりまして・・・
紫紅色の花が、あちらこちらに咲きはじめていました。

「山葛に わりなき花の 高さかな」

明治時代を代表する俳人・歌人「正岡 子規(まさおか しき)」が詠んだ句です。

◎葛(くず)・葛の花・山葛→秋の季語
◎わりなき→理無い・理屈を超えた・理屈では説明がつかない

葛は “秋の七草” の一つとして古くから親しまれていますね。
ひと夏で10mぐらい成長し、まわりをツルでおおってしまうほどの強い生命力があります。
葛の花は茂った葉っぱの中で、ちらちらと見え隠れしていますので、
じっくりと近づいて見ないと見過ごしてしまいます。

厳しい残暑が続いておりますが、
紫の綺麗な花をたくさん咲かせて、秋の訪れを知らせてくれているようです。
帰り道では、萩の花も咲きはじめていました♡
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この宮の 秋に応へて 紅葉はや

2023年12月06日 | 秋の花


師走を迎え、何かと慌ただしい日々をお過ごしのことと存じます。
くれぐれもご無理をなされませんよう、
お身体に気をつけてお過ごしくださいね♡

先日、久しぶりに東京方面へ行く機会がございまして・・・
湯島天満宮へお参りに行きました。

平日だったのですが、たくさんの方々が参拝にいらっしゃっていました。
甥っ子の高校受験のお守りをいただいてから御朱印の受付をしまして、
番号が呼ばれるまで境内を散策しておりましたら、
とても大きな紅葉(もみじ)の木がありました。

「この宮の 秋に応へて 紅葉はや」

昭和時代に活躍された俳人「高浜 年尾(たかはま としお)」が詠んだ句です。

◎応えて(こたえて) → 応じる
◎紅葉は(もみじは) → 紅葉の葉・秋の季語

高浜年尾は、高浜虚子の長男として知られていますね。
「年尾」という名は、正岡子規から命名されたそうです。

虚子は2男6女という子沢山で、とても子煩悩だったことも有名です。
俳句は虚子の手ほどきを受けて、中学時代から始められたそうです。
穏やかな心で詠まれた素敵な句ですね♡
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すみずみに つつましやかに 小菊あり

2023年11月10日 | 秋の花


立冬を迎え、あちらこちらから紅葉の便りが聞こえるころとなりました。
季節の変わりめ、お風邪などひかれませんよう、
お身体に気をつけて過ごしくださいね♡

一昨日、小庭の小菊たちの開花がはじまりました。
いろいろな小菊を育ているのですが、まん丸の白い小菊が一番最初に咲きました。
まん中部分に、ほんのり黄色が入っているお気に入りの品種です♡

「すみずみに つつましやかに 小菊あり」

明治時代から昭和時代初期に活躍された俳人・小説家「高浜 虚子(たかはま きょし) 」が詠んだ句です。

◎小菊→秋の季語
◎つつましやかに→もの静かで上品である様子

関東地方では11月に入っても気温の高い日が続いておりましたが、
今日は秋の深まりが感じられる一日となりました。
ようやく本格的な冬支度ができそうです。

小庭の植物たちも冬の準備をはじめているようです。
夏越しをしたクリスマスローズの新芽は、ずいぶん大きくなってきました。
千両の実も大きくなり、沈丁花も花芽をつくりはじめているようです。
紫陽花や金糸梅、ブルーベリーは、少しずつ落葉しながら休眠期を迎えます。

一年を通して植物たちの可愛らしい姿から元気をもらっています。
今年も冬支度と大掃除、少しずつ頑張りたいと思います♡( ⁎ᵕᴗᵕ⁎ )
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青天へ 吹き上げらるゝ 尾花かな

2023年10月12日 | 秋の花


関東地方では、さわやかな秋晴れの日が続いています。
寒暖の差が大きい時季ですので、体調に気をつけてお過ごしくださいね♡

川沿いの公園を散策しておりましたら、
薄(すすき)の穂が秋風に吹かれて、とても心地よさそうでした。

「青天へ 吹き上げらるゝ 尾花かな」

大正時代から昭和時代に活躍された俳人「野村 泊月(のむら はくげつ)」が詠んだ句です。

◎尾花(おばな)→薄の花穂(かすい)・秋の七草の一つ・秋の季語

「薄・芒(すすき)・尾花」は、俳句歳時記の季語「秋・三秋(さんしゅう)」の植物の一つになります。
三秋とは秋季の三ヶ月で、初秋、仲秋、晩秋へと秋が深まってゆきます。

白粉花(おしろいばな)、鶏頭(けいとう)、菊(きく)、萩(はぎ)、葛(くず)など・・・
秋に咲く花々も三秋の植物になります。

その中でも秋の深まりとともに変化してゆく薄は、
「薄」「花芒」 「芒野」 「糸芒」 「尾花」「芒散る」 「尾花散る」などの季語として用いられ、
古くから多くの俳人や歌人たちが詠まれた句に登場しています。
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何よりも 曼珠沙華咲く 頃待たる

2023年09月22日 | 秋の花


お彼岸を迎え、暑さも少しずつ和らいできました。
一昨日の夕方、いつもの場所に慎ましく咲いている白曼珠沙華を見つけました♡

紅の曼珠沙華も大好きなのですが、
美しく透きとおるような純白の花姿には、いつも見惚れてしまいます。

「何よりも 曼珠沙華咲く 頃待たる」

昭和時代から平成時代に活躍された俳人「山口 誓子(やまぐち せいし)」が詠んだ句です。

◎曼珠沙華(まんじゅしゃげ)→彼岸花(ひがんばな)の別名・秋の季語

秋のはじまりを告げる花として、古くから親しまれている曼珠沙華・・・
中国から海を越えて渡来・帰化した植物として知られています。

仏教では「白くやわらかな花」、「天界の花」とされており、
曼珠沙華は「天上の花」という意味を持つそうです。

9月を過ぎましても厳しい残暑が続いておりますが、
曼珠沙華の花が咲きはじめますと、
暑さも少し和らいでくれるように思います。
夕方の虫たちの聲とともに秋の訪れを感じています♡
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