2009 No.17 5/6~5/10
作者:アガサ・クリスティー(早川書房クリスティー文庫)
評価・・・★★★★★ 5.0
1962年の作品。
ミステリの女王として名高いクリスティーですが、メアリ・ウェストマコットという別名義で普通小説を6作品発表しています。これはその中の一作。自伝的色合いの濃い作品といわれています。
クリスティーは最初の結婚で娘を設けましたが、夫との離婚危機に直面したときに有名な失踪事件を起こしています。最愛の母の死と、離婚危機(夫に他に好きな女性ができた)が重なったことによる、精神的に追い詰められた末の行動であり、ヒステリー性の一時的な記憶喪失症になったといわれています。
クリスティーはこの事件について全くといっていいくらい言及していないようです。それだけ傷が深かったからだと思いますが、この作品にはその精神的に追い詰められるまでの心の軌跡が描かれているように思います。
クリスティーファンとしては見逃せない一作。
でも、クリスティーの心が反映されていると思われる点を除いても、なかなか読み応えのある作品だと思います。
特に、主人公の結婚のあたりのくだりから。主人公の夫の性格の特異性などは、女性読者にとっては本当に興味深いものだと思います。
平たくいえば、“男の身勝手さ”がこれでもかと出てくるのですから。
主人公の子供時代のお話も、私は楽しく読めました。祖父母や両親から彼らの子供時代や若い頃の昔話を聞いている感じなのですが、どこか懐かしい感じがしておもしろかったです。
作者:アガサ・クリスティー(早川書房クリスティー文庫)
評価・・・★★★★★ 5.0
1962年の作品。
ミステリの女王として名高いクリスティーですが、メアリ・ウェストマコットという別名義で普通小説を6作品発表しています。これはその中の一作。自伝的色合いの濃い作品といわれています。
クリスティーは最初の結婚で娘を設けましたが、夫との離婚危機に直面したときに有名な失踪事件を起こしています。最愛の母の死と、離婚危機(夫に他に好きな女性ができた)が重なったことによる、精神的に追い詰められた末の行動であり、ヒステリー性の一時的な記憶喪失症になったといわれています。
クリスティーはこの事件について全くといっていいくらい言及していないようです。それだけ傷が深かったからだと思いますが、この作品にはその精神的に追い詰められるまでの心の軌跡が描かれているように思います。
クリスティーファンとしては見逃せない一作。
でも、クリスティーの心が反映されていると思われる点を除いても、なかなか読み応えのある作品だと思います。
特に、主人公の結婚のあたりのくだりから。主人公の夫の性格の特異性などは、女性読者にとっては本当に興味深いものだと思います。
平たくいえば、“男の身勝手さ”がこれでもかと出てくるのですから。
主人公の子供時代のお話も、私は楽しく読めました。祖父母や両親から彼らの子供時代や若い頃の昔話を聞いている感じなのですが、どこか懐かしい感じがしておもしろかったです。