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口承伝説  恋人の丘

2009年05月13日 | ひとりごと
昔、ある青年が鼻節神社へお礼に参じていた。
以前から好意を抱いていた娘を嫁に欲しいと願をかけていたのだが
親が相(あい)調(ととの)えた相手が見初めた娘であったからだ。
明日はいよいよ婚礼の日。手を合わせこころから神仏の加護に感謝していたまさにその瞬間(とき)、
地面がうなり声をあげるやいなや
天地がひっくり返るように青年は社(やしろ)の山ごと紺碧の海に飲み込まれ沈んでいってしまった。
859年の貞観の大地震である。
娘は深く悲しんだ。青年が好意を抱いていたように娘も「あのひとの嫁になりたい」と
ひそかに願っていたのだった。
青年が眠る海へむかってくる日も、くる日もいとしい名前を呼び続けた。
その悲しみに満ちた娘の声が、海に沈んだ社(やしろ)へ届いたのか、ほどなく娘は青年のもとへ旅立った。
不憫に思った家族は、その海が見える小高い丘に塚をたて供養した。
それ以来、恋しい人の名をその海に向かって叫ぶと、思いが叶うという。

娘が眠る小高い丘から見える美しい白い砂浜がその当時のなごりを残している。
前塚浜という。


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