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働き方改革と子どもたち

2019年04月02日 | ひとりごと
2017 年、地方公務員法と地方自治法が改定され、2020 年 4 月から自治体の非正規職員に「会計年度任用職員」 が導入されることになりました。
各自治体では、総務省の「会計年度任用職員制度の導入等に向けた事務処理マニュアル」(以下「マニュアル」)に 沿って、準備がすすめられています。

会計年度任用職員制度の概要と問題点 とは

①任用(採用)に関する問題
任用(採用)にあたっては、「競争試験または選考」によるとし、任用期間は 4 月 1 日から翌年 3 月 31 日までとなり ます。なお、再度の任用もあり得るとしていますが、その際にも「手続きなく『更新』されたり、長期にわたって継続し て勤務できるといった誤解を招かないように」留意することとしています。(「マニュアル」)
「会計年度内を超えない範囲」と任用期間を明確にしたことで、更新しないことにも根拠を与えるものとなっています。
②雇用中断(空白期間)の問題
現在、多くの自治体で臨時・非常勤職員の雇用更新にあたっては、雇用中断(空白期間)を設けています。短くて 1 日、長い場合は 15 日や 1 カ月の場合もあります。これは、連続して雇用していることで、退職手当や社会保険の 適用となることを逃れる目的があります。また、年休付与についても、雇用中断を理由に繰り越しを認めていません。今回の法改定では、これらの雇用中断は「不適切」とされ「是正を図るべき」とされています。改定法の施行を 待たずに、早急に現在の雇用中断をなくさせる取り組みが重要です。なお、学校給食調理員や学校図書館司書など、学期単位の任用による空白期間は、不適切とはいえないとしています。この点でも業務実態にあわせて、空白期間の廃止や縮小を求めることが重要です。
③フルタイムとパートタイムの格差
会計年度任用職員にはフルタイムとパートタイムが規定されていまが、ここにも大きな格差が持ち込まれていま す。フルタイムには退職手当が支給できますが、パートタイムには支給できず、特殊勤務手当も支給できないとさ れています。自治体によっては、現在でも一定の要件を満たす短時間の臨時職員に、退職手当や特殊勤務手当 が支給されている場合もあり、会計年度任用職員への移行により、切り下げされることがないよう注意が必要で す。
また、1 週間当たりの勤務時間が常勤職員より短い場合は、パートタイム会計年度任用職員とされ、現在の多くの 臨時・非常勤職員が「パートタイム会計年度任用職員」にされてしまう可能性があります。
④一般職化について
会計年度任用職員は、一般職地方公務員とされることにより、地方公務員法で規定された公務上の義務・規律、 人事評価が適用されます。上司の命令に従う義務、信用失墜行為の禁止、守秘義務、職務専念義務や政治的行為の制限などがあります。また、フルタイム会計年度任用職員には、兼業禁止が適用されます。
労働条件面で正規職員との格差を残したまま、義務や規律、処罰だけは正規職員並みということです。会計年度任用という弱い立場の職員へ服従を強要し、規律や義務の遵守だけをことさらに強調することは、ものをいえない職員や職場環境につながるのではないでしょうか。
⑤財源問題
給料水準の考え方は、「マニュアル」では「類似職務の級の初号給、職務の内容や責任、必要となる知識、技術及 び職務経験等の要素を考慮し」となっています。また、再度の任用にあたっては、「常勤職員の初任給決定基準や 昇給の制度との均衡を考慮することが適当」(「マニュアル」Q&A)としています。しかし、一方では「それまでの職 務経験すべてを考慮する必要はない」として、事務補助職員については、正規職員の初任給基準額を上限目安と しています。
「マニュアル」では「同一労働同一賃金ガイドライン案を踏まえ」としていますが、正規・非正規の差は厳然と残され 固定化されます。期末手当や退職手当(フルタイムのみ)については「支給できる」とされており、自治体が財政難 を理由に支給しないことも考えられます。
さらに、「マニュアル」では、任用根拠の明確化・適正化のなかで、「ICT の活用や民間委託の推進等により(中略) 現に存在する職を漫然と存続するのではなく、それぞれの必要性を十分吟味したうえで適正な人員配置に努める」 よう求めています。今回の会計年度任用職員の導入が、自治体業務のアウトソーシング拡大と、それによる臨時・ 非常勤職員の削減につながる懸念があります。。
「公立保育園が多く市財政を圧迫している」として、2018 年度中に公立保育園の統廃合・民営化 計画を立てるとしています。現在、公立保育園では 7 割が臨時保育士であり、クラス担任業務など正規と変わらな いへ育を担っています。まさに、「会計年度任用職員」導入をテコに、非正規も正規も減らし地域の宝である公立保育園の運営が厳しい方向に向かおうとしています。
継続性・専門性・地域性が求められる自治体職員の働き方が大きく変わろうとしています。

月刊『住民と自治』 2018 年 5 月号 より (画像はテンプスタッフウイッシュ株(株)児童館)

県議会において放課後児童クラブの支援員の確保を求める意見書を提出したが、その肝心の施設運営にかかわる職員の問題が会計年度任用職員の制度です。「国の宝」の子どもたちの笑顔の場もアウトソーシングとなりそうな働き方改革が着実に進んでいる。


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