真正面に見る、城と満開の桜に、理恵は目の焦点をあわせる。昔に比べて増えたビルと、新芽の街路樹沿いにメーンストリートが直線に伸びていて、
「それは、ふるさとの山にむかいて、て感じじゃないのは確かですわ」
と言った。幸男の言葉を誘ってみたものだ。隙を見てちらりとふりかえる。敏彦が人通りに向き、あちらこちらによそ見していた。
(つづく)
「それは、ふるさとの山にむかいて、て感じじゃないのは確かですわ」
と言った。幸男の言葉を誘ってみたものだ。隙を見てちらりとふりかえる。敏彦が人通りに向き、あちらこちらによそ見していた。
(つづく)