Heart Beat

草なぎ剛くんのこと、読書記録など・・・気ままに更新♪(コメント&TBは承認制となっています)

『ノルウェイの森』

2009-06-22 00:00:28 | 読書
2009 No.21 6/14~6/18

作者:村上春樹(講談社文庫)

評価・・・★★★★ 4.0


    ★☆★ 以下、少しネタバレ ★☆★


映画化されると知ってから無性に読みたくなり、買ってしまいました。
なんと、村上春樹さんの作品をこの年になって初めて読みました。
私はちょっとへそ曲がりのところがあるので、村上春樹さんがカリスマ作家のように扱われているのを見て、今まで敬遠してたのでした。それに、ちょっと難解な作品を書かれているようなイメージもあったし・・・

読んでみると、意外に読みやすい作品で驚きました。学生運動のネタ以外は、今の時代に置き換えても十分いけそうだし、わりとフツウの作品だと思いました。やたら主人公のまわりの人が死んでるところはフツウとは言い難いですけど。

直子がなぜ心を病んでしまったのかを知りたかったのですが、はっきりとは書かれてませんでしたね。幼い頃の姉の死や、恋人の死などが影響していたのでしょうが・・・直子の父親が言っていたように、「血筋」のせいもあるかもしれないけど、そう言いきってしまうのは悲しすぎます。
あと、前半で、主人公の語りの中に「直子は僕のことを愛してさえいなかったからだ」という言葉の謎も知りたかったのに、よくわかりませんでした。「愛してはいなかった」とかいう表現ならわかりやすいのに、あえて「愛してさえいなかった」としたところに妙にひっかかりました。
ラストはちょっと唐突な感じがしました。てっきり“現在”に戻って終わるとばかり思っていたので。
いろいろな謎を残したままで終わってしまうことで、なんか心に残ってしまう作品ですね。
突撃隊が突然いなくなってしまった理由もわからなかったし。

でも、映画やドラマならいいですが、私は小説には謎をはっきり描いてもらわないと嫌な性格なので、少々不満を感じてしまいました。
でも、ハタチ前後で読んでいたら、きっとこの作品にはまっていたような気がするなぁ・・・

『ヴィヨンの妻』

2009-06-14 23:23:42 | 読書
2009 No.20  6/7~6/14

作者:太宰治(新潮文庫)

評価・・・★★★★ 4.0

10月に映画が公開されると知って、久しぶりに太宰を読みました。
表題作を含めた短編集。ほとんどが初読でしたが、『おさん』と『桜桃』は以前にも読んだことがあります。2編とも、悲劇的な予感に満ちた作品で、すごく切なくなりました。

さて、『ヴィヨンの妻』ですが、松たか子ちゃんが笑顔で働きまくる映像が目に浮かぶようでした。途中まで辛い境遇ながらも笑いとあたたかみを感じる作品なのですが、ラストでいきなり悲劇が起こってしまいます。ラストの‘さっちゃん’のセリフはちょっとドキッとしてしまいました。
これ、映画化するにあたって、太宰作品の『桜桃』など他の作品のエッセンスも加えて脚本化しているようですね。実際の映画では、また違ったラストになっているかもしれませんね。

  映画『ヴィヨンの妻』ホームページ

私が好きな太宰の作品集は『女生徒』(角川文庫版)です。女性の一人称で展開する短編を集めた作品集で、読後、思わず同じ調子で短編小説を書いてみたくなったことを覚えています。