50のひとり言~「りぷる」から~

言葉の刺激が欲しい方へ。亡き父が書きためた「りぷる」(さざ波)を中心に公開します。きっと日常とは違った世界へ。

真正面に見る、城と満開の桜に、理恵は・・・

2015-06-23 20:57:50 | 小説
真正面に見る、城と満開の桜に、理恵は目の焦点をあわせる。昔に比べて増えたビルと、新芽の街路樹沿いにメーンストリートが直線に伸びていて、
「それは、ふるさとの山にむかいて、て感じじゃないのは確かですわ」
と言った。幸男の言葉を誘ってみたものだ。隙を見てちらりとふりかえる。敏彦が人通りに向き、あちらこちらによそ見していた。

(つづく)