(古代中国の金貨、軍資金としても使われた。黄金を活かすためには「器と知徳」必要。上海博物館にて)
「黄金と毒蛇」にみる「器と智徳」
先日、日蓮正宗法道院の法話会で学んだ説話「黄金と毒蛇」から、自らの現実生活に当てはめて考える。
以下は持論
私は、その「黄金」を生かすためには「器と智徳」が必要と考えます。
法話会の説話(黄金と毒蛇)に登場する「黄金」を拾った人が「貧乏な農夫」
ではなく「貴族や王族、豪商」であったらどうであったでしょうか。
1、お金(黄金)と「器」について
お金(黄金)は
自分の「器」を超えると、その分だけ離れていくようです。
お金は水みたいなもので、「器」がないと、そこに留めることができません。
「金は天下の回り物、悪銭身につかず」、と言ったように偶然お金を手にしてもしっかりした「器」がなければ散財し失います。
2、貴族や王族、豪商であったらどうであったでしょうか。
貴族や王族のような境涯の人であったならば説話のように
はならなかったでしょう。
なぜなら、もともとお金のある境遇なので「黄金」得たとしても
誰も不思議だとは思わないでしょう。
また、豪商のように才覚に長けた人であれば、その資金(黄金)を元手として
農地を買い入れ「農夫」を雇い入れ、さらに財を成すでしょう。
さらに高尚な人であれば、その「黄金」で橋などのインフラ整備や公のため寄付
をしたり、僧坊などの修行者の寺院などを建立寄進すると思います。
3、現実社会でのお金と「智徳」
近年であっても、例えば運よく宝くじに当たって大金を得たものの
ギャンブル、女や酒におぼれて挙句の果てに家庭を破壊したり
親からの遺産相続で兄弟が争うなどよく聞きますが、
それは、その得た「黄金」を活かすべく「器も智徳」もないばかりに、
(黄金と毒蛇)に登場する「貧乏な農夫」のように、かえって不幸「毒蛇」になってしまう最たる例だと思います。
4.最後に
大切なのは、「黄金」を得るのが悪いの」ではなく、
「黄金」と成すか「毒蛇」にするかは、それを使う側の「活し方」が大切と思うのです。
現実的に
何を行うにせよ資金「黄金」は必要なのですから、
むしろそれを正しい方向に活かすべく、
自らの「器と智徳」を日夜朝暮に怠らず磨いていくことが大切だと考えます。
(「器と智徳」を磨くためには信仰も大切ですが、さらに学問、躬行実践が必要だと考えます)
「器と智徳」を磨けば、それこそ自らも「黄金」のように輝ける人格となることでしょう。(自戒として)
「気品の泉源、智徳の模範」
我日本国中に於ける気品の泉源、智徳の模範たらんことを期し、之を実際にしては居家、処世、立国の本旨を明にして、
之を口に言ふのみにあらず、躬行実践、以て全社会の先導者たらんことを欲するものなり。
(福沢諭吉翁・訓)
- ※居家 = 家庭をおさめてゆくこと。
- ※処世 = 世間で暮らしを立ててゆくこと。
- ※立国 = 国の独立をたもつこと。
- ※本旨 = 本来の趣旨。
- ※躬行 = 口で言うことを実践すること
「黄金と毒蛇」
ある日、釈尊は阿難をつれて舎衛国の野原を散歩していた。
突然、釈尊は足を止めてここ言った。
「この田園の畔の小さな丘の下に、毒蛇が隠れている」。
阿難は釈尊が指した方向を見ると、
「はい、恐ろしく大きな毒蛇がいますね」と言った。ちょうどその時、
付近で畑を耕していた一人の農夫が釈尊と阿難の会話を耳にした。
農夫は彼らの話の真偽を確かめるため、丘の下まで見に行った。
しかし、そこには黄金が詰まった壺が置いてあるだけだった。
「これは凄い!これは黄金ではないか! これを毒蛇とみるとはおかしな僧たちだ。
いずれにせよ私は運がいい。
毎日、労働をやっていても苦労が多いだけで、こんな大金を手にすることなんてできない。
これで、楽ができるぞ」農夫は嬉しそうにつぶやきながら、黄金を抱え込み、急いで家に持って帰った。
それまで一日三度の食事さえままにならなかったできなかった
農夫の貧しい生活は一変した。
急に大金持ちとなり贅沢な暮らしを送った。村の農夫たちは彼の豹変ぶりに驚き、
噂は瞬く間に広まった。
するといつしか人の噂から役人に知れて、盗みの罪で捕らえられてしまいました。
この農夫は、役人から厳しいお咎めを受け、結局はお金や家や信用等のすべてを失い、
やっとの思いで命だけは助かりました。
農夫はこの時、はじめて釈尊が「黄金を毒蛇だ」と言われた言葉の意味が判り、
大いに反省したという話であります。
黄金は、私を金持ちにしましたが、同時に私の命を失わせることがある
この「貧しい農夫」にとって「黄金」は、毒蛇そのものだったのです。(大荘厳経論巻第六)
経済的自由は自らで築く
自由人からの手紙より
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