米軍、権限なく飛行制限 日本側との調整なし
2013年8月8日 沖縄タイムス
6日午前10時すぎから米軍が飛行制限した空域
宜野座村のキャンプ・ハンセン内に米空軍嘉手納基地所属のHH60救難ヘリコプターが墜落した事故で、米軍が日本側との事前調整なしに、現場周辺上空での民間機の飛行制限を呼び掛ける航空情報を出していたことが、7日分かった。日本が航空官制を担う空域で、国土交通省によると、米軍が直接、飛行を制限する権限はない。
県内在住のパイロットは「日本の領空を、なぜ米軍が勝手に制限するのか。これを許せば日本は法治国家ではなくなる」と反発している。2004年の沖縄国際大学への米軍ヘリ墜落事故でも、米軍は周辺を封鎖し、立ち入りを規制。「越権行為だ」と批判の声が上がった。今回の事故は米軍基地内で起きているが、米軍が上空の飛行を制限する根拠はない。
国交省航空局は「事前に日本側の関係省庁と調整すべきで、正式な手続きが取られておらず遺憾だ」と見解を示した。ただ、同局は安全上の理由から米軍の要望を事実上容認し、民間機に現場周辺の「飛行自粛」を伝えている。
HH60は5日午後4時ごろ墜落。米軍は6日午前10時すぎ、事故現場を中心に半径約11キロ、高度約3キロの空域で民間機の飛行を制限する航空情報を発信した。7日午後5時半に、半径約5・5キロ、高度約0・6キロに縮小した。制限は「15日夜まで」としている。
計器飛行方式の航空機は対象外で、那覇空港を発着する旅客機に影響はない。
米空軍は7日夜、沖縄タイムスの取材に「行方不明者の捜索などを安全に実施するため、適切に調整し飛行制限を要請した」と回答。ICAO(国際民間航空機関)の基準に沿い、日米の航空管制当局に承認された上で航空情報を公表したと主張し、国交省の見解と食い違いを見せた。