50のひとり言~「りぷる」から~

言葉の刺激が欲しい方へ。亡き父が書きためた「りぷる」(さざ波)を中心に公開します。きっと日常とは違った世界へ。

予想通り、二十歳当時のあの・・・

2015-06-18 20:00:09 | 小説
予想通り、二十歳当時のあの幸男、宇礼市を去る直前の抱擁に打ちふるえた男である。
「ようこそ」
と幸男が実直に言って、ぺこりと頭を垂れ、夢のようねとマスクの喉で声を押しとどめ、理恵は目にはにかみを装いながら、頭を垂れ、
「お世話になります」
「では」

(つづく)