一言で言うと「超・妄想男の独白記」というべき作品。
語り手は京都大学の学生!でも、農学部の休学中の5回生。元カノの水尾さんの生活を観察して記録し、愛車の自転車には「まなみ号」と名付け、モテようとする努力さえ放棄した友人達と男臭い毎日を送っているという、普通の女子なら2~3歩どころか10歩も20歩も引いてしまいたくなるような男なのに、独特の味わいのある語り口により、楽しく読めてしまいました。
しかも合間には、お馴染みの小説や場所などの固有名詞が隠しアイテムのように散りばめられてニンマリさせてくれます。私は主人公が「灰色の脳細胞」を駆使しようとするくだりでニンマリしていました。
京都市内の場所や地名もたくさん出て来て、京都に住んだことがあるとか京都が好きな人など、京都に何らかの思い入れがある人にはよりおもしろいかも。
ラストはちょっと物足りなかったけど、かなりおもしろい作品でした。